◎「字幕付き映画」の持つ可能性 平林光明(放送を語る会・大阪)
先日5年ぶりに映画を観に行った。
お目当ては三浦綾子さんの原作を、山田火砂子監督が映画化した『われ弱ければ 矢嶋楫子伝』(現代ぷろだくしょん製作)。
奇しくも5年前最後に観に行った映画が、同じ現代ぷろ、山田監督のコンビの『小林多喜二の母』だった。
恥ずかしながら、今回のモデルの矢嶋楫子(かじこ)さんは初めて聞く名前だったが、江戸時代末期から大正にかけて女性解放運動の元祖といわれる活躍をした人物である。男尊女卑の色濃い江戸時代の武家社会で武士の妻だったが、酒乱の夫に史上初と言われた妻からの離縁状を突きつけ、38歳で教育界に身を投じる。後に日本キリスト教婦人矯風会の初代会頭となり、明治になっても「妾」という記載が残る戸籍法を改めさせ、一夫一婦制を確立する。これを皮切りに婦人参政権や廃娼運動など多くの活動に関わり、90歳の時にはアメリカで軍縮会議に出席して世界平和を訴えたりもした。
劇中楫子が「男女同権の世の中になれば、日本はもっと素晴らしい国になる」と夢を語るシーンがあるが、あれからおよそ100年。
「ジェンダー平等」の闘いが新たな発展を遂げているが、如何に長い闘いか思い知らされた。
冷雨の中、私の足を上映会場に向かわせたのは、山田監督の作品ということもあるが、チラシにあった「字幕付き上映」という一言だった。
私事になるが、60代後半から聴力が衰え始め、映画を観に行っても音声は聞こえるがセリフの内容が分らないことが多くなった。
「何故みんな笑っているのだろう」の状態である。そしてセリフを理解するのに疲れて寝てしまうのがいつもの姿になった。演劇も同じである。家でテレビを見るのもスポーツ以外は字幕頼りになった。その中でテレビは意欲的にナマ番組や国会中継にも字幕を付ける挑戦をしている。
これで今まで諦めていたニュース系番組にも視聴対象が広がった。
これと同じことが映画でできないか久しく待望していた。健聴者には煩わしいかもしれないが、それなら特殊眼鏡とか方法はないかと考えたりしていた。それが今回実現したのである。見た感想はごく自然にセリフが頭に入り、実に久しぶりに居眠りも無く最後まで見終えることが出来た。心配した煩わしさも、テレビと比較にならない大型スクリーンでは、全く問題にならないと思われる。
ネットで検索してみたが大手も思索中のようである。
現代ぷろも複数の上映会のうちの1回とかテスト中のようで、直ちに主流になる状態には程遠いようだ。
コロナで観客が減り業界も苦戦中と思われるが、映画館はコロナには最も安全な施設の1つと思われる。
そこに字幕付き映画を普通に上映するようになれば、足が遠のいている高齢者や難聴の人にも帰ってきてもらえるのではないか。
そんな可能性を考えてみた。
※この映画の現在までに確定している近畿での上映予定は次の2カ所
《問い合わせ先》現代ぷろだくしょん(03-5332-3991)
◎映画「われ弱ければ 矢嶋楫子(やじまかじこ)伝」 竹中美根子(放送を語る会・大阪)
映画監督として日本最高齢の山田火砂子(やまだひさこ・90歳)さんの最新作「わ
山田火砂子監督・脚本。三浦綾子の同
明治・
描いています。
1833年 熊本県に生まれました。35歳までは武士の妻として洗濯のタライ
苦労を重ねます。
女学校校長の仕事を勧められ引き受けます
時、米国で
山
「楫子の生き方が大勢の女性達の力にな
人生を切り開いてきた楫子の
コロナ禍で映画館にもなかなか行けませんが、でも是非見たいなぁと思っています。
◎映画「テレビで会えない芸人」 K.F(放送を語る会・大阪)
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