当ホームページに「討論の広場」を開設します。
放送はもとより新聞、映画・演劇などの分野に関わることで、閲覧者間の意見交流の場になればと願っています。毎回テーマを設定して、ご意見を募集します。
今回のキーワードは『新しい戦前』です。
タモリさんの「新しい戦前」との発言が話題を呼んでいます。
テレビ朝日「徹子の部屋」(2022.12.28放送)で「来年(2003年)はどんな年になりますかね?」との徹子さんの問いに、やや間をおいて「だれも予測できない・・・」「なんていうか『新しい戦前』になるのでは」と、タモリさんが回答したものです。
いま、安保3文書が閣議決定され、武器の爆買いや気球撃墜などの言葉が飛び交っています。だいぶ以前に、もはや『戦後』ではないと言った人もいました。過去・現在から未来へとつながる時間と空間を検証した伝え方をマスメディアに求めたいものです。タモリさんの『新しい戦前』は「いまの空気」に一石を投じたと思えます。
ご意見は、投稿フォームから送信してください。
また、今後の討論テーマについても提案してください。
2024.04.23 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(3月編)
赤旗日曜版のスクープで火がついた「自民党派閥の裏金」問題。金の使い道など肝心の部分が不明なまま、自民党は4月に予定している党内処分で幕引きをする考えです。この問題、基本は自民党全体の集団犯罪ですが、一方で岸田派・茂木派 VS 安倍派・二階派の権力闘争の様相も見せ、処分も思惑が入り混じったものになりそうです。その中で二階元幹事長は策士らしく直前に記者会見を開き、次期総選挙不出馬と引き換えに処分をうやむやにする取引を試みました。
その最後に出たのが記者に対する「ばかやろう」発言です。かつて(1953年)衆院予算委の質疑中、吉田茂首相が野党議員に対して「ばかやろう」とつぶやいたのがきっかけとなって解散・総選挙となり、「ばかやろう解散」と命名されたのは有名な話です。ところが二階氏の発言に対して、記者の所属する社や記者クラブが抗議したという報道は見ていません。議員に対しては許せないが記者に対してはいいのでしょうか。
【戦争への動き】
◆ 裏金疑惑解明無いまま新年度予算強行(3日付各紙)
国民の暮らし破壊と大軍拡の2024年度予算案が、2日衆院本会議で与党の賛成多数で可決された。裏金事件の説明責任を全く果たさない中、政治倫理審査会と予算委員会の同時進行や土曜審議という奇策を弄して年度内成立を確定させた。予算案は物価高に苦しむ国民への支援には無策な一方、過去最大の8兆円の軍事費を盛り込んでいる。
◆ 在日米軍経費過去最大1兆円超え(5日付赤旗)
日本政府が2023度の当初予算に計上した在日米軍関係経費の総額が、8522億円と過去最大を更新したことが分かった。さらに23年度補正予算にも3169億円が計上されており、実際には1兆円を超える見通しとなる。「在日米軍関係経費」は、駐留経費(いわゆる思いやり予算)、再編経費などがあり、第2次安倍政権以来右肩上がりになっている。物価高騰で生活苦が広がる中米軍奉仕が極まっている。
◆ 日本の武器輸入155%増(12日付赤旗)
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は11日、世界の武器取引に関する報告書を公表した。それによると2019~23年の5年間の武器輸入が前の5年間比で155%増になり、日本は世界で第6位の武器輸入国であることが分かった。報告書は日本の武器輸入元の97%が米国だと指摘。岸田政権が22年12月に閣議決定した安保3文書で、軍事費の2倍化を掲げた結果が如実に表れている。
◆ イスラエル製攻撃型ドローン 防衛省が導入検討(13日付赤旗)
安保3文書に基く軍拡計画の一つである無人兵器強化として、政府がイスラエル製小型無人攻撃機(攻撃型ドローン)の導入を計画していることが、12日の参院外交防衛委員会での日本共産党の山添拓議員の追及で明らかになった。山添氏は「ジェノサイドが指摘される中、イスラエルの軍需産業を支えるなど絶対にやってはならない」と厳しく批判した。
◆ 米オスプレイ飛行再開強行(15日付赤旗、朝日)
去年11月の屋久島沖での墜落事故を受け、全世界での飛行を停止していたオスプレイについて、在日米軍は14日米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイの飛行再開を強行した。事故原因の詳細を明かさぬまま米本土に先駆けて再開したもので、沖縄の植民地的扱いに全国で怒りが渦巻いた。
◆ 陸自ミサイル連隊 沖縄本島に初設置(22日付朝日)
防衛省は21日、沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に、新たな地対艦ミサイル連隊を発足させた。沖縄本島に相手国の艦艇を狙うミサイル部隊が設置されるのは初めてで、止まらない拠点化に地元では反発が強まる。
◆ 在日米軍の機能強化、司令部再編(26日付赤旗、28日付朝日)
日米両政府は4月10日の首脳会談で、自衛隊と米軍による「指揮統制」を連携させる方針で合意する見通し。米側は在日米軍司令部の機能を強化する考えで、太平艦隊司令官を日本に派遣する案などが浮上している。また自衛隊が2024年度末に実働部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を創設するのに伴い、日米の指揮体制の連携強化も議論されている。日本共産党の志位委員長(当時)が去年10月の衆院本会議で「米軍の指揮のもとに自衛隊が事実上組み込まれることを意味する」と告発した危険が、現実のものになりつつある。
◆ 次期戦闘機輸出解禁、「死の商人国家」へ重大転換(27日付各紙)
政府は26日の国家安全保障会議で、武器輸出を制限している防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、英伊両国と国際共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を解禁した。去年12月に続く輸出規制の大幅緩和で、今回は「殺傷能力のある武器の最たるもの」とされる戦闘機を対象とした。「国際紛争を助長しない」という「平和国家」の理念を投げ捨て「死の商人国家」に堕落させる重大転換となる。
この重大決定に関して公明党の果たしている役割も一考してみたい。自公連立は25年になるが、この間自民党が出す国民生活や平和を脅かす悪法に対しては、一応は難色を示すが予め設定されている“落としどころ”で妥協する“小芝居”で悪政の片棒を担いできた。今回も「1件ごとに閣議決定する」という歯止めにもならない「歯止め」を勝ち取ったと宣伝している。いい加減「連立の歯止め役」「平和の党」という国民を欺く看板は下ろしてもらいたい。
◆ 特定利用空港・港湾 軍事利用に16施設(28日付赤旗)
政府は平時から自衛隊や海上保安庁の使用可能な「特定利用空港・港湾」に7道県16施設を指定することが分かった。指定するのは空港が北九州、那覇など5施設、港湾が釧路・石垣など11施設。16施設では今後、大型の輸送機が離着陸できる滑走路の延伸や、自衛隊の大型艦が接岸できる岸壁の整備などを進める。念頭に置いているのは、本土から沖縄など南西地域への部隊展開。
◆ 土地利用規制法区域指定決定、計583カ所に(30日付赤旗)
政府は29日、土地利用規制法に基づく区域指定で、東京都の横田基地や沖縄県の普天間基地など主要な米軍基地を含む28都道府県の184カ所の指定を了承した。これで一通りの選定作業が終わりこれまでの指定と合わせて、47全都道府県583カ所もの指定が決まった。指定されれば周囲1キロが監視対象になり、住民運動などへの萎縮効果をもたらすことが懸念される。
◆ 沖縄・先島諸島にシェルター整備へ(30日付朝日)
政府は29日台湾有事を念頭に沖縄県・先島諸島の5市町村に、ミサイル攻撃などから住民が一時避難するシェルターを整備する方針を発表した。対象は石垣市、宮古島市、与那国町、武富町、多良間島の5市町村。無ければ怖いし、新設されれば本気にミサイルを打ち合うつもりでなお怖いという代物だ。住民を巻き込む備えとして懸念の声が上がっている。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党裏金問題 政倫審でも「知らぬ」「存ぜぬ」
・衆議院政治倫理審査会、岸田首相ら6氏出席(1日、2日付各紙)
・茂木派、別の規制緩い政治団体に資金移動の新手口(5日付朝日)
・参院政倫審は世耕氏ら3氏出席(15日付各紙)
・衆院政倫審、下村氏出席も関与否定(19日付各紙)
・安倍派幹部ら6人、野党が証人喚問申し入れ(22日付朝日)
・二階元幹事長次期衆院選不出馬表明、辞職は否定(26日付各紙)
裏金問題の解明は政治倫理審査会に持ち越された。出席者の選定基準や公開度をめぐって紆余曲折を繰り返し、岸田首相が現職首相としては初めて自ら
出席する奇策を経て開催にこぎつけた。安倍派・二階派幹部ら衆院7人、参院3人が出席したが、責任問題や使途など核心部分は「知らぬ」「存ぜぬ」を
繰り返し真相解明には至らなかった。冒頭の本人釈明を含めて1人2時間の中に6党が質疑を行う方式では議論が深まる筈もなく、自民党が質疑をする資
格があるのか、野党が細切れ質疑でなく協力して2党ずつで時間を融通し合うなど検討し直さなければ、証人喚問が実現しても成果は期待できないと思
われる。
・自民・島尻議員パーティー(28日付赤旗)
自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金事件に国民の怒りが広がる中で、26日同党の島尻安伊子衆院議員(沖縄3区)が東京都内でパーティーを開
いた。
事件を受けて立ち上げた同党政治刷新本部役員の菅義偉前首相、茂木敏充幹事長や閣僚も参加、島尻氏も本部の幹事を務めている。自民党の事件に対
する感覚がよく解る出来事だった。
◆ 沖縄県うるま市に陸自訓練場計画、島ぐるみ反対広がる
・沖縄県議会全会一致で白紙撤回要求(8日付赤旗)
・陸自抗議の中装備搬入(11日付赤旗)
・うるま市保革超え地元17団体で「断念を求める会」結成(11日付赤旗)
・うるま市民集会に市長・県市議など1200人が集結(21日付赤旗)
安保3文書に基づく南西諸島の自衛隊強化の一環で、防衛省は沖縄県うるま市石川地区に陸上自衛隊訓練場の新設を計画。元々うるま市は保守地盤で基地に対する抵抗感も少ないことから、既に米軍も含め多くの基地を受け入れているが、今回は住民の頭越しに住宅街に隣接する地域に訓練場設置を決めたことで住民の怒りが爆発した。
◆ ガザ停戦 初の国連安保理決議(27日付各紙)
国連安全保障理事会は25日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区を巡って、ラマダン(イスラム教の断食月)期間中の即時停戦を求め
る決議を全15理事国中14か国の賛成で採択した。いつも拒否権を行使するアメリカが今回は棄権に回ったため、去年10月軍事衝突が始まって以降初め
て決議が採択された。アメリカが拒否権を行使しなかった背景には、内外でイスラエルとアメリカに対する批判が高まっていることがあるとみられる。◆ 国際司法裁イスラエルに緊急な人道支援命令(30日付赤旗)
国際司法裁判所(ICJ,オランダ・ハーグ)は28日、パレスチナ・ガザでの飢饉の深刻化を受けて、イスラエルに対し「緊急に必要な基本的なサービスと人道支援」を行うための「すべての必要な実効ある措置」をとるよう命じた。1月に発した「飢饉の危険」に対する暫定措置を、新たな「飢饉は始まっている」という新たな事態に即して修正した。
◆ ICJジェノサイド裁判にアイルランド参加(29日付赤旗)
アイルランドのマーティン副首相兼外相は27日声明を出し、イスラエルによるガザへの攻撃がジェノサイド条約違反だとして、南アフリカが昨年末国際司法裁判所に訴えた裁判に参加すると表明した。イスラエル軍による攻撃は国際法の大規模な違反だとして「止めなければならない」と強調した。
◆ 18歳高校生「自衛隊に名簿提供は違憲」と提訴(30日付赤旗)
奈良市の18歳高校生が、自分の個人情報を事前の承諾なく市が自衛隊に提供したのは違法・違憲だとして、29日市と国を相手取り国家賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。自衛隊は隊員募集のため全国の市町村に18歳と22歳の名簿提供を求めているが、当事者が「プライバシー権の侵害だ」と訴える裁判は初めて。弁護団と支援する会は会見で、全国的意義を持つ訴訟だと強調した。
【番外】
◆ 万博会場工事現場でガス爆発事故(31日付赤旗)
大阪市の夢洲で開催予定の大阪・関西万博の会場建設現場で28日、埋め立てられた廃棄物から発生した可燃性ガスによる爆発事故が起きた。事故が起きたのは「グリーンワールド工区」のトイレ1階。同工区のある夢洲1区は廃棄物の処分場で、地下にはメタンガスやダイオキシンなど有害物質が大量に埋まっている。可燃性ガスを放出する管は確認されただけでも79本に上る。夢洲の危険性を訴えてきた市民団体は「大事故が起きてからでは遅い。万博・カジノは即刻中止すべきだ」と訴えている。
2024.03.24 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2月編)
岸田内閣の支持率が20%を切るのが目前になった頃、私は「こうなったら岸田首相が北朝鮮に乗り込んで、拉致被害者の1人や2人連れて帰ってくる
のが、支持率回復の起死回生の最後の手段だろう」と思いました。皆同じ事を考えるようで、首相周辺でも水面下で動いていたと見え、最近ちらちらと
目に入るようになりました。保身のためでも結構ですから実践してくれれば、東アジアに話し合いの機運が生まれるきっかけになるかもしれません。
【戦争への動き】
◆ 自衛隊 宇宙部隊を強化(14日付赤旗)
防衛省は20年5月、自衛隊で初めての宇宙領域の専門部隊として「宇宙作戦隊」を約20人で発足させたが、24年度には310人に増員されることが、日本共産党の赤嶺政賢議員の調べで分かった。「安保3文書」に明記された、27年度までの「航空宇宙自衛隊」への衣替えに向けた体制強化が本格化された。
◆ 海自幹部らも靖国集団参拝(17日、20日、26日付赤旗、21日付朝日)
陸上自衛隊ナンバー2の幹部らが靖国神社に集団参拝していたことは『1月編』でお伝えしたが、海上自衛隊の幹部ら165人も制服姿で集団参拝していたことが、「しんぶん赤旗」の調べで分かった。同紙によると去年5月17日に、練習艦隊司令官・今野泰樹海将補はじめ初級幹部らが参拝したことが、靖国神社の社報「靖国」に写真付きで掲載されていた。防衛省も19日参拝を認めた。その後の調べで少なくとも1998年からほぼ毎年制服での集団参拝を続けていることが「靖国」に掲載されており、実際には部隊の恒例行事だった疑いが強まった。
自衛隊による靖国集団参拝は旧日本軍への回帰が懸念される。
◆ 武器輸入、9割ローンで前倒し爆買い(24日付赤旗)
24年度予算案で計画されている武器輸入の詳細が、日本共産党の山添拓参院議員に対して防衛省が提出した資料で明らかになった。
米政府から購入する「有償軍事援助」は9320億円で、そのうち新規後年度負担は8156億円に上る。
直接または商社を通じて外国から武器を購入する「一般輸入」の新規契約額は4890億円で、そのうち4460億円が後年度負担となっている。
単年度では支払いきれない米国製武器を大量購入し次年度以降に支払いを回すことで、軍事費の膨張を固定化する実態が浮き彫りになった。
◆ 核兵器製造企業に日本の7金融機関が投融資(25日付赤旗)
日本の7つの金融機関が核兵器製造企業に対して6兆9500億円を投融資していたことが、オランダの平和団体「PAX」の報告でわかり、近畿反核医師懇談会が23日に会見して明らかにした。融資&株式・債権引き受け業務部門では、みずほが2兆2000億円(世界5位)三井住友、三菱UFJ がそれぞれ2兆円前後と、日本の各銀行グループがトップ10に名を連ねている。許せないのは「年金積立金管理運用独立法人」という、国民の年金資金を預かる政府系金融機関が5700億円余を投資していることで、政府の監督責任が問われる。
◆ 大規模日米共同訓練始まる(28日付赤旗)
陸上自衛隊と米海兵隊が25日に始めた大規模な共同訓練を、3月17日まで九州・沖縄の広範囲で実施する。民間地を利用した海や空からの上陸訓練や陸上戦闘訓練など、南西地域の戦場化を想定した実戦さながらの訓練で2年連続の実施となる。沖縄県では自衛隊500人、米海兵隊700人が展開して米軍キャンプ・ハンセンなどで上陸訓練と戦闘訓練などを実施。鹿児島県の沖永良部島や熊本県、長崎県の駐屯地で戦闘訓練などが行われる。
◆ 岸田内閣 国民生活脅かす2法案を閣議決定(28日付赤旗)
〇 農業基本法改定案(17日付新婦人しんぶんも)
現行基本法で唯一の目標として掲げていた「食料自給率」が、数ある指標のうちの1つに格下げされる。自給率が38%まで落ち込み、円安などで食糧
の高騰を招いている反省も無いままその目標を投げ捨てるものとなる。この問題については『新婦人しんぶん』がいち早く「政府文書から食料自給率
が消える」として特集を組み、農民運動全国連合会の長谷川敏郎会長の講演を紹介している。この中で、日本は国連公認の飢餓国で「食料自給率向上
こそ平和への道」として請願署名を呼びかけている。
〇 重要経済安保情報秘密保護法案
重要な情報を扱う資格者を政府が認定する「セキュリティー・クリアランス(適正評価)」の制度導入に向けた法案。現行の秘密保護法は「防衛」
「外交」「テロ」「有害活動」の4分野が対象で、有資格者は防衛省と自衛隊を中心に13万4千人。これを「経済安全保障」の分野に広げ、適正評価の
対象を同分野の労働者や研究者に広げるのが柱となる。基本的人権を侵害する身辺調査・思想調査になる危険がある。
◆「台湾有事」想定の政府避難計画、沖縄本島は対象外(28日付赤旗)
政府は「台湾有事」を想定した沖縄県・先島諸島の住民避難計画に関し、宮古地域は鹿児島空港を、八重山地域は福岡空港を経由地として各地の避難先
へ移送する方向で調整に入った。一方沖縄本島の住民は対象外で「屋内避難」とした。沖縄本島は人口130万人を超え「有事」の際には標的となる基地が
集中しており、先の戦争に続いてまたも沖縄県人を見捨てる計画といえる。
◆ 米軍機爆音被害の賠償金、日本側が負担(29日付赤旗)
政府は27日、米軍機の爆音被害に対して住民が起こした訴訟で確定した賠償金として、704億円を住民側に支払ったとする答弁書を閣議決定した。日米地位協定は、米軍が賠償金の75%を負担することを定めているが、一向に支払われず日本側が肩代わりしていることを認めている。様々な特権を認めた日米地位協定すら守らない米に対する、日本政府の屈従姿勢が浮き彫りになっている。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党裏金問題、核心には迫れず
〇 安倍派不記載5年で6億7000万円(1日付各紙)
自民党派閥の政治資金パーティー事件を受け、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)は31日、2018~22年の5年間で、所属議員らの関係95政治団体に
支出した総額6億7654万円が、政治資金収支報告書に不記載だったと発表した。新たな不記載の報道が出る度に訂正を繰り返してきたが、従来に比べ
収入や支出が大幅に増えている。
〇 自民党「裏金議員リスト」提出(6日付各紙)
自民党は5日「裏金議員」のリストを野党側に提示した。しかしこのリストは2020~22年の3年分のみで、対象も安倍派91人、二階派7人の計98人分だ
けだった。野党側は極めて不十分だとして再提出するよう求めた。
〇 自民党聞き取り調査結果を公表(16日付各紙)
自民党は15日安倍、二階両派の議員らに対する聞き取り調査の報告書を公表した。安倍派では20年以上前から組織的な裏金作りが行われていた可能性
が明らかになった。ただ使い道の詳細はあきらかにならず、派閥からの還流が始まった経緯についても核心までは迫れていない。
◆ 旧統一協会初審問も担当の盛山文科相に癒着疑惑
〇 盛山文科相、協会から選挙支援(6日付朝日)(7日付朝日、赤旗)
盛山氏は協会側との関係をめぐるこれまでの調査などに、関連団体の会合に1度出席しただけと答えていたが、21年総選挙に兵庫1区から立候補した
際、事実上の政策協定である「推薦確認書」に署名し、集会で推薦状を受け取っていたことが分かった。協会側はこれに基づき電話作戦などに信者を
動員していた。この他にも集会で、協会の活動を称賛する映像などが公開されており、取り締まる側の責任者になった盛山氏に対する協会側の揺さぶ
りとも言われている。
〇 旧協会に対する解散命令請求初の審問(23日付各紙)
東京地裁は22日、申し立てをした国と協会の双方から意見を聞く「審問」を初めて開いた。審理は非公開とされている。協会側は今後新たな主張書面
や、現役信者の陳述書などのほか、被害を訴える元信者らの尋問の請求も検討しているといい、審理は長期化する可能性がある。
◆ 中・朝に“対話”の機運
〇 金与正氏、岸田首相訪朝に言及(17日付赤旗)
北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は15日談話を発表し、「個人的見解」として、「日本が政治的決断を下せば岸田首相が平壌を訪問する日が来る可能
性もある」と述べた。与正氏は金正恩総書記の妹で、政府では無役の立場を生かして、これまでも度々相手の反応を見る発言をしている。これに対し
て岸田首相の周辺からも訪朝のアドバルーン的発言が出ており、水面下の折衝が行われていそうだ。
〇 原発処理水問題で日中が非公表協議(23日付朝日)
東京電力福島第1原発の処理水問題をめぐり、去年11月の日中首脳会談に基づき、両政府の専門担当者らが今年1月に、非公表で協議を開始していたこ
とが分かった。処理水問題をめぐっては、中国は8月日本産水産物の全面禁輸を発表。日本政府は首脳会談で即時撤廃を要求した。両首脳は最終的に
協議と対話を通じ、問題を解決する方法を見出すことで一致していた。緊張の高まる東アジアで、意図はともかく話し合いの機運が出て来たことは明
るい兆しと言えそうだ。
◆ 米軍に特権日米地位協定「世界では非常識」沖縄県が調査(19日付赤旗)
今なお「憲法の上に地位協定が存在する」現状に、沖縄県は2017~22年度に他国の運用状況を独自調査。玉城デニー知事が10日概要を報告した。
他国との最大の相違点は、駐留軍に対する国内法の適用。日本は国内法の不適用を原則としているが、NATO加盟国やフィリピン、オーストラリアは「原則適用」。中でも「米豪地位協定」はオーストラリア法の「順守義務」を明記している。
不平等な日米地位協定の改定を求める声は日増しに高まっているが、同協定は1960年の締結以来1度も改定されていない。しかしフィリピンやドイツは3度、韓国でも2度など各国とも改定を通じて対等性を確保してきている。玉城知事は「日本の主権の問題」として、「地位協定の改定を求め団結して頑張ろう」と呼びかけた。
◆ 米最大労組が停戦要求(11日付赤旗)
米国最大のナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は、8日声明を発表しガザでの停戦を求めた。またパレスティナ国家の樹立を認める「2国家解決」への支持を再確認した。AFL・CIOは1250万人の組合員を抱える。
【番外】
◆ 大阪府・市が万博に巨額予算(25日付大阪民主新報)
大阪府は14日総額3兆1972万円の一般会計当初予算案を発表した。前年度比12%減の中、万博予算は4倍以上の341億9081万円に増えている。大阪市も万博関連事業に808億円、夢洲のアクセス整備に159億8900万円、IR関連事業に5400万円を盛り込んでいる。「万博の中止または延期」を求める世論が50%を超える中、住民福祉に背を向け万博・IRに巨額を投入する維新政治への批判が強まっている。
2024.02.21 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年1月編)
2024年は元日に能登半島地震、二日に羽田空港事故と、根っこから腐ってきている今の日本を象徴するような幕開けとなりました。
被災者の皆さんには心からお見舞い申し上げます。復旧・復興に立ち上がれるよう全国からの支援、特に国の手厚い対策が必要になります。
この際作って半年で壊す大阪・関西万博にかけるヒト・モノ・カネを能登へ回すのが良識ではないでしょうか。こんな中で29日付『産経』が「土木と建築は別、復興と万博重複せず」という大見出しで、特集を組んだのには唖然としました。何が土木で、何が建築なのでしょうか!
今年も戦争への動きと平和を求める動きを追跡していきたいと思います。
【戦争への動き】
◆ 北朝鮮 韓国を「交戦国関係」と規定(1日付朝日、17日付け朝日)
北朝鮮の金正恩総書記は23年末の中央委員会総会で、韓国との関係について「もはや同族関係ではなく、敵対的な国家関係、戦争中の交戦国関係だ」と
指摘。さらに15日の最高人民会議では韓国を「第1の敵対国、普遍の主敵」と明記する憲法改正が必要だと述べた。憲法から統一原則の「自主、平和統
一、民族大団結」という表現の削除も主張。韓国との対決姿勢をさらに強めた。5日から3日連続で公海上にある韓国の離島近くに砲撃を行ったが朝鮮半
島の緊張が高まる可能性が憂慮される。
◆ 陸自幹部ら靖国参拝(10日付赤旗、12日付朝日)
陸上自衛隊ナンバー2の小林弘樹陸上幕僚副長ら陸自幹部が、9日靖国神社に参拝した。官用車を使用していた。その後11日に防衛省は陸自の航空事故調
査委員会の自衛官ら数十人と集団で参拝していたと発表した。陸自幹部の参拝は侵略戦争を美化する同神社の歴史観を肯定するものといえる。
◆ 辺野古軟弱地盤国が着工
〇 政府前のめり初の代執行を強行(11日付各紙)
防衛省は10日軟弱地盤が広がる辺野古北側の大浦湾で、沖縄県が認めなかった区域での着工に踏み切った。今後7万本以上の砂の杭を打ち込む地盤改
良工事を実施したうえで土砂を投入する。計画通り進んでも供用開始まで12年かかる。普天間基地の返還もさらに延びることになる。
〇 辺野古警備費1日2000万円超(15日付赤旗)
辺野古の基地建設に伴う警備費が、工事に着手した2014年7月から23年12月までの契約金額で748億円に上ったことが、防衛省沖縄防衛局への取材で
分かった。単純計算で1日当り2155万円に上る。今後さらに159億円が予定されており、新基地建設に反対する県民の運動を監視・弾圧するために、
巨額の税金が投じられることになる
◆ 米原潜寄港3年連続増(14日付赤旗)
米海軍原子力潜水艦の日本への寄港が2023年の1年間で37回、延べ88日に及ぶことが、寄港地を抱える自治体などの集計で明らかになった。22年と比べて9回、12日増加、3年連続の増加となる。佐世保と沖縄ホワイトビーチへの寄港が増加しており、東・南シナ海の中国軍を見据えた動きとみられる。
◆ 馬毛島基地建設費8827億円に(28日付赤旗)
鹿児島県西之表市での自衛隊基地建設費が8827億円に上ることが分かった。工期は3年程度残っており更に青天井に膨らむ恐れがある。馬毛島基地建設
計画は、米空母艦載機離着陸訓練の移転を求める米国政府の圧力を受けて、日米両政府が合意したもので、恒常的訓練が年間を通じて実施される。
◆ 首相施政方針演説「任期中に憲法改正を実現したい」(31日付各紙)
岸田首相は30日両院で施政方針演説を行った。同演説は通常国会召集日に行われるのが通例だが、今回は「政治とカネ」問題での予算委員会の集中審議
の後に行われる異例の日程となった。首相は裏金解明に背を向ける一方で、「総裁任期中には憲法改正を実現したい」と9条破壊への執念を見せた。
【国民の闘い、世界の平和への動き】
◆ 自民党「裏金」問題、依然真相“闇の中
〇 大山鳴動して”鼠3匹”
・安倍派池田議員逮捕(7日)
・安倍派、二階派、岸田派会計責任者ら起訴
安倍派大野泰正、谷川弥一両議員も起訴、捜査事実上終結(19日)
国民の大きな怒りをバックに全国から検察官の応援を得た東京地検特捜部だが、裏金作りの全容を解明しきれないまま、末端の議員3人と秘書、3派閥
の会計責任者(事務方)と二階俊博元幹事長秘書を起訴しただけで、19日捜査を事実上終結した。注目された“安倍派5人衆”や二階氏自身は立件に至
らなかった。裏金作りのシステムだけでなく最大の疑惑は裏金の使い道だったが一切明らかにならないまま終わった。大阪選出の太田房江参議院議員
が民放番組で「不真面目な使い方は全然していない。すべて真面目に使ったので手元には14万円しか残っていない」と胸を張ったことや、選挙の年に
は改選議員の還流額が大幅に増えていることなどから使途は大方見当はつくが、司法の場では検察審査会が残るだけ。今後は国会の場や国民の闘いに
移る。「落選運動」でもしたいような気分だ。
〇 刷新本部設置、派閥解散は“やってる感”のアリバイ作り
・自民党「政治刷新本部」初会合、“裏金”議員が9人も(13日付朝日)
・刷新本部改革案、派閥解散明記せず(23日付朝日)
・首相、岸田派解散明言(19日付朝日夕刊)正式解散(24日付朝日)
・茂木派も「解消」表明、麻生派を除く4派閥が解散へ(30日付朝日)
自民党は野党やマスコミの追及を前に、形だけの「政治刷新本部」を作ったが、委員は派閥の規模に応じた分配で、焦点の安倍派が10人を占めうち
9人が裏金疑惑を抱えていた。適格性が問われる議員が法改正などを議論することになり、本部自体が適格性を問われるいい加減なものとなった。
自民党自体も企業献金禁止に目をそむけ、派閥解消で争点をそらす作戦だが、麻生氏が「人は群れたがる。派閥は無くならない」とうそぶいたよう
に、早くも「政策集団化」の動きが出ている。30年前抜け穴だらけの「企業・団体献金禁止」と引き換えに、「政党助成金」と「小選挙区制」が導入
された「偽わりの政治改革」の再点検が求められる。
◆ 共産党「企業・団体献金禁止」「政党助成金廃止」2法案提出(27日付赤旗)
裏金事件の本質解明を避ける動きに対して、共産党は政治腐敗の根源を断つ2つの法案を参議院に提出した。政治資金パーティー収入も寄付とみなす
ことで、企業・団体によるパーティー券購入も禁ずる。さらに政党から政治家個人に交付する「政策活動費」も禁止することも盛り込んでいる。
◆ 国際司法裁、集団殺害阻止をイスラエルに命令(28日付赤旗)
国際司法裁判所(ICJ)は26日、パレスチナのガザ地区でイスラエルが国際条約違反のジェノサイドを行っているとして、防止のためのあらゆる措置を
とることを命じた。即時停戦を求める国際世論がさらに強まり、イスラエルの孤立が深まることになりそう。
【番 外】
◆ 維新 震災あっても万博に固執(8日付、24日付赤旗)
「#万博中止して被災地に回せ」こんなハッシュタグがx(旧ツイッター)上で連日拡散している。万博開催の直接経費は国費だけでも1647億円、イン
フラ整備など関連経費を含めると軽く10兆円を超す。業種別雇用判断DIは、建設業・運輸業ともマイナス50台の深刻な人手不足といわれる。
1周2キロの大屋根に使われる木材量は仮設住宅4000戸分に匹敵するという。財界の一部からも延期論が出るが、吉村知事は「万博か復興かの2択では
ない」維新の馬場代表は「北陸の皆さんにも明るい将来に歩みを進めてもらうイベントになる」と万博ありきの発言を繰り返している。
共産党大阪府委員会は11日「このイベントを進める大義は完全に無くなった」と改めて中止を求める声明を出した。
もはや国民の怒りの声で中止に追い込むしかない。
2024.01.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(12月編)
この月は中旬以降、自民党・全主要派閥が政治資金パーティーを通じて裏金を作っていたことが明らかになり、大きな国民的関心を呼んだ。
直接戦争に結びつく話ではないが、日本を「普通に戦争する国」に変えようという主要政治勢力が、不法な手口で資金を作っていたことで国民の怒りを
買い、政権から引きずり下ろす好機が生まれたことでトップに取り上げたい。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党・全主要派閥が裏金作り
〇 発端は「しんぶん赤旗日曜版」のスクープ記事
去年11月の日曜版が「安倍派がパーティー券のキックバックで裏金作り」と報じたことがきっかけだが、そこからの経緯は新聞各紙も報じているので
省略したい。ただ私が同じ記者として注目したのは、その着眼点と粘り強さである。
中央選管が扱う政党や国会議員、各種政治団体の「政治資金収支報告書」は、大体秋ごろ前年度分が公表される。各社態勢を組んでチェックするが、
各議員と政党本部や派閥とのやりとりが合っていれば大体終わり。
しかし赤旗は派閥パーティーの実感と比べて報告書の人数が少な過ぎることに着目。売った人がいれば買わされた人もいる筈と、各業界の政治連盟の
収支報告書から議員を割り出し、合計額をあぶり出した。百を超える政治連盟と何百人もいる議員の報告書を逐一調べ上げた労力がスクープを生み出
した。告発を受けて検察が動き出せばマスコミも気兼ねなく動く。緻密な証拠と、「安倍晋三」という“悪の巨魁”に頭を抑えられていた検察の意趣返
しが結びついたのが、珍しく握りつぶさなかったということだろう。
〇 岸田首相と安倍派の権力闘争の様相へ
パーティー収入の不正が噴出するなか共産党は5日上記法案を国会に提出した。5万円から公開など小手先の改革案が囁かれる中で、「企業・団体の政治
献金の全面禁止こそ、金権腐敗政治を根絶し国民の政治不信回復の道だ」としている。献金を受け取らずパーティーも開かない共産党ならではの対応
だ。
◆ 前自民党柿沢議員選挙違反で逮捕(29日付)
東京都江東区長選をめぐる事件で、東京地検特捜部は柿沢未途・前法務副大臣=自民党を離党=を、公選法違反容疑で逮捕した。
禁止されているネット広告容疑と区議らに現金260万円を渡すなどした容疑で逮捕した。
◆ 市民連合と5党派会合(8日付赤旗)
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は7日、共産党、立憲民主党、れいわ新選組、社民党、「沖縄の風」の野党「5党派と会談した。
「大軍拡は許さない」など5項目を次期衆院選に向けた野党の共通政策とするよう要望した。
◆ 米軍全世界のオスプレイ運用停止(8日付)
米軍は6日、屋久島沖のオスプレイ墜落事故を受け、世界で運用するオスプレイ全機を運用停止にすることを明らかにした。米軍は合わせて400機のオス
プレイを配置、うち日本には米国以外で最多の44機を配置している。事故の翌日からも国民の不安を逆なでするように通常運行をしていたが、世界の声
に押され停止することになった。運用停止に止まらず全機撤去が求められる。
◆ 国連総会、ガザ「人道的停戦」決議2度目の採択
〇 安保理決議案米が葬る(10日付)
国連安全保障理事会は8日、イスラエルが軍事侵攻している、パレスチナ自治区ガザでの「人道目的の即時停戦」を求める決議案を、アメリカの拒否
権行使で否決した。15理事国中13か国が賛成、イギリスが棄権した。日本まで珍しく賛成したのにアメリカの拒否権行使で葬られた。
〇 国連総会は153か国の賛成で決議(14日付)
総会での決議は前回10月27日に採択した「人道的休戦」の賛成121か国より32か国増えた。この中にはカナダやデンマークなどNATO加盟国や、
日本、韓国、オーストラリアなど、米と軍事同盟を結ぶ国も入っており、米とイスラエルの孤立が一層深まったと言える。
【戦争への動き】
◆ 岸田首相 19年に勝共連合会長と面会(4日・5日付朝日、5日付赤旗)
岸田首相が自民党政調会長だった19年10月に、来日中のギングリッチ元米下院議長らと面談した際、勝共連合の梶栗正義会長も同席していたと、4日付
け『朝日』がスクープとして報じた。首相が「承知していない」と否定したため、『朝日』は翌5日付で面談時4人で写った写真も掲載して追い打ちをか
けたが、首相は「写真を見ても認識は変わらない」としらを切り通した。首相は閣僚や党所属議員に対して旧統一協会との関係を自主点検するよう求
め、自らについては「知りうる限り当該団体とは関係が無い」と明言した経緯があり、首相の政治責任が厳しく問われる。
◆「自衛隊統合演習」民間空港で72回離着陸(7日付赤旗)
11月中旬に民間空港で戦闘機の着陸訓練が行われた「自衛隊統合演習」で、空港への離着陸回数が少なくとも72回に上ることが『赤旗』の調べで分かっ
た。使用されたのは岡山・大分・徳之島・奄美の4空港。“敵基地攻撃”への反撃で基地が使えなくなり戦闘機を退避させる訓練で、ますます実戦に近づい
ている。
◆ 土地利用規制法新たに180区域追加(13日付赤旗)
政府は11日、基地などの周辺住民を監視する「土地利用規制法」に基づく区域指定の第3弾となる、180カ所を告示した。これまでと合わせ合計800カ所
になる。今回は主要な自衛隊基地の大半を指定。都心部や人口密集地も含まれ、監視対象となる住民数が格段に増えている。
まさしく“だるまさん戦法”そのもの。
◆ 殺傷兵器の輸出解禁(23日付)
政府は22日、武器輸出を制限している「防衛装備移転3原則」と運用方針を改定し、大幅に規制を緩和した。政府は同日改定に基づき、地対空ミサイル
「パトリオット」のアメリカへの輸出を決め、殺傷能力のある兵器の完成品の輸出を解禁した。他国の企業の許可を得て日本国内で製造する「ライセン
ス生産品」も、ライセンス元の国ならどこでも輸出できるように改めた。日本のライセンス品は70品目に上り対象国も8か国になる。
これまで武器輸出を厳しく制限してきた日本の安全保障政策は、180度転換する大きな問題といえる。
◆ 24年度予算案 軍事費8兆円に迫る (23日付)
政府は22日「2024年度政府予算案」を閣議決定した。2年連続で110兆円を超える予算となっている。大企業優遇と軍拡が際立つ一方、社会保障など
国民生活を支える予算は抑制されている。安保3文書が閣議決定されて2年目となるもと、軍事費は7兆9496億円と過去最大を更新、10年連続で過去最大
を更新した。
◆ 弾薬庫全国14カ所に新設(27日付赤旗)
防衛省は24年度予算案に、沖縄をはじめ14カ所に弾薬庫を新設する建設費222億円を計上していることを「赤旗」に明らかにした。沖縄・九州と北海道
に集中しているが、関西でも京都の舞鶴と陸自祝園(ほうぞの)分屯地に計11棟が計画されている。弾薬庫は攻撃対象となるため、全国が戦場化する恐
れが高まる。
【番 外】
◆ 万博暴走 事業費3倍化(17日付朝日、赤旗日曜版、24日付赤旗)
大阪・関西万博の費用について、政府がまとめた全体像が判明した。万博に直接資する」国費負担は、会場建設費や「日本館」の建設費など1647億円、
このほかアクセスなどインフラ整備費は国庫負担を含めて計8600億円に上った。事業費の総額について政府は、2017年の立候補申請書で2850億円とし
ており、既に3倍に膨れ上がっている。
これを1人あたりに換算すると、国民負担はおしなべて2800円、府民負担は大阪府負担分を加えて9100円、さらに大阪市民は10万7千円と巨額になる。
これに対して日本維新の会の馬場信幸代表は「万博からIR(カジノリゾート)とレールが敷かれている。そこは惜しみなく金を出す」と語りまだまだ
増えることを示唆した。まさしく「成功すれば維新の手柄、失敗すれば政府の責任」という維新得意の路線で進みそうだ。
2023.12.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(11月編)
【戦争への動き】
11月は下旬に大きな出来事が集中したが、頭が整理しやすいように、主に時系列によってまとめた。
◆ 民間施設も軍事対応強化
〇 民間空港で戦闘機離着陸訓練(5日付赤旗、14日付朝日)
陸海空の自衛隊による最大の統合演習が、自衛隊3万人、米軍1万人が参加して、10日~20日全国4カ所で行われた。
今回は敵基地攻撃能力への反撃を受けるなどして、自衛隊基地が使えなくなる事態を想定し、岡山・大分・奄美・徳之島の民間4空港に戦闘機が離発
着する訓練が初めて行われた。
〇 38空港・港湾 防衛力強化(27日付朝日)
防衛力強化のために全国の空港と港湾の整備を進める「公共インフラ整備」が計画されている。
戦闘機が離発着しやすいように滑走路を延長したり、大型艦艇が入港できるよう港湾を掘削するのが狙い。
全国で空港14施設、港湾24施設が選定されているが、このうち7割が沖縄・九州に集中しており、ここでも“南西シフト”が目立っている。
◆ 兵器開発急ぐ
〇「軍民両用」の技術開発支援へ(1日付朝日)
防衛省がスタートアップ(新興企業)の先端技術の開発につなげる取り組みを本格化させる。先端技術をめぐっては敵のレーダーを妨害する電磁波
や、量子コンピューターといった技術の多くは軍民両用が想定され、防衛省は24年度に技術開発を支援する研究機関を発足させる計画だ。
〇 軍需企業は“ミサイル特需”(14日付朝日、28日付赤旗)
新興企業を支援するぐらいだから、もともとの軍需産業は“ミサイル特需”に沸いている。
最大手の三菱重工は敵基地攻撃用の「スタンド・オフ・ミサイル」を一手に引き受け、上半期だけで前年比5倍の9994億円と過去最高になっている。
他にも管制システムなどを手がけるNECが4割増、三菱電機も受注増で設備投資を増やしている。これらはいずれも「防衛増税」による国民負担で、
血税に群がる“死の商人”そのものである。
◆ 中国包囲網南へ着々
日米韓の軍事同盟の一体化が強められている中で、政府は中国の海洋進出に伴ない権益がぶつかる南アジアにも中国包囲網を広げる外交に力を入れている。域内の平和解決に力を入れているASEAN にくさびを打ち込む動きともいえる。
〇 フィリピンとの関係を準同盟級に引き上げ(4日付朝日)
〇 マレーシアと安保協力を深化(6日付朝日)
〇 日米演習にオーストラリア陸軍が初参加(22日付赤旗)
◆ 北朝鮮軍事衛星打ち上げにJアラート発令(21日)
〇 北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ成功
北朝鮮は21日午後10時42分頃軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号」を打ち上げ、軌道に乗せることに成功した。
北朝鮮は既に米本土まで届く超長距離ミサイルを開発していたが、実戦で使用するには「眼」の役割を果たす偵察衛星が必要で、ロシアの技術援助を
受け3度目の発射で打ち上げに成功した。運用するには数十基が必要と言われ今後打ち上げが続くと思われるが、当事者が民生用でなく「軍事偵察衛
星」と言っている以上、国連安保理決議に背くのは間違いなく新たな緊張をもたらすことになる。
〇 日本政府はJアラートを発令
発射の直後、通過が予想される沖縄県に「全国瞬時警報システム(Jアラート)」が発令された。3度目らしいが私が直面したのは初めてで、夜の民
放ニュースを見ていたら突然黒地に赤文字の毒々しい画面に切り替わった。急いで他のチャンネルをチェックしたが全部同じ画面でBSも同様、NHK
は5波出し体制だった。各局速報タイトルをつけ一斉放送の体裁を整えていたが、タイトルは次の通りである。
▽1,2チャンネル(NHK)「北朝鮮からミサイル発射」「沖縄県の方向に発射」
▽4チャンネル(TBS系列)「北朝鮮事実上のミサイル発射」
▽6チャンネル(テレ朝系列)「北朝鮮がミサイル発射」
▽7チャンネル(テレ東系列)不明
▽8チャンネル(フジテレビ系列)「北朝鮮がミサイル 沖縄県では避難を」
▽10チャンネル(日テレ系列)「北朝鮮ミサイル発射 沖縄県の方向に」
NHKはその後「建物の中、又は地下に避難」と詳しい避難方法を指示していたが、実際に破片が落下してきた場合、これで安全なのだろうかと疑問が
わいた。
先の戦争中、つけっ放しのラジオが「B29の大編隊が和歌山沖の大阪湾を北上中」と、がなっている時には、現在関西空港がある近くにあった生家で
は既にB29独特の重低音が響き始めていて、空襲警報が出る前に急いで防空壕に避難したのを思い出した。その時に比べると発令は早くなっている
が、避難体制が整備されていない中で、やたらアラートを鳴らされても危機感を演出するだけになりかねない。
◆ 屋久島沖で米軍オスプレイが墜落(29日)
米空軍所属のCV22オスプレイが29日鹿児島県屋久島沖で墜落した。山口県岩国基地から沖縄県の嘉手納基地に向かっていたもので、乗員8人は5日までに全員死亡が確認された。オスプレイの事故史上2番目の大事故で、通常なら原因解明まで運航中止が建前なのに、翌日から運航再開し捜索現場にも顔を出す無神経さに、国民の怒りに火を注いだ。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 英労組 軍事企業工場を封鎖(12日付赤旗)
イギリスで10日、複数の労組がイスラエルに対する武器供給の中止を求めて、南部ケント州にある航空軍事企業BAEシステムズの工場出入口を一斉封鎖
した。
行動には公務員労組や大学教職員組合など8労組400人が参加し「パレスチナでの戦争犯罪に加担するな」などと唱和した。
ヨーロッパではベルギーとスペインで港湾労組が武器や関連部品の積み下ろしを拒否する声明を発表するなど、労働組合員の運動が広がりを見せている。
◆ 米中、日中首脳会談1年ぶりサンフランシスコで
〇 米中首脳会談軍事対話再開へ(15日)
バイデン米大統領と習近平国家主席の会談では、偶発的な紛争を防ぐため、途絶えていた軍幹部同士の対話を再開することで合意した。この他、米中
抜きでは解決できない気候変動対策などについても意志疎通を図る。軍事面では着々と包囲網を広げるアメリカだが外交も並行するしたたかさを見せ
た。
〇 日中首脳会談 処理水問題対話へ一致(16日)
訪米中の岸田首相との会談では、処理水問題について対話で解決を図ることで一致した。また両国間の共通利益をめぐって協力する「戦略的互恵関
係」を推進することを再確認した。意見が異なる相手との対話を嫌がる岸田首相だが、こういう相手とこそ話し合いが必要なことを肝に銘じてほし
い。
◆ ガザ一時休戦合意
〇 国連安保理 戦闘休止を決議(15日)
国連安保理は15日の緊急会合で、人道支援を目的とした戦闘の「休止」を求める決議を賛成多数で採択した。
10月7日にハマスが奇襲攻撃を起こして以降、ガザ情勢に関する決議案が安保理に提出されたのは5回目だが、今回は米英露が棄権し初めて意思が表明
された。世界の世論で拒否権の行使を阻み国連の機能休止を回避した。
〇 イスラエルで反戦集会(21日付赤旗)
イスラエル共産党からの情報によると、同党が参加する「平和と平等のための民主戦線」が呼びかけた反戦集会が、18日イスラエルのテルアビブで開
かれ、ユダヤ人やアラブ人など数百人が参加した。警察は当初集会を不許可にしたが、最高裁の許可を勝ち取り、場所や参加人数を変更して行われ
た。
〇 4日間の一時休戦で合意、さらに2度延長(23日、29日付各紙)
イスラエルとハマスはカタール、エジプト、アメリカなどの仲介で、双方の人質と投獄者の解放を条件に、24日から4日間戦闘を中断した。
不十分ながらガザへの人道支援も拡大された。この休戦は28日から2日間、それに30日と2度延長され永続的停戦への期待が高まったが、30日朝から
また戦闘が再開した。
◆ 沖縄県民平和大集会に1万人超(24日付赤旗)
沖縄県内の70を超える市民団体や個人で作る「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は23日、沖縄・南西諸島の軍事要塞化を許さず、対話による戦争回避の道を求めて、那覇市で県民平和大集会を開き、県内外から1万人超が結集した。全国各地でも呼応する集会が開かれ、国会前集会には2千人が参加した。
◆ 岸田内閣支持率また最低を更新(28日付赤旗)
マスコミ各社の11月度世論調査が出揃い、内閣支持率がすべての全国紙で2カ月連続の過去最低となった。不支持率は日経で62%、ANNで54.2%と過半数を超えた。9月の内閣改造後早くも3人の政務3役が公選法違反などで辞任に追い込まれるなど、国民の内閣不信が止まらない状態となった。
2023.11.18 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(10月編)
臨時国会が始まり政治討論の季節が始まった。最近の常套手段となった「閣議決定」路線を改め、国権の最高機関としての真摯な討論を期待したい。
【戦争への動き】
◆ 中東で戦火
〇戦争というよりジェノサイド(7日)
ロシアのウクライナ侵略が2年近くになるも収束の兆しが見えない中、今度は中東で70年にわたる憎悪がぶつかり合う戦火が火を噴いた。イスラエルに抑圧されているパレスチナの、ガザ自治区を実効支配するイスラム過激派ハマスは、これまでも4度、国際世論が「パレスチナ問題」から離れそうになると、ロケット砲をイスラエル領に撃ち込んで十倍返しの反撃を受け、世界の目を向けさせる奇襲作戦を繰り返してきた。しかし今回はイスラエルの防空
能力を上回る大量のロケット弾を一斉に打ち込む飽和攻撃で多くの被害を与える一方、境界の壁を越えて地上部隊を送り込み、境界近くの集落や音楽祭に集まった人々を無差別に攻撃し、200人を超える人質を連れ去るという暴挙に出た。これによってハマス壊滅の機会をうかがっていたイスラエルに格好の口実を与え、後の経過はご承知の惨劇である。国同士の正規軍による戦争と違い、正規軍と過激派グループの戦いは戦争とは言えないジェノサイドの様相であり、ガザ地区住民の犠牲者は1万人を超え増える一方である。戦争への垣根がだんだん低くなっていく危険な時代に入ってきた。
〇国連総会 ガザ「人道的休戦」を決議(29日付各紙)
国連総会は27日緊急特別会合で、「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議を採択した。賛成121、反対はアメリカなど14か国。44か国が棄権した。日本はアメリカに追随して反対するかと思われたが棄権に回った。しかし戦争放棄の憲法を持つ国の対応としては、国民の意向を無視した態度と言わねばならない。第2次大戦前の「国際連盟」が戦争を防ぐ有効な対応が出来ず瓦解し、第2次大戦に突っ込んだ二の舞を避ける粘り強い取り組みを切望したい。
◆中国封じ込め、日米着々
〇米海兵隊離島に分散・即応体制(8日付朝日)
海上からの上陸作戦を伝統的に基本任務とし、陸海空のすべての機能を備えた「殴り込み部隊」と位置付けられる米海兵隊が、対テロから対中国への転換を打ち出した。離島の沿岸部に小規模の部隊を分散させ移動攻撃をする。沖縄の第3海兵遠征軍の傘下に海兵沿岸連隊が新設される予定で、沖縄が背負う重荷は県民の頭越しに一層重みを増すことになる。
〇南西諸島で日米大規模訓練(14日付赤旗、25日付朝日、赤旗)
陸上自衛隊と米海兵隊による最大規模の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」が、14日から31日まで、九州・沖縄を中心に行われ、自衛隊5千人・海兵隊1400人が参加した。その一部が24日報道陣に公開されたが、海兵隊の対空レーダーで警戒しながら陸自が攻撃するなど、日米の一体化を象徴する想定。
沖縄県が自粛を求めていた陸自オスプレイが参加、長射程ミサイルの射撃準備なども披露するなど、中国を念頭に置いた防衛力の「南西シフト」に、地元の懸念はさらに強まっている。
〇自衛隊「常設統合司令部」創設を表明(28日付赤旗)
防衛省は24年度予算の概算要求に、陸海空自衛隊の実働部隊を一元的に指揮する「常設統合司令部」の創設を盛り込み、「米インド太平洋軍司令部と調節する機能」のためだと初めて明記した。防衛省は既に06年、3自衛隊を束ねる統合幕僚監部を設置しており、屋上屋を重ねるような司令部の創設は米側の要求であることが、自衛隊元高官の証言で裏付けられている。共産党の志位委員長は25日の衆院本会議で、「米司令部の指揮の下に自衛隊が事実上組み込まれることを意味するものではないか」と告発した。
〇トマホーク調達1年前倒し、国産ミサイルも(6日付、11日付赤旗)
木原防衛相は現地時間4日米でオースティン国防長官と会談し、憲法違反の敵基地攻撃能力として使われる長距離巡航ミサイル「トマホーク」を、1年前倒しで25年度から取得することで一致した。400発のうち半分は1世代前の旧式になる。
さらに帰国後の10日の記者会見では、26年度からの配備を狙う国産の長射程「スタンド・オフ・ミサイル」全種類について、整備の前倒しを検討するよう指示したことを明らかにした。国民生活防衛のための施策はなかなか実施しないのに、敵基地攻撃兵器には前のめりの姿勢を明らかにした。
◆辺野古代執行へ国が提訴(5日)
名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う設計変更の「指示」に対し、玉城知事が4日「期限までの承認は困難」と回答した。これに対し斉藤鉄夫国交相は5日、国が代わって手続きを代行する「代執行」のための訴訟を起こした。裁判で国が勝訴し代執行を強行すれば初めての措置になる。
◆岸田首相 自民政権下16年ぶり連合大会出席(6日付朝日)
連合の定期大会が5日始まり、自民党政権下の首相としては16年ぶりに岸田首相が出席した。首相は連合が開いた1月の新年交歓会やメーデー中央集会にも出席するなど、連合との蜜月関係を強めている。労組が賃上げや最低賃金などを政権に頼る一方、“反共”を旗印に野党共闘の妨害者になるのは自殺行為といえる。政府が先の戦争中の1940年にすべての労働組合を解散させ、戦争協力機関として「大日本産業報国会」に変質させた二の舞になるのだろうか。
【国民の闘い】
◆玉城知事代執行訴訟で「辺野古承認せず」表明(12日付朝日)
玉城知事は記者団に対して「承認するという立場には立てない」と述べ、国が起こした「代執行訴訟」で、自ら意見陳述し争う考えを示した。全国で知事を激励する行動やネット署名が始まっている。
◆文科省 統一協会の解散命令を請求(13日)
文科省は全国霊感商法対策弁護士連絡会とも連携した調査の結果、統一協会が遅くとも1980年頃から継続してきた献金被害や不法行為を認定。宗教法人法が解散命令の要件として定める行為に該当すると判断した。解散命令が出されれば、”宗教2世”らの救済につながるとともに、“政治と宗教”の関係が断ち切れない多くの政治家にも警告を与えることになる。
◆岸田内閣支持率急落(31日付赤旗)
27日~29日実施の日経とテレビ東京の合同世論調査で、内閣支持率が前月比で9ポイントも急落し33%と、政権発足後最低を更新した。これで10月に行われた世論調査では全国紙のすべてで過去最低となった。国民の願いの物価高騰対策に対して一見応えるような“所得税減税”も、防衛増税の目くらましにすぎないことを国民に見透かされたと言える
【番外】
◆万博会場建設費また膨張(21日付各紙)
開幕が1年半後に迫る大阪・関西万博の会場建設費が再び増額されることになった。万博協会は20日、これまで1850億円としていた会場建設費について、最大2350億円に増える見込みであることを、国・大阪府市・経済界の3者に伝えた。当初の1250億円からは2倍近くになる。大阪維新からは「増額分は国費で」という意見も出ており、カジノの露払い役として計画された万博の国民負担は際限なく増える様相だ。
◆札幌市冬季五輪招致断念(7日付赤旗、12日付朝日)
30年の冬季オリンピック招致を目指していた札幌市とJOCは、11日招致断念を発表した。JOCの山下泰裕会長は「住民の理解を十分に得ているとは言い難い」ことを理由に挙げた。上記万博と同じく直接戦争には関係ないが、国民の闘いによって1度決まったことでも中止させられる例として紹介した。
2023.10.17 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(9月編)
【戦争への動き】
◆24年度予算概算要求、軍事費過去最高更新(1日付各紙)
国の24年度予算編成に向け、各省の概算要求が出そろった。要求総額は114兆円規模となり過去最大になる見通し。中でも突出しているのは軍事費で、過去10年4~5兆円に収まっていたのが、23年度で6兆8千億円に急増したのに続いて、来年度はさらに1兆円近く上回る7兆7千億円になった。
12年連続で前年度を上回る。物価高騰に直面する市民生活を後回しにし、5年間で43兆円を注ぎ込むという対米公約を最優先した大軍拡一直線の予算となっている。
◆米軍基地辺野古移設阻止、重大局面へ
〇「設計変更」不承認訴訟、沖縄県の敗訴確定(4日)
名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、軟弱地盤に伴う地盤改良の設計申請変更を承認するよう、国が「是正指示」を出したのは違法だと県が訴えた訴訟で、最高裁は4日沖縄県の上告を棄却する判決を言い渡した。判決確定に伴い玉城デニー知事は設計変更を承認する義務を負う形となるが、行政不服審査法を乱用し国が力ずくで自治体を従わせる先例になりかねず、戦争に反対する国民を威嚇する政府の姿勢を見せつけたと言える。
〇国交相「代執行」への手続き着手(20日付赤旗)
斉藤鉄夫国交相は19日玉城知事あてに、設計変更を承認するよう勧告する文書を発送した。地方自治破壊の最たるものである「代執行」の手続きに着手した。
〇玉城知事 国連人権理事会で新基地強行を告発(20日付赤旗)
(*内容は国民の闘い欄)
〇木原防衛相 玉城知事との会談スルー(25日付朝日)
木原稔防衛相は24日就任後初めて沖縄県を訪問した。防衛相は就任後初の訪沖の際に知事と会談するのが恒例だが、宮古、石垣両島を視察して市長と会談しながら、知事と会うことなく会談は異例の見送りとなった。木原氏は以前から沖縄県民を敵視する言動が物議をかもしており、問答無用で辺野古移設を強行する岸田内閣の姿勢を如実に表したと言える。
◆米軍の動き急
〇日米共同訓練、米揚陸艇部隊が初参加(19日付赤旗)
陸上自衛隊と米陸軍が南西諸島地域などで実施する共同訓練が、14日から10日間実施された。訓練には新編成された米陸軍揚陸艇(LCU)部隊が初めて参加、沖縄から奄美大島まで高機動ロケット砲システム「ハイマースや物資などを輸送した。今年1月の日米安全保障協議委員会で合意した、部隊の南西地域への戦時投入を想定した訓練に着手した。こうした実践的訓練の強化は中国軍を刺激し南西諸島の緊張を高めるものと言わざるをえない。
〇「在日宇宙軍」米軍が創設を検討(17日付日刊スポーツ、26日付朝日)
最初に報じたのは、スポーツ紙ながら社会面にも力を入れている「日刊スポーツ」、コラム「政界地獄耳」や「フラッシュアップ大谷昭宏」などが有名。通信社の配信記事と思われるが、その後一般紙のフォローが無いので様子を見ていたところ、朝日などが来日中の宇宙軍トップが認めたとして報道した。宇宙軍は19年に発足し、22年ハワイに「インド太平洋宇宙軍」創設、「在韓米宇宙軍」の運用も開始している。日本政府も「宇宙作戦群」を立ち上げており、宇宙領域でも日米一体化が進むことになる。
◆日本政府の動き
〇土地利用規制法 180か所新たに指定へ(12日付赤旗)
政府は土地利用規制法に基づく第3回の指定候補として、25都道府県の180か所を示した。防衛省本省がある東京都の市ヶ谷庁舎をはじめ、府中基地など人口密集地の自衛隊基地が相次いで候補となり、本格的な住民監視が進む恐れがある。
〇情報公開 防衛省の不開示決定増(24日付赤旗)
情報公開法に基づく行政文書の開示判断をめぐり、防衛相の不開示決定や延長される事例が年々増加傾向になっている。防衛省関係では安保法制を強行した2015年の、不開示192件、延長1809件を最高に減少していたが、21年には不開示184件、延長3067件と再び増加傾向に転じている。開示しても「のり弁」と呼ばれる黒塗りのケースがあり、第2次安倍政権と比べても岸田政権の隠蔽体質が際立っている。
◆都倉文化庁長官 勝共連合と深い関係(6日、18日、25日付赤旗)
作曲家で文化庁長官の都倉俊一氏が、旧統一教会の政治組織「国際勝共連合」と深い関係を持つことが、共産党の宮本岳志衆院議員や「しんぶん赤旗」の調査で判明した。文化庁には宗教法人の認可などの実務を担う宗務課があり、長官は直接宗務行政を統括する立場。現在統一教会の解散命令請求を判断するための調査を担当しており、菅首相以来の任命責任が問われる。
〇都倉氏84年勝共連合主催集会に参加
集会は「共産主義に対する勝共連合の団結力」を示す目的で開催されたもので、会員3万人が参加。中曾根首相や岸元首相らの祝電の他,機関紙「思想新聞」で「芸能界の来賓」として都倉氏の『非常に感銘を受けた』とするコメントが顔写真付きで紹介されている。これに止まらず都倉氏は同年「思想新聞」で「都倉俊一の世相寸評」というコラムを担当、13回にわたって掲載されている。
〇87年には勝共系映画の音楽を担当
勝共連合が「スパイ防止法」制定運動の一環として製作した映画で、都倉氏が音楽を担当していたことが「赤旗」の調べで分かった。この映画は自民党が85年の国会に提出した法案が言論などの自由を侵害するものとして廃案に追い込まれた下で、巻き返しを図って作られ、87年に70回の上映会が開かれたという。
この映画は2008年にDVD化されて1枚2千円で販売され、長期にわたる宣伝材として利用されている。この出版を担当した団体と勝共連合本部が、同じ建物の1つの部屋に同居していたことも判明しており、2つの団体が一体であることが明らかになっている。当時は霊感商法の被害が急拡大した時期でもあり、都倉氏の説明責任が問われとぃる。
◆マイナンバー何でも紐づけは日本だけ(3日付赤旗日曜版)
「日本はデジタル後進国、主要先進国に大きく後れを取っている」として、トラブル続出のマイナンバーカードを国民に押しつける岸田政権。しかし同一の個人識別番号を複数の行政機関で利用し、1枚のカードに紐づけようとしている国は、主要先進国(G7)で日本だけということが分かった。他国の状況は、行政分野ごとに異なる番号を使用するか、カードは使用しないことになっている。一時共通番号を導入した国もあったが、政府による管理社会やプライバシー侵害に対する国民の反対、違憲判決も出て撤回・廃止が相次ぎG7では使用されていない。世界の流れに逆行してまで国民管理を強めようという政権の思惑が明らかになった。
【国民の動き】
◆カジノ・万博中止要求(7日付赤旗)
「カジノに反対する大阪連絡会」は6日、「大阪のカジノ誘致計画の『認定』取り消しを求める要請書」、「大阪・関西万博の中止決定を求める要望書」を首相ら宛に提出した。
◆インボイス反対署名54万に(26日付赤旗)
10月から導入される消費税のインボイス(適格証明書)制度の中止を求めて署名活動を進めてきた「STOP !インボイス」は、署名が50万を超えた25日官邸前アクションを行った。紙の署名に比べて集めやすいオンライン署名とはいえ50万を超すのは初めてで、最終的には54万に達した。インボイス制度に対する中小業者の怒りの大きさをまざまざと示した。
◆玉城知事、国連人権理事会で新基地強行を告発(20日付赤旗)
玉城知事は18日スイスで開催中の国連人権理事会に出席し、国際秩序に関する会合で発言した。日本政府が強行する辺野古の米軍新基地建設について、「平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の現状を注視してほしい」と国連関係者や各国政府代表に訴えた。日本の知事が国連人権理事会で演説したのは、15年の翁長雄志知事以来2人目になる。
◆対馬市長 核ごみ調査応募せず(27日)
長崎県対馬市で、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を誘致する市議会の動きに対し住民の反対運動が起きていた問題で、27日比田勝尚喜市長は誘致の最初の段階となる「文献調査」に応募しないことを表明した。比田勝市長は「市民の合意形成が不十分で、観光や水産業などへの風評被害が発生すると指摘し、処分場の安全性にも疑問を投げかけた。各地で20億円の交付金目当てに誘致の動きがある状況に一石を投じたと言える。
2023.09.19 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(8月編)
【戦争への動き】
◆日中間に新しい火種
〇自民党麻生副総裁 台湾で「戦う覚悟を」(8日)
麻生副総裁は訪問中の台北市内で講演し「日本、台湾、米国などに、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」と
気勢を上げた。この武力衝突を想起させる発言には日本国内でも波紋が広がった。
〇福島原発の汚染水放出開始(24日)
東京電力は24日福島第1原発に溜まった汚染水を、トリチウム濃度を海水で希釈した“処理水”と称して海への放出を始めた。
計画では今年度はタンク約30基分にあたる3万トン余を4回に分けて放出する。
東電はその都度海水のトリチウム濃度を公表するということだが、完了まで30年は続くという気の遠くなる話で、1回ずつの発表では“微
増”でも何年も先はどうなっているか不透明である(ここでも“だるまさんが転んだ”作戦が…)。
〇中国、日本からの水産物輸入を全面禁止
◆日米韓3国首脳会談(日本時間19日)
日米・米韓の軍事同盟は安定しているが、日韓関係は韓国の政権が保守・革新で入れかわる度にぎくしゃくを繰り返している。
3か国の首脳が国際会議でなく独自に会談するのは初めてで、共同声明で「3か国の安保協力を新たな高みに引き上げる」ことを強調している。具体的には3国の首脳会談や共同訓練を毎年実施することを打ち出しており、東アジアに新たな軍事的枠組みを作り、分断と対立をより深刻に
する動きといえる。
◆新たな「国家総動員体制」始動
〇民生9分野「重要技術課題」に指定(27日付赤旗)
政府は25日安保3文書の一環として、民生技術の軍事利用の推進に9分野を「重要技術課題」に指定した。
この中には高出力マイクロ波をレーザー兵器につなげる技術化、ドローンなどの無人兵器やAI使用の自律兵器の開発、超音速飛翔技術の獲
得などを列挙。民生技術の大規模な軍事利用を目指している。
〇土地利用規制法第2弾指定(15日付赤旗)
政府は自衛隊基地など周辺住民を監視する土地利用規制法の運用第2弾を、10都県161カ所で始めた。空港や原発が初めて対象区域に追加さ
れ、第1弾と合わせて219カ所となった。
〇自衛隊への名簿提供、自治体の6割超す(16日付赤旗、6日付大阪民主新報)
2022年度に自衛官募集のため、若者の個人情報を自衛隊に提供した自治体が1068に上り、初めて6割を超えたことが分かった。
維新府政の大阪では、3市町を除く40自治体が要請に応えていた。『7月編』で紹介したように、自衛官採用が困難になっている背景もある
と思われるが、本人の同意なく個人情報を提供するのは、憲法が定める基本的人権を無視しているものであり、厳しく追及されねばならな
い。
◆終戦記念日に「産経」「読売」が大軍拡あおる社説(15日)
15日の社説に「産経」は『中国が核威嚇してきたらどうするのか』と恫喝し、「核抑止」を受け入れるよう求める社説を出した。
日本が受けた苦しみを他国に与える覚悟を持てと迫るものである。
また「読売」も『脅威に対処するには相手に攻撃を思いとどまらせるような抑止力や反撃能力を持つことせんが不可欠』として軍事力強化を
主張した。
戦前の大本営発表追随や、1960年安保闘争時一部過激派のデモ批判を口実に政府擁護に転じた「7社共同声明」の過ちを繰り返すのだろうか。
【国民の闘い】
◆広島・長崎両市長、「核抑止」脱却を訴え
広島(6日)、長崎(9日…台風で規模縮小)で行われた平和記念式典で、岸田首相はこれまでのコピペのような「核兵器の無い世界を目指す」という中身のないメッセージを繰り返した。
これに対して広島市の松井一実市長、長崎市の鈴木史朗市長は「平和宣言」で、核保有国の指導者に対して「核抑止論は破綻していることを
直視すべきだ」と訴え、日本政府には核禁条約の署名・批准を求めた。G7を受け一歩踏み込んだ宣言となった。
◆日本生命、核兵器・たばこ関連企業への投融資取りやめ(8日付朝日)
国内最大級の民間機関投資家である日本生命は、核兵器をつくったり、たばこを製造したりする企業への投融資を今後行わないと発表した。
地球温暖化対策の「脱炭素」の取り組みを強めるという。企業や機関投資家の間で同様の取り組みが広がることを期待したい。
◆マイナンバーカード、保険証廃止の前提崩れる(9日付、17日付朝日)
7月編で、保険証のマイナカードへの紐づけがピンチと紹介したが、政府が急ぎ作った「マイナンバー情報総点検本部」が8日に発表した中間
報告でも、誤登録が合わせて8000件を超すことが分かった。
さらに16日には加入者が最も多い「協会けんぽ」で、少なくとも40万人分のデータが紐づけされず使用できない状態になっていることが明らかになった。他の保険でも同様の事象が起こり得るという。
岸田政権が固執する保険証廃止の前提条件を大きく覆すもので、制度の根本的矛盾が露呈してきている。
【番外】万博・カジノ 国民負担膨らむ
〇めど立たないパビリオン建設(赤旗19日付)
7月初めマスコミが「海外パビリオン建設申請ゼロ」と報じて、準備の遅れが白日の下にさらされた「大阪・関西万博」。
主催者側が「建設代行」や「不払い経費肩代わりの保険創設」、工事に従事する建設労働者を残業時間規制の対象外とするなど、なりふり構わぬ動きを見せ始めた。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」と正反対の、労働者の命を軽視するような姿勢に、建設代行に応じたのは1か国に止まっている。
〇膨らむインフラ整備費当初の2倍に(赤旗29日付)
国と大阪府市、経済界が3分の1ずつ拠出する万博の会場建設費は、当初計画の1250億円から、既に600億円増額されているが、会場建設の遅れなどで上振れは必至と見られている。
大阪市はこの会場建設費に夢洲でのインフラ整備費などを加えた「万博・夢洲まちづくり関連事業」の総事業費を3400億円と説明していた。
しかしこれも土壌対策費や鉄道整備費など諸経費の高騰で、7500億円と倍以上にふくらんでおり、今後も青天井の状態だという。
その多くが国民負担として跳ね返ってくるのは必至で、「身を切る改革」が売りの維新の政治姿勢が厳しく問われる。
〇共産党、万博中止の声明発表(赤旗31日付)
共産党大阪府委員会は30日「今事業を止めないと、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつけることになる」として、万博中止を求める声明を発表した。これまで大阪の政治勢力は、カジノの露払い役としての位置づけをしつつも、国際関係を考慮して万博中止まで踏み込んだ
態度表明を控えてきたが、共産党の先駆的な声明発表により、カジノ反対の闘いに大きな影響を与えるだろう。
2023.08.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(7月分)
通常国会が6月で終わり悪法が次々と成立、「戦争をする国」への法的枠組みが固められた。
7月からは具体的な準備が着手されだしたと言える。出来るだけ時系列で追ってみた。
【戦争への動き】
◆日米訓練、全国に米戦闘機展開
米軍のインド太平洋地域での大規模演習の一環となる日米共同訓練が7月4日から始まった。米軍は三沢(青森県)から嘉手納(沖縄県)までの全基地に展開、空自・海自も百里(茨城県)、築城(福岡県)、硫黄島(東京都)などの基地から戦闘機が参加する。今回目を引くのは米軍機の全国各地への機動展開。嘉手納など大規模基地が破壊されることを想定し、航空機を分散配置する訓練といわれる。まさに日本全土が戦場になることを前提にした訓練で早速安保3文書が動き出したと言える。
◆殺傷兵器の輸出可能へ(6日付朝日)
武器輸出を制限している「防衛装備 移転3原則」の運用指針見直しをめぐり、5日の与党実務者協議で、輸出緩和に向けた中間報告書を取りまとめた。掃海や正当防衛に必要な場合、殺傷能力のある武器を輸出することは可能との方向を打ち出している。こうした平和国家としてのありようを定めた指針の見直しは、色んな方面で進められている。政府がサイバー空間での「先制攻撃」につながりかねない「能動的サイバー防御」の導入に向けての法改定の検討(8日付赤旗)。憲法審査会で維新なども含めた悪政連合が策動している“緊急時”の議員任期延長の企て(17~18日付赤旗) 。これには参考人として陳述した学者から「民意を反映していない政権の継続は『緊急事態の恒久化を招く』と警告されている。さらには民間の動きではあるが、陸自のトップである元陸幕長が、改憲右翼の日本会議の出版物で、自衛官の戦死に備えて靖国神社を国家の「慰霊顕彰施設」として復活させよと公然と主張していることが分かった(31日付赤旗)。戦争への準備が水面下で進行している。
◆米軍オスプレイ高度60メートルの超低空飛行(7日付、20日付赤旗))
米海兵隊のMV22オスプレイが日本国内の山岳地帯で、高度60メートルの超低空飛行訓練を行うことに日米合同委員会が合意した(7日付)。これに続いて米空軍のCV22オスプレイも同様飛行を想定していることが分かった(20日付)。航空法に定められている最低安全高度は150メートルである。因みにマンションの1つの階の高さを2.5メートルと想定すると、高度60メートルは24階に相当する。いくら山間部とは言え人家もあれば動物の営巣地もある。この高さで欠陥機のオスプレイが飛行し爆音を響かせると思えば身の毛もよだつ。 ベトナム戦でよく見たヘリからの地上攻撃の訓練にでも入ったのだろうか。
◆日本維新馬場代表、憲法無視の暴言(23日)
日本維新の会の馬場代表がネット番組で数々の暴言を行った。「維新は第2自民党でいい」との発言は、本家である大阪維新の会が松井や馬場ら自民党に 不満を持つ地方議員が、右から自民党を揺さぶろうと橋下徹を党首に担いで結党したもので、初めから“第2自民党”的存在だった。それを自ら認めたもので驚くに当たらない。問題はそれに続いて「立憲民主党がいても日本は良くならない」「共産党は日本から無くなったらいい政党」との発言である。 特に共産党についての発言は従来の反共攻撃を超えた民主主義を根本から否定する暴論と言わざるを得ない。憲法に保障された「言論の自由」「結社の自由」を公然と否定し、戦前の天皇制政府、ナチスドイツに代わって、共産党非合法化の先兵役を維新が買って出たと考えるとぞっとする。各方面から厳しい批判が出るのは当然である。公式に発言を撤回させねばならない。(敬称略)
---《 だるまさんが少しずつ転がり始めた! 》---
【国民の戦い】
◆マイナンバーカード反対の署名始まる
国民のすべての情報を国家が管理することを狙い「静かな徴兵制」といわれるマイナンバー制度。最終的には29の個人データを1枚のカード収める制度だが、功を焦って充分な準備の無いまま、「健康保険証」を廃止しカードに紐づけしようとしたことから混乱が始まった。全国保険医団体連合会の調査で、このまま来秋に保険証を廃止すれば、108万件以上のトラブルが発生するという推計が明らかになった。(6日付赤旗) 実際大阪府保険医協会のアンケート調査でも医療機関の7割がトラブルを経験している。こうした中ネットで2日に、「#マイナンバーカード返納運動」が呼びかけられたほか、11日には共産党が「健康保険証の存続、マイナンバーカードへの一本化の中止を」とのアピールを発表し、署名活動が全国的に開始された。反対運動の広がりで自民党内にも延期や中止の声が出始めている。
◆核兵器禁止条約に日本の参加求める意見書659議会に(7日付赤旗)
核禁条約が国連の会議で採択されて7日で6年になる。この日までに世界で署名は92か国、批准は68か国に上っている。唯一の戦争被爆国である日本は署名も批准もしない国民に背を向けた態度を取り続けている。こうした中でも国民の粘り強い闘いで参加を求める意見書を可決した地方議会が、全体の3分の1を超える659議会に達したことが、日本原水協の調べで分かった。このうち県議会は岩手、長野、三重、沖縄の4県で可決されている。
◆自衛官応募1万人近く減(30日付赤旗)
22年度の自衛官等応募者数は7万4947人で、前年度比9735人減と大幅に落ち込んだ8万人を割り込んだのは過去10年間で初めて。戦いとは言えない消極的拒否にせよ国民感情を反映したものといえる。大軍拡の旗振りのもと足元では兵士の充足率は75%に落ち込んでいる。
【番外】大阪万博、海外パビリオン建設申請大幅遅れ(1日付朝日)
戦争準備とは直接結びつかないが、マイナカードのように一旦決定されたものでも運動の中で実施が危ぶまれ出したのが、25年開催予定の「大阪・関西万博」である。情報が少なく準備状況がよく解らなかったのだが、1日付の朝日が海外パビリオンの建設に必要な申請が、大阪市に1件も提出されていないと報道したことで、大きな驚きとともに実態が明らかになった。万博には153か国・地域が参加を表明しているが、そのうち各国が費用を負担して独自のパビリオンを建てる50の「タイプA」が目玉になる。完成まで早くても1年半の工期が必要とされるのに、開幕まで2年を切った6月末でも、「仮設建築物許可」申請がゼロという。危機感を持った主催者が各国にはっぱをかけたり、代行建築を提案したり、国内建築会社に経費支払いが滞った場合費用を立て替える保険を設けるなど、今頃になって大あわての有様。もともと「何故今頃万博?」という疑問が内外にあったが、カジノ反対の運動が進むにつれて、「カジノの露払い役」という万博の真相が海外にも浸透していったのが実際のところではないだろうか。運動を強めて行けば万博もろともカジノを断念させる可能性が出て来たと言える。
2023.07.19 平林光明(放送を語る会・大阪)
新しい戦前・考 (5月、6月分)◆ お花畑が芋畑に「有事で食糧が不足する事態に備え、農水省が農産物の増産を農家などに命令できる制度をつくる方向で 検討を始めた」という記事が、 5月11日付の朝刊各紙に掲載された。 具体的には花農家にコメやイモを作るよう命令したり、価格 統制や配給制なども視野に入れるという内容。 その後続報や反論なども目にしないため単なる観測記事かとも思っ たが、 17日の衆院農水委員会で日本共産党の田村貴昭の質問に対して検 討していることが明らかになった。 初め「食糧増産命令」の見出しに、戦後一貫して減反・減産を押し付けて来た政府が食料自給率の向上に舵を切ったのかと 期待したが、戦前の『臨時農地等管理令』 をなっぞった有事体制だった。 各地で校庭や公園が芋畑に変えられ、 毎日ふかしイモを食べさせられた思い出がよみがえった。 ◆ 『軍拡財源法』(6月16日)『軍需産業支援法』(6月7日)が成立 敵基地攻撃能力や43兆円防衛予算倍増、それに防衛産業の基盤強化など、 安保3文書を予算面から保障する2つの法案が成立し、 戦後の平和国家を戦争する国に作り替える体制が固まった。 後ほどバイデン米大統領が「私が岸田を説得した」 と大見えを切った。 大統領選を控えたパフォーマンス色が強いが当らずとも遠からずと いったところだろう。 ◆ 悪法次々成立、悪政4党連合の成立通常国会の会期末を控え『原発推進法『改訂マイナンバー法『改訂入管法』など悪法が次々と成立した。 その推進力となったのが自公の与党勢力と維新・国民民主の自称“ 野党”の4党連合である。この姿は戦時中の『大政翼賛会』 を彷彿させる。この維新と国会前半数合わせで共闘し“野党” としての幻想を与えた立憲民主党の罪は重いといえる。 ◎ 若者憲法集会(6月13日)こうした戦争への流れに対して6月13日に民主青年同盟など若者が抗議集会を開き1500人が参加した。 数はまだまだ少ないが青年組織がまとまって行動を起こしたのは6 年前の「シールズ」以来である。 この他の世代も悪法が大詰めになる度国会に集結した。 国民の怒りの声の中で“悪政連合”の中でも、 軍拡増税の執行延期やマイナンバーカードの見直しなど動揺も生ま れている。 悪法は成立したから終わりでなく、執行させない闘いに引き継ぐことが民主勢力のとるべき道ではない か。激動の6月を見据えての私の思いである。
【ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会民主主義者ではなかったから
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。】
《丸山眞男「現代における人間と政治」での引用訳文》
【ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。
それからナチは社会主義者を攻撃した。
それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、
なおも何事も行わなかった。
さてそれからナチは教会を攻撃した。
2023.03.07 アーチャン
「番組語り場」欄に今井さんが投稿(※🔗)されていますが、BS1スペシャル「密着 自衛隊 ”ミサイル防衛”」 私も見ました。
ロシアの非人道的なウクライナ侵攻から一年超、その惨状を嫌というほど見続けている中で、今回の番組の自衛隊の訓練は戦争の恐ろしさを知らぬ子供の戦争ゴッコそのまま。しかるにそのあとアメリカの射撃場を借り1億円もの大金を投入し、たった1発のミサイル実射成功に歓喜、憤然たる思いで視聴。
識者のインタビューで、柳沢氏の現状を憂い眉間にシワを寄せる表情が事態の深刻さを象徴していたが、迎撃ミサイルによる防衛の難しさや反撃としての敵基地攻撃実行の根拠の危うさにも言及。元内閣官房副長官補の肩書を持つ氏の非核、反戦への提唱国として日本がリーダーシップを発揮すべしとの忠告は「聞く力」を自負していたあの人への苦言と首肯しきり。
今は昔、勤労者通信大学を受講していた時、ある講師が対米従属の中の日本の再軍備を皮肉たっぷりに「この道はいつか来た道」と、その頃はまだ受講生の笑いを誘う受け狙いのジョークとして記憶。
あれから数十年、憲法を無視した敵基地攻撃論とミサイル購入による身の保全を図った岸田政権の無謀極まりないアメリカ追随は、
まさに「この道はいつか来た道」!!
2023.03.03 五十嵐吉美(青森)
23年度予算が衆議院で通過したからか、参議院予算委員会につい
中頃に放送された。
中継を見ることができなかったのでニュー
予算③消費税「インボイス」
少数政党の質問だった
もう一つの気づきは、なんと「ニュース7」と「ニュースウォッチ9」は同じ編
この日「反撃能力」というタイトルでは、れいわ新選組の山本代表
発射したほうがいい」と言われたら断れるのか?
日本が判断する」という答弁だった。
いということだ。
驚いたのは3月3日「しんぶん赤旗」の1面トップを見たからだ。
られていた。裏付けは防衛省のもので、核・生物・化学
合わせしたという事実を追及していた
国民に知らせない、国民が知らないう
2023.02.23 山村惠一(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前」 NHKの選択は?
「戦後」平和がNHK発展の基本的条件であった。
「戦後」放送法の下、自主・自立・自由に則った放送で国民から信頼を得られてきたのである。
ラジオ、テレビからハイビジョン、デジタル放送へ放送技術の発展に伴い、平和の下でこそがNHKの経営基盤も確立できたといえる。
もしも、日本が戦争に巻き込まれていたなら、このような発展は考えらえなかった。
「戦前」国民が熱情するなか、放送は疑うことなく大本営発表で戦争を推進する痛恨の罪を背負った。
新聞も発行部数が急伸し勇ましい記事を書き連ねた。同罪である。
岸田政権は、ウクライナ侵攻や北朝鮮の挑発的策動を背景に、国会に諮ることなく安保3文書を閣議決定した。
世界3位の軍事大国(GDP2%)専守防衛から敵基地攻撃への大転換で、戦争の足音がすぐそこに聞こえる。
いま、まさに「新しい戦前」といえる。
岐路に立つ日本の将来に向けて、NHKの放送はどちらの道を選択するのかは自明である。
放送法は「放送を公共の福祉に、その健全な発展を図る」「放送が健全な民主主義の発達に資する」とその目的を規定している。
を付け加えておきます。
2023.02.21 五十嵐吉美(青森)
「新しい戦前」の気づき
BSTBSの「報道1930」をよく見ている。
3年前くらい前だったか半藤一利さんが亡くなる前に、保阪正康さ
昨年秋、半藤さんが亡くなり保阪さんがお一人で「報道1930」
その年末の「徹子の部屋」で、タモリさんが「新しい戦前」と発言
しかし、しかしである。「大転換」の内容をテレビはしっかり視聴
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