当ホームページに「討論の広場」を開設します。
放送はもとより新聞、映画・演劇などの分野に関わることで、閲覧者間の意見交流の場になればと願っています。毎回テーマを設定して、ご意見を募集します。
今回のキーワードは『新しい戦前』です。
タモリさんの「新しい戦前」との発言が話題を呼んでいます。
テレビ朝日「徹子の部屋」(2022.12.28放送)で「来年(2003年)はどんな年になりますかね?」との徹子さんの問いに、やや間をおいて「だれも予測できない・・・」「なんていうか『新しい戦前』になるのでは」と、タモリさんが回答したものです。
いま、安保3文書が閣議決定され、武器の爆買いや気球撃墜などの言葉が飛び交っています。だいぶ以前に、もはや『戦後』ではないと言った人もいました。過去・現在から未来へとつながる時間と空間を検証した伝え方をマスメディアに求めたいものです。タモリさんの『新しい戦前』は「いまの空気」に一石を投じたと思えます。
ご意見は、投稿フォームから送信してください。
また、今後の討論テーマについても提案してください。
2025. 1.27 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年12月編)
【戦争への動き】
◆ 韓国「戒厳令」めぐり内乱状況続く
〇 韓国「非常戒厳」宣布、一夜で解除(4日付朝日夕刊、5日付朝日・赤旗)
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は3日夜野党が行政府を麻痺させているなどと批判、「自由憲政秩序を守るため」として憲法に基づいて非常
戒厳を宣布した。非常戒厳は1987年の民主化以降では初めてとなる。一切の政治活動を禁止された中で、最後の拠り所となる国会は4日未明に解除要
求決議案を可決。これを受け尹氏は宣布から約6時間後に解除に追い込まれ、投入していた軍も撤収させた。
韓国では独立を回復した1945年以降軍事独裁体制が続いていたが、200人強の犠牲者を出した80年の「光州事件」など粘り強い闘いで民主化を勝ち取
った経緯があるだけに、数千人の市民が命がけで国会を取り囲んで軍の侵入を防ぐなど、市民の力によって支えられた民主主義の強さが証明された
一夜となった。
〇 尹大統領弾劾訴追不成立(8日付朝日、赤旗)
韓国国会は7日午後本会議を開き「非常戒厳」を宣言した尹大統領の弾劾訴追案を審議した。弾劾案は在籍議員300人のうち3分の2の200人の賛成が必
要。提出した野党6党は192人で与党から8人の賛成が必要だが、与党はほぼ全員が退席したためこの日は不成立となった。国会前では全国各地から数
十万人の市民が集まり抗議の声を上げた。
〇 尹大統領の弾劾2度目で可決(15日付朝日、赤旗)
韓国国会は14日本会議を開き、尹大統領に対する2度目の弾劾訴追案を採決し、3分の2を超える204人の賛成で可決した。与党から少なくとも12人の
賛成者が出たことになる。尹氏の大統領職務は停止され憲法裁判所が180日以内に罷免の妥当性を判断する。市民の連日のデモが国会を動かした形だ
が、この後尹氏の支持層も一部が暴徒化するなど激しい巻き返しを続けており、韓国社会の分断が深刻になっている。
◆ 横田基地に米宇宙軍発足(5日付、20日付け赤旗)
在日米軍横田基地に4日太平洋宇宙軍指揮下の在日米宇宙軍が発足した。米宇宙軍は中国やロシアに対抗し宇宙空間での「優勢」を確保することを目的
に、陸海空・海兵隊・沿岸警備隊・特殊作戦軍に次ぐ6つ目の「軍」として2019年に発足、米国防総省のすべての人工衛星を管理し衛星通信ネットワー
クを運用する。航空自衛隊も22年米宇宙軍に対応する宇宙作戦群を府中基地に発足させており、日本と自衛隊を米軍の地球規模の宇宙戦略に組み込む動
きが強まっている。
◆ 中国、重要鉱物を対米禁輸(4日付朝日)
◆ 中3男子に陸自高等工科学校の募集案内(17日付赤旗)
各地の中学3年生の男子生徒に対して陸上自衛隊高等工科学校(横須賀市)の募集案内が届いている。高等工科学校は文科省管轄の「学校」ではなく生
徒は男子だけで「自衛隊員」という身分、2年生から銃を貸与され戦闘訓練もする。自衛隊が原則非公開のはずの住民基本台帳から氏名や住所などを閲
覧し送付しており、専門家は「違法」と指摘している。東京都あきる野市では住民が「会」を結成するなどして閲覧させないよう運動を始めている。◆ 大阪維新「都構想」検討へチーム(18日付朝日)
大阪維新の会は17日、大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」について、新たな制度設計を協議する検討チームを発足させた。寄せ集めチー
ムである維新は党をまとめるスローガンを絶えず必要としているが、都構想の住民投票に2度敗れた後掲げた「万博からカジノへ」のスローガンが、住
民の不評を買い衆院選に敗れたため新たなスローガンを必要としていた。しかし適当なものが見当たらず、吉村代表が2度目に敗れた後「3度目は無い」
と断言した都構想にしがみつくしかない姿をさらけ出した。
◆ 日本拠点に対中戦想定多国籍合同演習(19日付赤旗)
日米豪合同指揮所演習「ヤマサクラ87」(YS87 )が2~14日の日程で、陸上自衛隊朝霞(東京都、埼玉県)、健軍(熊本市)両駐屯地など各地の自
衛隊や米軍基地で行われた。YS87には米陸軍・海兵隊など1350人、豪陸軍250人、陸上自衛隊5500人と昨年より900人多い7100人が参加した。
米軍は多国籍部隊と米軍のすべての部隊を指揮する権限を持つ太平洋陸軍司令官を「統裁官」に任命しインド太平洋地域での「多領域作戦」の一環と
位置付け。米軍指揮下の多国籍部隊に日本を動員し拠点とする危険な演習に日本も組み込まれた。
◆ 島根原発2号機再稼働(8日付朝日、赤旗)
中国電力は7日、松江市にある島根原発2号機を13年ぶりに再稼働させた。事故を起こした福島第1原発と同じ「沸騰水型」と言われるタイプで事故後再
稼働は2基目。全国で唯一県庁所在地に立地する
◆ 原発固執背景に企業献金(19日付赤旗)
◆ 在沖海兵隊グァム移転開始
〇 合意から18年、第1段階は100人(15日付朝日、赤旗)
防衛省は14日在沖縄米海兵隊の米領グァムへの移転が始まったと発表した。2005年に合意した在沖米海兵隊員4000人以上をグァムに移す計画の第1
段階で、後方支援要員100人が移転を開始した。
〇 グァム移転部隊名非公表、「負担軽減」後回しに(27日付赤旗)
この2012年の日米合意は▽沖縄から海兵隊員9000人と家族を国外に移転。そのうち4000人をグァムに移転し、沖縄に残留する部隊の規模は1万人と
する
▽日本政府がグァムでの基地建設費28億ドルを負担する、というもの。しかし米軍は日本政府が提供した3700億円を使い、グァムでの新たな基地建
設を進めながら部隊移転は一向に進まず、それどころか23年11月には離島での作戦を専門とする連隊を新たに配備、基地負担の強化が進んでいた。
この“食い逃げ状態”を解消するためアリバイ的な100人移転を発表した可能性が高い。
◆ トランプ次期大統領就任前に外交圧力(25日付朝日)
トランプ米次期大統領が戦略的な要衝にあたる他国の領土について一方的な主張を展開し、正式就任前から外交上の圧力を強めている。22日デンマーク
の自治領グリーンランドを米国が所有することが「絶対に必要」と発言。パナマ運河の「返還」を求める可能性も示している。
◆ 日米「拡大抑止」で初指針(28日付赤旗)
日米両政府は米国の「核の傘」=拡大抑止に関するガイドライン(指針)を初めて策定した。指針はこれまでの日米間の議論の内容をもとに作成した
ものだが、最高レベルの軍事機密にあたることから内容は非公表とされている。
◆ 辺野古、軟弱地盤着工を強行(29日付赤旗)
沖縄県辺野古の米軍新基地建設で、防衛省は28日軟弱地盤が広がる大浦湾側で地盤改良工事着手を強行した。政府が玉城デニー知事の権限を奪い、
軟弱地盤改良のための設計変更申請の承認を「代執行」で強行してから1年。1月の海上ヤード建設、8月のA護岸造成開始に続き、政府は無謀さを
顧みず新たな工事に踏み切った。
◆ 軍事ローン(後年度負担)15兆円超(29日付赤旗)
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ NHK経営委議事録公表へ原告側「勝利的和解」(18日付朝日、19日付赤旗)
かんぽ生命保険の不正販売報道をめぐり、NHK経営委員会が2018年当時の会長を異例の厳重注意とした問題で、「放送を語る会」会員を含む市民ら
約100人がNHKと森下俊三前委員長を相手取り、経緯が解る経営委の議事録の開示などを求めた訴訟は、東京高裁で17日和解が成立した。NHKは18日
に経営委のホームページで議事録を公表する。「赤旗」の裏一面の論評「波動」欄で小滝一志・放送を語る会前事務局長は「この裁判によって、被告
森下氏の放送法41条違反(議事録隠し)が糺され、32条違反(経営委員の番組介入)が白日の下にさらされた」と意義を強調し「勝利的和解」と評価
した。
◆ 少女暴行米兵に実刑判決、沖縄で県民集会
〇 暴行米兵に懲役5年の実刑判決(14日付赤旗)
〇 沖縄県民大会に2500(23日付赤旗)
〇 全国紙の関心低く(27日付赤旗)
22日開かれた沖縄県民大会には県民の怒り、願い、命と尊厳を守る決意があふれた。地元2紙や赤旗が1面トップで大きく報じた一方、全国紙は「朝
日」「毎日」が社会面下段にベタ記事、「読売」に至っては紙面で扱わず関心の低さが際立った。全国紙の報道姿勢の背景には、年々強まる「日米
同盟絶対」の思考停止状態があると言わざるを得ない。
◆ シリア政権崩壊、アサド氏亡命(10日付朝日、赤旗)
10年以上にわたる内戦が続いてきたシリアで、反体制派が8日首都ダマスカスを制圧し「アサド政権を打倒した」と発表した。大統領を辞任したアサド
氏はロシアに亡命した。進攻を主導した過激派組織「シャーム解放委員会」(旧アルカイダ系ヌスラ戦線)を中心とする反体制派は「新しいシリアでは
すべての人々が平和に共存し正義がいきわたる」との声明を出した。2011年中東や北アフリカのイスラム教国で吹き荒れた「アラブの春」で次々と政権
が倒される中で、唯一政権を維持してきたシリアで、父子2代で半世紀以上に及んだ強権政治は、反体制派の進攻開始からわずか11日で崩壊した。
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《訂正》本稿の11月編で、「長崎県議会、核禁条約参加求める意見書全会一致可決」の項目を11月20日と紹介しましたが、12月20日の誤りでした。
お詫びして訂正します。
ただこの記事をもう一度目にして、日本被団協のノーベル賞受賞を機に世界で核廃絶機運が高まっているこの時期に、日本でも長崎・広島任せに
ならず、全国の地方議会で「核兵器禁止条約の署名・批准を」「最低でも締約国会議にオブザーバー参加を」といった決議もしくは請願採択させ
る運動を進めねばと強く思った。
《HP管理者より》11月編:11月20日→12月20日に訂正しました。
【分類保留】
◆ 24年度補正予算成立(18日付赤旗)
総額13兆9433億円の24年度補正予算が17日の参院本会議で、自民、公明、維新、「国民」などの賛成多数で可決、成立した。共産、立憲、「れいわ」
などは反対した。補正予算は特別の事情が生じ緊急を要するもの以外は計上してはならないと財政法29条に定められているが、この補正予算には能登の
復旧・復興費の3倍以上の8000億円超が軍事費として計上されており、その4分の3は次年度以降の歳出化経費の前倒しであること、特定の半導体企業に
1兆円の支援を盛り込むなど大企業には大判振る舞いの予算で、自民党政治の歪みが典型的に残されたものとなっている。
それにもかかわらず維新、「国民」両党は教育無償化や「103万円の壁」問題で、与党からの曖昧なリップサービスを根拠に賛成に回り、自民の補完政
党としての役割を露呈した。
◆ 政治改革3法成立、企業献金は先送り(25日付朝日、赤旗)
改正政治資金規正法など政治改革関連3法は24日参院本会議で、与・野党の賛成多数で可決・成立した。政党が政治家個人に支出し、使途公開の義務が
ない政策活動費は廃止される。3法のうち野党7党が提出した政策活動費の全廃法は全会一致で可決されたが、他の2法は賛否が割れ多数決となった。
自民の裏金問題の実態解明は進まず、成立した3法にも「抜け穴」が残っており通常国会でも政治資金問題が引き続き焦点となる。
◆ 25年度予算案過去最大の115兆円(28日付朝日、赤旗)
政府は27日、2025年度政府予算案を閣議決定した。石破政権にとっては初めての予算編成。国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は115兆5,415億
円と過去最大を更新した。大企業優遇が際立ち、軍事費は8兆7千億円と初めて8兆円を超えた。このあおりで生活関連予算は軒並み抑制されている。
衆院での与党過半数割れというもとで予算は自公だけでは成立しない。与党入りを目指す維新、「国民」など各党がどのような態度をとるか注目され
る。
◆ 渡辺恒雄読売新聞主筆死去(20日付朝日)
渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆が19日死去した。1985年から40年近くの間社論を率いる主筆を務め、消費税の導入など政府寄りの主張
をした。91年社長に就任。94年には「憲法改正読売試案」を紙上で発表、後に「自衛のための軍隊を持つ」ことを盛り込んだ。「ナベツネ」氏1人の
死で変化はないかもしれないが、独裁者として君臨し、右派論壇の中心人物だっただけに読売グループがどう変化するか注目したい。
2024.12.24 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(24年11月編)
《選挙3題》
◆ 米大統領選トランプ前大統領が返り咲き(5日投開票)
米大統領選は投票直前までの大接戦の予測を覆して共和党のドナルド・トランプ前大統領が、民主党のカマラ・ハリス現副大統領に差をつけ大統領に返
り咲いた。共和党は上院・下院とも過半数を制する完勝だった。ただアメリカの場合2大政党制の影響もあって、内政面では“大きな政府”指向(民主党)
と“小さな政府”指向(共和党)の違いはあるが、対外政策では世界最大の軍事大国路線に差はなく一概に判断できない面がある。特にトランプ氏は「孤
立主義」と言われるほどの「アメリカ・ファースト」論者で、国連をはじめ国際機関に金は使わないし、国内産業保護のため輸入品に極端な関税を課す
政策は前回も目立った特徴だった。世界に張り巡らせた基地網にも経費を減らし相手国の負担増を強要するのは目に見えており、日本政府がどこまで抵
抗できるか予断を許さない。
◆ 決戦投票で「第2次石破内閣」発足(11日)
自公与党が過半数割れという新しい状況となる中で、11日召集の特別国会で首相指名投票が行われた。30年ぶりの決選投票は1位の石破茂首相と2位の
野田佳彦立憲民主党代表の間で争われ、共産党は野党共闘の観点から野田氏に投票したが、『国民』など他党は候補者資格のない自党党首に投票すると
いう新手の無効票対応で石破首相の再選に協力した。特に新たな連立対象として注目された『国民』と維新は折角の政権交代の好機をふいにし、結果的
に補完勢力の役割をさらけ出した。決選投票は小・中学校でも決まり通り行われているのに、国権の最高舞台の首相指名選挙でぎりぎり許される白票や
棄権を超えて、無資格者に投票するという醜態を見せつけたことは、民主主義に汚点を残したと言える。度々引用させてもらう「日刊スポーツ」の「政
界地獄耳」氏も14日付け同紙で、『この野党の行動は政治劣化のひとつとして歴史に刻まれるべき行為で、議会制民主主義を崩壊させるものだ。前例と
すべきでない』と締めくくっていることを紹介したい。
◆ 出直し兵庫県知事選、前職再選もSNSの暴風(17日投開票)
斎藤前知事がパワハラなどで県議会全会一致の不信任決議を受け失職した出直し選挙が17日行われ、事前の予測を覆し斎藤氏が再選された。失職直後1
人で駅立ちした斎藤氏に振り返る人もいなかった惨状から、投票が迫るにつれ熱気に包まれた状況に、斎藤氏の運動よりSNSの威力をまざまざと感じ
させた。
東京都知事選で話題になった石丸氏が精鋭30人を送り込んだと伝えられるなど、全国から大量のユーチューバーが集中した。とりわけ「斎藤氏を当選
させるために立候補した」というNHK党の立花孝志氏は、斎藤氏の街宣前後に自らの選挙カーから応援演説を繰り返したほか、得意のSNSで大量の
情報を発信したり、県議の自宅前で脅迫まがいの攻撃を繰り返すなど選挙のあり方に問題を残した。選挙後も斎藤氏の選挙違反疑惑など報道が続いてい
るが、SNSが選挙結果に大きな影響を与えた今回の知事選を教訓に、ファクトチエックの体制など検討課題も明らかになった。
【戦争への動き】
◆「キーン・ソード25」終了、先島諸島米軍基地化狙う(2日付赤旗)
前号でも紹介した最大規模の日米共同統合実動演習「キーン・ソード25」が1日全日程を終えた。際立ったのが宮古・石垣・与那国といった先島諸島
に相次いで開設された自衛隊基地の「米軍前線基地」化の動き。米太平洋海兵隊の2司令官が揃って自衛隊石垣駐屯地を訪れたほか、原子力空母「ジョ
ージ・ワシントン」が初めて参加するなど、先島諸島の米軍基地化を狙う動きが一段と強まった。
◆ 自衛隊基地「多国籍化」(6日付赤旗)
神奈川県内の自衛隊基地を使用した米軍以外の外国軍隊が、戦争法制定後の2016年以降で15か国に上り、基地を使った共同訓練が計28回行われている
ことが分かった。防衛省が共産党の志位和夫衆院議員事務所に提出した資料で明らかになった。最多はオーストラリアの10回、インド8回、カナダ6回、
韓国5回など。使用されているのは海自横須賀基地(横須賀市)と厚木基地(綾瀬市、大和市)。他国軍が自衛隊基地を訓練で使用するための法的根拠
も整わず、米国の「対中国」戦略に沿った多国籍基地化がなし崩しで進んでいる。
◆ 軍事ローン膨脹、19年度比2倍超(7日付赤旗)
武器・装備品の調達契約をめぐり、翌年度以降に支払う軍事ローン「後年度負担」が生じる契約額が2023年度末時点で約9兆4500億円に上り、19年度末
に比べ2倍以上に膨らんでいることが、6日会計検査院の決算検査報告で明らかになった。政府は「防衛力整備計画」に基づき、23~27年度で約43兆円
の軍事費を投じる方針で後年度負担も増えている。
◆ ロ朝軍事同盟現実化
◎ロ朝戦略条約北朝鮮が批准(13日付朝日)
ロシアと北朝鮮が6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」の批准手続きを相次いで終えた。条約には有事の際の相互の軍事支援が盛り込
まれている。「事実上の軍事同盟」とも指摘されており、双方の軍事的な協力がさらに進むことが懸念されている。
◎北朝鮮兵のロシアでの戦闘米が公式に確認(14日付朝日)
米国務省は12日ロシアに派遣された北朝鮮兵が戦闘に参加したと確認した。ウクライナ軍が越境作戦を展開する南西部クルスク州でロシア軍とともに
戦争を始めたという。これまでも北朝鮮兵の参加情報はあったが、いずれもウクライナや米の情報で未確認だった。今回は米政府が初めて公に確認し
たことや、前項のロ朝条約の批准を受けて紹介した。ロシア領内なら条約の実行と主張できるし、北朝鮮軍の実戦経験も積めると判断したのだろう。
ただ、この解釈が拡大して、ロシアが自国領と主張するウクライナ南東部にも派遣されたりした場合は侵略戦争に加担したことになり、難しい判断が
迫られる。
◆ 日米韓協力強化へ事務局設立(17日付朝日)
石破首相とバイデン米大統領、尹錫悦(ユンソンニョル)韓国大統領は15日、APEC首脳会議会場のペルーで会談し、3か国の安全保障や経済分野での
協力強化に向けた調整を担う「日米間調整事務局」を設立することで一致した。多国間協力の枠組みに否定的なトランプ次期大統領の就任を前に、3か
国連携の制度化を図った格好だ。
◆ ロシア核ドクトリン改定(21日付赤旗)
ロシアのプーチン大統領は19日核兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策指針)を改定する大統領令に署名した。ウクライナが同日
米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS 」を撃ち込んだことに対抗したもので、ウクライナを軍事支援する欧米も核攻撃の対象になると示唆して
おり、核使用のハードルを下げることにつながりかねない。
◆ 自衛隊、学校で勧誘チラシ(27日付赤旗)
自衛隊が「防災訓練を利用して学校で講話などをし、終了後に自衛官募集のグッズやチラシを配る事例が各地で広がっている。和歌山県では自衛隊が講
師を務める「防災スクール」を23年度、小・中・高23校3650人に実施したが、今年度は「その1.5倍ほど」に増えているという。スクール終了後には
「海上自衛官募集」と大書したクリアファイルとボールペンを配っている。「防災教育の目的を逸脱している」などと批判が広がっている。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆「戦争国家」にブレーキ、サイバー法案見送り(7日付赤旗)
サイバー攻撃を受ける前に相手サーバーに侵入して無力化する「能動的サイバー防御」(ACD)を導入する関連法案について、政府は臨時国会への提出
を見送る方向で調整に入った。ACDは22年12月に閣議決定された安保3文書に基づく措置。岸田前政権の下今年の通常国会では経済秘密保護法などが相
次いで強行されたが、与党過半数割れで「戦争国家」路線にブレーキがかかった最初の成果だ。
◆ 日本原発敦賀2号機再稼働を不許可(14日付朝日)
原子力規制委員会は13日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)が新規制基準に適合しないとする審査書を決定し、再稼働に向けた原電の申請を正
式に不許可にした。2号機の原子炉建屋から北に300メートルにある断層が活断層の可能性が否定できないと判断した。不許可は規制委が発足して以降初
めて。
◆ 英大手銀行 イスラエル軍事企業への投資引き上げ(3日付赤旗)
ガザなどで無差別に住民殺傷を続けているイスラエルの軍事企業に対する拒否の動きが出ている。英銀行大手バークレイズは保有していたイスラエル最
大の軍事企業エルビット・システムズの1万6千株余、総額で340万ドル(約5億2千万円)をすべて売却した。
◆ ICC ネタニアフ首相に逮捕状(22日付朝日)
パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は21日、イスラエルのネタニアフ首相とガラント前国防相、イスラ
ム組織ハマスの軍事部門トップ ディフ氏に、戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑で逮捕状を出したことを発表した。
◎ICCミャンマー国軍トップにも逮捕状請求(28日付朝日)
ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの迫害問題をめぐり、ICCの検察局は27日ミャンマーで全権を握る国軍のミンアフンフライン最高司令官
に対し、人道に対する犯罪容疑で逮捕状を請求した。ロヒンギャはミャンマーで「バングラデシュからの不法移民」とみなされ、国籍や移動の自由を
奪われるなどの迫害を長年うけている。
◆ イスラエル・レバノン“停戦”合意「60日間」(28日付朝日、赤旗)
イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘をめぐり、バイデン米大統領は26日、両国政府が停戦に合意したと発表した。
昨年10月から続いてきた両者の衝突に一定の区切りがついた形だが、ネタニアフ首相は「兵士を休ませ武器を補充する機会」と狙いをあけすけに語って
おり、合意が見せかけだけになるおそれもある。
◆ 長崎県議会、核禁条約参加求める意見書全会一致可決(訂正:12月20日付赤旗)
長崎県議会は20日の本会議で国に対し「核兵器禁止条約の署名・批准を求める」意見書を全会一致で可決した。これを受け大石賢吾知事は「県としても
核兵器禁止条約への参加を国に要望したい」と述べた。被団協のノーベル平和賞受賞が県議会を動かした。
◆ 中国、訪中ビザ免除再開(23日付朝日)
中国外務省は22日、日本人向けの短期滞在査証(ビザ)免除措置を30日から再開すると明らかにした。新型コロナウイルスの流行で措置が停止した20
年3月以来4年8か月ぶりで、滞在期間も15日間から30日間に増えた。冷え込んでいた日中間の往来が回復する一歩となりそうだ。
◆「対話と包摂で平和を」アジア政党国際会議総会(25日付赤旗)
22日から49政党が参加してカンボジアの首都プノンペンで行われていたアジア政党国際会議(ICAPP)は、23日「平和と和解に関するプノンペン宣
言」を全会一致で採択した。「宣言」は大国間の対立の強まりに「深い懸念」を表明するとともに、“対話と包摂で平和をつくる”ためにICAPPが貢献し
ていくことを明記した。アジア政党国際会議第12回総会には28か国から49の政党が参加。
欧州、アフリカ、中南米からもオブザーバーとして15か国から16政党が参加していた。日本からは共産党が参加している。
【番外】
◆ 万博前売り券発売1年売り上げ伸びず
〇 販売ペース急落、赤字の危機(10日付赤旗)
前売り券の8~9月の販売枚数は週10万~20万台が続いていた。10月初旬には週109万と急増したがその後週約6~7万へと激減し11月には1万台へと落
ち込んでいる。急落の原因として考えられるのは、関西の大企業などが大量購入していた「超早割1日券」(大人6000円)の販売が10月6日に終了し
たこと。ここまでの合計販売枚数は約730万枚、うち9割強が「超早割1日券」。今後毎週7万枚のペースで売れたとしても、開会までに売れるのは150
万枚にすぎず、目標には500万枚以上足りない。万博の運営費は8割強を入場券収入で賄う方針のため、赤字になれば負担が住民・国民に転嫁される危
険性がある。
〇 前売り券発売1年目標数の53%、一般販売は目標の1割(30日付朝日)
前売り券の売り出しから30日でまる1年になる。日本国際博覧会協会が発表した販売状況は約737万枚で、目標の1400万枚の約53%にとどまる。
経済界に割り当てられた700万枚はほぼ近づいたが、同じく700万枚を目標とする一般販売は60万枚ほどと見られ1割にも届いていない。
2005年の愛知万博は開幕半年前の段階で、目標の97.7%を達成している。
2024.11.13 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(24年10月編)
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 石破新内閣発足も国民の厳しい審判
〇 石破新内閣スタート(1日)
自民党の瓦解現象を受けて誕生した石破茂新内閣gが1日発足した。石破氏が総裁選中主張した党改革はことごとく後退、“裏金議員”と安倍派は外した
格好だが、早くも旧石破派(水月会)でも裏金操作が発覚(6日付赤旗日曜版)。森山幹事長の旧森山派も7年にわたって不記載が判明するなど(20日付
赤旗日曜版)全派閥が関与した党ぐるみの犯罪ということが明らかになった。
“軍事オタク”と陰口される石破氏の安保体制強化、アジア版NATO創設、9条改憲など、軍事面が突出した危険な側面をさらけ出した。
〇 衆院解散(9日)
石破内閣は9日衆院を解散した。1日の首相就任から8日後の解散は戦後最短。総裁選中は野党側との国会論戦を重視し早期解散に慎重だったが簡単に
前言を翻した。戦後最短の内閣になるのだろうか。
〇 総選挙公示(15日)
裏金事件など政治の信頼を問う総選挙が公示された。自民党は国民の批判をそらそうと裏金事件に関与した12人を非公認とし、不記載があった34人に
ついて比例重複を認めない措置をとった。しかし公明党は非公認や比例重複を外された35人にも推薦を出すなど与党側の曖昧な対応をさらけだした。
一方野党側も折角の政権交代の好機に立憲が野党共闘を拒否するなど残念な選挙戦となった。
〇「自民党、裏金非公認候補者に2000万円」赤旗が暴露(23日)
自民党が非公認となった候補が代表の党支部にも、公示直後に政党助成金2000万円が振り込まれていたことを、「しんぶん赤旗」23日付で暴露した。
森山裕幹事長も同日「活動費として支給した」と認めた。政党助成金は国民の税金が原資。『裏金政党が裏金議員を裏公認した形』(上脇博之教授)に
税金が使われた衝撃に、全国・地方メディア各紙やテレビも「しんぶん赤旗」の報道として伝え、轟々たる批判が湧き起こった。
自民党もこの報道が駄目押しとなったと選挙後認めざるをえなかった。
◎ 開票結果 自公政権過半数割る(25日)
与党の自公政権は15年ぶりに過半数を割り込み自民党では、現職閣僚2人が落選、裏金事件に関わった46候補のうち28人が落選した。また公明党も“常勝
関西”を誇った大阪で全4議席を失うなど8議席を減らした。極めつけは就任したばかりの石井恵一代表まで落選した。一方野党では立憲民主党が50増や
して148議席と大きく増やしたほか、シンプルに「手取り増」を訴えた国民民主党が4倍増、「季節ごとの給付金」をアピールしたれいわ新選組が3倍
増と、物価高に苦しむ庶民の取り込みに成功した。この中でマスコミ各社が「自公過半数割れの立役者」「MVP」と評価した共産党が追及勢力の中で
唯一10から8議席に減らしたのが選挙の難しさを示した。
憲法改正の企みは立憲、れいわ、共産、社民4党が3分の1以上の166議席を確保し発議を食い止める力を手にした。
ただ安定した過半数を得たグループが無いだけに公約の実現には困難が予想され、来年の参院選に向けた野党共闘の成立が急務となる。
〇 非公認当選の4議員自民会派入り(30日)
世耕弘成、萩生田光一、西村康稔、平沢勝栄の4議員は30日までに自民会派入りを決めた。復党への道馴らしといえる。
◆ 日本被団協にノーベル平和賞(11日)
ノルウエーのノーベル賞委員会は、今年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表した。ノーベル賞委員会は授賞理由として「広島と長崎の原爆生存者によるこの草の根の運動は,核兵器の無い世界を達成する努力、また目撃証言を通じて核兵器が二度と使われてはならないということを身をもって示して来た」などと評価した。長年の地道な活動で被爆の実相を世界に広げ、核兵器の非人道性を明らかにし、核兵器禁止条約のへのうねりを作り出してきた活動が認められたもので、世界の平和運動への大きな励ましになった。
「日本被団協」は被爆者の唯一の全国組織として1956年の第2回原水爆禁止世界大会で結成され被爆の実相を広め続けてきた。2016年には「ヒバクシャ国際署名」を開始し20年までに1370万余の署名を国連に提出した。こうした活動が世界の人びとを動かし、17年「核兵器禁止条約」の国連会議での採択に大きな役割を果たした。受賞を受け今こそ日本は禁止条約の署名・批准と、核兵器廃絶に向けて主導的役割を果たすことが求められている。
◆ 英国 チャゴス諸島をモーリシャスに返還へ(4日付朝日夕刊)
英国がインド洋に浮かぶチャゴス諸島の領有権を、同じくインド洋の島国モーリシャスに返還する。両国政府が3日共同声明を発表した。米英の基地は残るが、半世紀以上島を追われていた一部の元住民たちの帰還が可能になる。チャゴス諸島(英領インド洋地域)は58の島で構成され陸地の総面積は60平方キロ。英国が1965年に編入した。モーリシャスは「違法に分離された」として領有権を主張しており、国連総会も2019年半年以内に統治をやめるよう英国に求める決議を採択していた。
◆ 英連邦首脳会議、奴隷制謝罪・賠償テーマに浮上(23日付赤旗)
旧宗主国英国中心の国際組織「英連邦」の首脳会議が21日南太平洋のサモアで始まった。今回の会議では英国が巨万の利益を上げた奴隷貿易、奴隷制に関する謝罪や賠償問題が1つのテーマとして浮上している。旧帝国主義国に対する被害国の反撃が21世紀の流れだが、そのような中で人権弁護士出身の
スターマー首相が、謝罪にも賠償にも背を向け議論を封じようとしていることに、与党労働党内からも批判が出ている。
◆ 国連女性差別撤廃委 日本に4度目の勧告(31日付赤旗)
国連の女性差別撤廃委員会は29日日本政府に対し、国内のジェンダー平等に向けた取り組みを進めるよう促す総括所見を発表した。4度目の勧告になる「選択的夫婦別姓」の導入に向けた法改正をはじめ、女性差別撤廃条約選択議定書の批准など幅広い分野で状況を改善するよう勧告した。日本社会にいまだ残る家父長制意識の改善が民主化にとって大きなカギといえる。
【戦争への動き】
◆ イスラエル一方的に戦線拡大
〇 イスラエル、レバノン侵攻 新局面に(2日付朝日、赤旗)
イスラエル軍は1日未明、北隣レバノン南部での地上作戦を始めたと発表した。今回の侵攻はイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する限定的なものだ
と主張。ヒズボラも応戦の構えで、去年10月にパレスチナ自治区ガザで始まったイスラエルとハマスとの戦闘は、隣国を巻き込んだ地域紛争に拡大する
新たな局面に入った。
〇 イラン、イスラエルに報復攻撃(3日付朝日、赤旗)
イランは1日夜イスラエルに過去最大規模のミサイルによる攻撃を行った。米国防総省は約200発の弾道ミサイルが使われたとしている。イランはレバノ
ンのイスラム教組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師が殺害されたことなどへの報復だと主張。一方イスラエル側も報復を示唆しており、中東の危機が
さらにエスカレートしている。
〇 ガザ侵攻1年、深まる人道危機(7日付赤旗)
イスラエルがパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻を開始してから7日で1年が経過した。国際社会はイスラエルによる攻撃を国際法違反、ジェノサイドと
批判し、停戦を呼び掛けてきたがイスラエルはこれを無視し、ガザの人道危機はますます深刻になっている。ガザ当局によれば4万1870人が殺され負傷
者は9万7千人以上に上る。ガザの人口240万人のうち200万人が住まいを追われた。
イスラエルはさらに戦火を中東地域全体に拡大する動きさえ強めている。
〇 イスラエル 国連レバノン軍拠点に侵入(16日付赤旗)
イスラエル軍は13日早朝、レバノン南部にある国連レバノン暫定軍拠点の正門を戦車で破壊し敷地内に侵入した。国連の平和維持活動を武力で妨害する
行為に厳しい批判が相次いでいる。
〇 ハマス最高幹部また殺害(19日付朝日、赤旗)
イスラエル軍は17日ハマスの最高幹部ヤヒヤ・シンワル政治局長を殺害したと発表した。ハマスは昨年10月イスラエルに越境攻撃をしかけ、約1200人
を殺害、200人以上を人質として連れ去った。イスラエル軍は奇襲を主導したとみられる軍事部門トップのデイフ最高司令官を8月に殺害したのに続き、
もう1人の首謀者を殺害したことになる。
〇 ヒズボラ後継指導者も死亡確認(24日付朝日)
イスラエルは対抗する組織の指導者を次々とピンポイントで殺害。組織力をそいでいる。
〇 イスラエルがイラン攻撃(26日付朝日夕刊、27日付赤旗)
イスラエル軍は26日イラン国内の複数の軍事目標に精密攻撃を加えたと発表した。今月1日にイランから大規模なミサイル攻撃を受けたことへの報復措
置。イランは被害は限定的としているが中東の軍事大国どうしの報復の連鎖が起き、情勢の混迷は緊迫度を増している。
〇 イスラエル国会 国連人道支援機関の活動禁止法案可決(30日付朝日)
イスラエル国会は28日、パレスチナ難民への人道支援を担う「国連パレスチナ難民救済事業機関」(UNRWA)の国内での活動を禁止する法案を可決
した。法案はイスラエル当局がUNRWAと接触することを禁止する内容で、人道支援物資の配布や医療活動などが大幅に制限される恐れがある。
◆ 総選挙中に最大規模日米演習(6日付赤旗)
最大規模の日米共同統合実動演習「キーン・ソード」(KS25)が、衆院選を目前にした23日から11月1日まで全国23都道府県で実施される。「米中対立」の最前線となる南西諸島では日米のミサイル部隊による訓練が行われる。陸自は長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾」の展開訓練を石垣島や宮古島、那覇駐屯地などで実施する。石垣島では米軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」の輸送訓練を初めて実施する。石破茂首相が岸田前政権による大軍拡路線の継承を宣言する中「戦争国家作り」が問われる。
〇 演習参加の陸自オスプレイ異常事故相次ぐ(25日付赤旗、29日付朝日)
陸自木更津駐屯地(千葉県)所属のV22オスプレイ1機が、23日鹿児島県の海自鹿屋航空基地に緊急着陸した。また27日には与那国駐屯地で、同じ陸自
木更津駐屯地所属のオスプレイが離陸の際バランスを崩し左翼の一部が地面と接触して損傷した。いずれも「キーン・ソード」参加の機体。沖縄県は
9月下旬オスプレイの演習への使用自粛を国に申し入れており、防衛省は陸自のオスプレイ全17機の飛行をみあわせた。
◆ 北朝鮮 引き続く“挑発”
〇「要塞化」工事 韓国に敵対的姿勢(10日付朝日)
北朝鮮軍総参謀部は9日、韓国とつながる北朝鮮側の道路や鉄道を完全に遮断し「要塞化」のための工事を同日から実施すると発表した。金正恩総書記
は昨年末以降韓国を「敵対国」と位置付けて対決姿勢を強めており、今回の措置はその一環とみられる。
〇 北朝鮮ICBM発射(31日夕刊、11月1日付朝日)
韓国軍は31日北朝鮮が日本海に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射したと発表した。一方北朝鮮の朝鮮中央通信も同日報道、北朝鮮が当日に
公表するのは異例だ。日本の防衛省によると高度は7千キロ超で過去最高、飛行時間の86分も最長だった。米大統領選を前に米国などをけん制する狙い
があるとみられる。
◆ 中国軍 台湾包囲し演習(16日付朝日、赤旗)
演習区域は台湾の6つの沿岸都市の沖合で、今年5月に続いて2回目。
◆ 被災の女川原発2号機再稼働(30日付朝日)
東北電力は29日、2011年の東日本大震災で被災した女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機を再稼働させた。震災の被災地の原発として、また東京電力福島第一原発事故を起こした同じ沸騰水型炉として、初の再稼働となる。12月頃に営業運転を再開する計画。女川原発は元日に地震が起きた能登半島と同じく牡鹿半島にあり、専門家が避難計画の脆弱性を指摘するなど住民の懸念は根強い。
【番外】
◆ 万博タイプA外観、10月完成半数不可能(11日付産経)
25年大阪・関西万博の会場建設で、参加各国が独自で設計、建設する「タイプA」パビリオンの外観部分の完成時期をめぐり、少なくとも半数の国で、日本協会が要請していた10月中旬に間に合わない可能性が高いことが分かった。協会は来年4月の開幕までの内外装を含む全体の完成を求めているが、工期を圧縮して外観を簡素化するなどの事例もあるとみられ、万博の魅力が薄れることが懸念される。
2024.10.14 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年9月編)
9月は自民党(12~27日)と立憲民主党(7~23日)という、政権党と野党第1党の党首選挙が注目された。自民党は現職総裁の再選断念と、形の上では派閥解消で縛りが無くなったこともあって、普通では考えられない9人という多数が立候補した。立憲も4人が立ち、同じ目的を持つ人で結成されている政党の中でこれだけ意見の違う人がいるのか、これが民主的な党首選びと言えるのか首をひねる状況だった。例によってマスコミは大宣伝機関と化し、“自民党一座”が西へ東へと移動するたびに忠実に追っかけ9人の主張を紹介した。時期を合わせ便乗することで関心を期待した立憲の思惑通り、9人の後に4人を刺身のツマのように紹介することで、マスコミも自民党宣伝隊の批判を避けることが出来た。結果は立憲が最も自民党寄りの野田佳彦元首相が代表となった。自民党は石破茂元幹事長が決選投票で高市早苗経済安保相を逆転し、ぎりぎり反右翼バネが働いた結果に落ち着いた。ただ自民党では国民の不信の原因となった「裏金事件」や「旧統一教会問題」の再調査を求める質問に誰一人手を上げなかった現実を前に、「野党共闘」を拒否する立憲新代表に市民の失望感も広がっている。
【戦争への動き】
◆「攻撃型兵器」の爆買い続く
〇「イージス・システム」搭載艦、2隻で9000億円に(1日付赤旗)
防衛省は8月30日、2025年度概算要求で「ミサイル防衛」と敵基地攻撃を一体化させた「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の中核と位置付ける
「イージス・システム搭載艦」の取得経費として808億円を計上した。同艦の建造費は24年度予算案で公表された2隻分7840億円に808億円が上乗せ
され、現時点で約8648億円となる。当初想定されていた2隻で約5000億円の約1.7倍に膨れ上がった。
〇 弾薬庫新設へ4施設調査(8日付赤旗)
防衛省は安保3文書に基づく弾薬庫の新設を巡り、新たに4施設で新設に向けた調査を25年度に実施すると明らかにした。政府は敵基地攻撃に使う長射
程ミサイルの大量取得に伴って、32年度までに大型弾薬庫130棟を建設する方針。今回新たに、海自佐世保地方総監部に3棟程度、空自鹿屋基地(鹿
児島県)に2棟程度を新設するためノの調査費を計上。海自舞鶴地方総監部と陸自瀬戸内分屯地(鹿児島県)の隣接地で増設が可能かを検討する。
〇 イスラエル製“自爆ドローン”310機導入へ(15日付赤旗)
防衛省は25年度概算要求で、小型無人攻撃機(攻撃型ドローン)の取得費30億円を初計上した。導入を検討している機種は、爆弾を内蔵し標的に突撃
して破壊する「自爆型」。同省は310機の取得を計画し、イスラエル製を有力な選択肢に上げていることが分かった。イスラエルは自国製の攻撃型ド
ローンをガザ地区攻撃の主力兵器としており、ジェノサイドに武器を供給する「死の商人」を潤すことは、国際法違反の殺りくに事実上加担すること
になる。
〇 米国製武器購入過去3番目の規模(16日付赤旗)
政府の25年度予算の概算要求で、米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)に基づく武器輸入の予算額が9108億円であることが分かった。
大軍拡が行われている3年間でFMSは1兆円前後で高止まりしている。概算要求に盛り込まれた米国製兵器はF35Bステルス戦闘機や迎撃ミサイル
「SM3 ブロックⅡA」など高額兵器で、米軍需企業に巨額な利益をもたらし続けている。
〇 軍事ローン15兆円超、3年間で3倍(6日付赤旗)
防衛省の25年度予算案の概算要求で、高額兵器の購入費などを複数年度に分割で支払う軍事ローン「後年度負担」が総額15兆7489億円に上ることが
分かった。前年度より約2兆円増え過去最大になった。大軍拡の3年間で3倍に膨れ上がっている。
◆ 自衛隊司令部地下化新たに2施設(16日付赤旗)
防衛省は自衛隊施設の司令部地下化について、概算要求で新たに2施設を含む計13施設が対象となることを明らかにした。関連経費の要求額は932億円で前年度比5.3倍に急増した。新たな2施設は海自舞鶴地方総監部と空自千歳基地。司令部の地下化は安保3文書に基づく、自衛隊施設の攻撃に耐え基地を維持する能力向上の一環。日本の国土が戦場になり基地が攻撃対象になることを想定した対策である。
◆ 米軍海外基地の資産評価額、日本突出25兆円(4日付赤旗)
米軍の海外基地のうち最も高価な基地の上位10基地中6基地を在日米軍基地が占め、資産評価額の総額は約1745億4000万ドル(約25兆3083億円)に達することが、米国防総省がこのほど公表した文書で判明した。2位のドイツ、韓国の3倍以上に達している。沖縄・嘉手納基地が最も高く3兆6365億円と突出しているなど、10位までに在日基地が6つを占め世界でも突出した「米軍基地国家」となっている。
◆ 安倍元首相旧統一協会との関係に新事実(17,18日付朝日、18日赤旗)
朝日新聞は2013年の参院選直前安倍晋三首相(当時)が、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の会長らと自民党本部の総裁応接室で面談していたことを写真付きでスクープとして伝えた。面談は公示4日前の13年6月30日で複数の関係者は「協会側による自民党候補者の選挙支援を確認する場だった」と証言している。面談したのは当時の教団日本会長の徳野英治氏や後の教団世界会長、国際勝共連合の会長や幹部2人。自民党側は安倍氏のほか萩生田光一総裁特別補佐、実弟の岸信夫氏が出席した。朝日は記念写真や話し合いの様子など証拠写真を掲載しながら2日にわたって追及したが、岸田文雄首相は再調査を否定した。他紙の後追い報道は無かったが、赤旗は18日付で小池書記局長の記者会見と合わせて独自取材を特集した。TVもわずかにTBS系列の「ニュース23」で9人の候補者に「再調査を検討する人は挙手」を求めたが、誰も手を上げなかった。
結局「裏金」も「旧統一教会」も形通りのアンケートだけでお茶を濁す体質に、総選挙で国民の厳しい審判が求められる。
◆ 中国で日本人学校の男児刺され死亡(19日付朝日、23日付赤旗)
中国南部の広東省深圳で18日朝、登校中だった深圳日本人学校の男児1人が男に襲われ死亡した。18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日で、中国では「国恥の日」とも呼ばれ反日感情が高まりやすいとされているが、6月にも蘇州で送迎バスが襲撃されている。両国の国民感情に悪影響を与えるか心配されるが、中国のSNS上では極端な愛国主義教育の結果、日本などへの憎しみをあおる教育や宣伝が悲劇を招いたとして、転換を求める声も多く上がっている。
◆ レバノンでヒズボラ使用のポケベル一斉爆発(19日付朝日、赤旗)
中東レバノンでイスラム教組織ヒズボラが使用するポケットベル型の通信機器が、17日午後3時半ごろ一斉に爆発し多数の死傷者が出た(これまでに死者37人、負傷者3400人)。ヒズボラは位置情報を警戒して携帯電話からポケベルに変更していたが、日本や台湾の製造元から輸入先に届けられる輸送の間に爆発装置が組み込まれたとみられている。こうした高度な手口から以前にも紹介したイスラエルの諜報機関モサドの関与が言われているが、一般市民が使う民生品を戦争の手段に利用したことに批判が高まっている。
〇 イスラエルがレバノン空爆、交戦以来最大(21日付朝日、赤旗)
イスラエルは19日深夜、各国から自制を求める声が上がる中ヒズボラとの交戦開始以来最大規模の空爆を実施した。ポケベル爆発で通信手段を制約さ
れたヒズボラを相手に攻撃を激化させた。
◎ イスラエル空爆でヒズボラ最高指導者を殺害(29日付朝日、赤旗)
イスラエル軍は27日レバノンの首都ベイルート南郊のヒズボラ本部に行った空爆でヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害したと発表した。
この攻撃は地下にある同組織本部で会議中の最高幹部らを、米国製の地下貫通爆弾など数百発の爆弾で集中攻撃したという。ヒズボラはガザのハマス
と違って、レバノン国会に議席を持つ政党を擁し同国の政府や軍にも大きな影響力を持っており、ナスララ師殺害は地域全体を巻き込む全面戦争につ
ながりかねない。
◆ 靖国集団参拝の始まり、海自練習艦隊は62年前から(2日付赤旗)
◆ 陸自音楽隊、通達違反の宗教行事参加(24日付赤旗)
靖国神社の特攻隊顕彰の慰霊行事に参加、「海ゆかば」など6曲を演奏。
◆ 沖縄米兵また性暴行 県に伝達は2か月後(6日付赤旗)
◆ 日米豪印海洋安保強化、中国念頭に共同声明(23日付朝日)
◆ 日豪「敵基地攻撃」でも協力強化(6日付朝日、赤旗)
◆ 中国 太平洋にICBM発射、米牽制の見方(26日付朝日、赤旗)
◆ 海自艦隊が台湾海峡初通過、「航行の自由作戦」事実上の参加(27日付朝日、赤旗)
お互いに相手を刺激し合うのはやめてもらいたい。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ イスラエル国内からも停戦要求
〇 全土で50万人がネタニアフ政権に対する抗議デモ(3日付朝日、赤旗)
前日にイスラエル軍が突入直前に人質6人が殺害されたことに対して、1日商都テルアビブで30万人など全土で抗議デモがおこなわれた。
停滞中の停戦・人質解放交渉が合意に至っていれば殺害は防げたとして、停戦合意を求める声が政権内部からも強まっている。
〇 イスラエル最大労組がゼネスト(4日付赤旗)
イスラエル最大労組の労働総同盟は2日ゼネラルストライキを決行し、人質を解放させるためハマスと停戦を合意するようネタニヤフ政権に求めた。
銀行やショッピングモールが閉鎖されたり、空港やバスの運行などに影響が出た。労働者だけでなくアパレル関係やテクノロジー企業もストを支持
した。
ただ10月6日のNHK総合の『NHKスペシャル』「先鋭化するイスラエル国内で何が・渾身ルポ」が描いたように、右翼専制国家イスラエルの国内で
良心に基づいて行動している人たちにも、権力の弾圧やシオニズムに染まった多数派からの抑圧が容赦なく降り注ぐ様子が伝えられており困難が伺わ
れる。
◆ 国連総会イスラエル断罪、 占領終結求める決議採択(20日付朝日、赤旗)
国連総会は18日に開いた特別会合で、イスラエルにパレスチナ占領政策を1年以内に終わらせるよう求める決議を採択した。
日本を含む国連加盟国の6割を超える124か国が賛成した。反対はイスラエルや米国など14か国にとどまり、英独などは棄権した。
◆ 日中、水産物禁輸緩和で合意(21日付朝日、赤旗)
日中両政府は20日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国による日本産水産物の全面禁輸措置を緩和することで一致した。日本政府と国際原子力機関(IAEA)が、中国も交えた処理水のモニタリングの追加実施を決めたことを受け合意にこぎつけた。また「日本産水産物の輸入を着実に回復させる」との一文も入った。日中間の懸案を解決することで中国側が歩み寄りを見せた形で、日中関係の改善に向け障害が一つ排除されたといえる。
2024.09.18 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年8月編)
NHKの朝ドラ「虎に翼」が好評です。日本初の女性弁護士、女性判事の1人となった三淵嘉子さんをモデルにしたドラマですが、初めて女性を受け入れた明治大法学部の女性一期生となった5人の同期生の友情や、ヒロイン猪爪寅子の家族・家庭観をタテ軸に、その過程で直面する司法改革や裁判をヨコ軸にちりばめた見応えのあるドラマになっています。戦前の男性本位の法曹界、弁護士になってもまとわりつく女性蔑視、戦後新憲法下で取り組む新民法や家庭裁判所の設立、朝鮮人差別の実態など歴史を知るうえでも勉強になりました。9月は初の「原爆賠償訴訟」がメインで進むと思われます。
圧巻は後に寅子の再婚相手となる星判事が長年胸中に抱え込んでいた澱(おり)を吐き出すシーンです(2日放送回)。彼は開戦前の40年9月に近衛内閣が設置した「総力戦研究所」の一員として、「武力、思想、戦略、経済戦」を一元的に総合した分析をさせられます。机上戦の末、41年8月に「日本必敗」と報告しますが、既に開戦不可避と考えている軍部には聞き入れられませんでした。「負けると解っている戦争を止められなかった」という罪悪感に苦しめられていたのです。この研究所の存在は知りませんでしたが、たまたま同じ日から始まった朝日新聞の「百年 未来への歴史」シリーズの第1回に、この研究所が紹介されていました。ドラマは通り一遍の戦争体験でなく、かなりの覚悟を持って描いていることを知り、スタッフや脚本家に改めて敬意を感じました。
【戦争への動き】
◆ 日本「NATO基地」に、加盟国軍が次々共同訓練(1日付赤旗)
日米両政府は7月28日の日米安全保障協議委員会で、日本と北大西洋条約機構(NATO )との多国間協力の拡大を盛り込んだ。これに従ってインド太平洋地域の国際共同演習「パシフィック・スカイズ24」の一環として、7月19~26日にかけてドイツ、フランス、スペインの軍用機が、32機というかつてない規模で日本に飛来し、航空自衛隊と共同訓練を実施した。この訓練に続き8月6日にはイタリア空軍が11機で飛来し空自と三沢基地(青森県)で共同訓練を行う計画。対中国・ロシアを念頭にしたNATO軍の前方基地化が進んでいる。
◆ 決算剰余金軍拡に(1日付赤旗)
財務省が7月31日発表した2023年度の国の決算概要発表によると、23年度一般会計の決算剰余金は8517億円で確定した。半分の約4200億円が軍拡予算にあてられる。決算剰余金は年度中に使いきれず余った金で、財政法上次年度に一部が軍拡財源に充てられるように変えられた。使い残した金なら本来緊急の災害復興や、国民が苦しんでいる物価高にあてられるのが筋だろう。
◆ ハマス最高幹部殺害、中東の緊張激化か
〇 ハマス最高幹部殺害、イスラエルが関与か(1日付朝日、赤旗)
パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスは7月31日、最高幹部のイスマイル・ハニヤ政治局長が殺害されたと発表した。ハニヤ氏はイラン新大統
領の就任宣誓式でテヘランを訪れていた。イスラエルの諜報機関「モサド」(イスラエル諜報特務庁)は世界最強と言われており、いわば敵国イラン
の首都で来賓客の滞在先を特定し正確に殺害する手口に、イスラエルの関与が疑われている。
〇 国連安保理会合 国際法違反指摘相次ぐ(2日付赤旗)
国連安保理は31日緊急の公開会合を開いた。多くの国がハニヤ氏暗殺を国連憲章と国際法違反と指摘し危険な展開と批判した。イランやレバノンの
「ヒズボラ」などガザ支援関係者が報復を宣言する一方、トルコでは数千人が抗議のデモ行進をした。
〇 ヒズボラ イスラエルに報復攻撃(26日付朝日、赤旗)
◆ ウクライナ ロシア領に越境攻撃(9日付赤旗、13日付朝日)
ウクライナ軍は6日侵攻に対抗する形で、国境を接するロシア西部のクルスク州に正規軍による越境攻撃を始めた。12日までに国境から12キロ、幅40キロの範囲で侵入し、さらに隣接するベルゴドロ州への進撃も試みている。これまでウクライナ戦争は国と国との戦いながらロシア軍が一方的にウクライナ領を攻撃する一方的な侵略戦争だった。これに対しウクライナは無人機でモスクワを攻撃することはあったが、軍隊がロシア領土を攻撃して占領を継続することになれば、この戦争は質的に一段階上がる本格的な戦争に進む恐れが出て来た。
◆ 自衛隊「見学」「体験」小中生対象23年度倍加(12日付赤旗)
全国の自衛隊地方協力本部などが23年度に小中学生を対象に実施した「基地・駐屯地見学」「職場体験」「隊員による講演」の件数が直近5年間で最高となったことが分かった。23年度は「見学」937件、「体験」1482件、「講演」207件。3つの合計はコロナ禍前の19年度比1・6倍、前年度比2倍となっている。自衛隊広報紙では「将来の入隊につなげる募集活動を実施する」などと狙いをあけすけに紹介しており、学校を介しての勧誘を重視していることがうかがえる。
◆ 海自「遊就館」を集団見学(14日付朝日)
海上自衛隊練習艦隊の実習幹部らが今年5月、靖国神社の「遊就館」を研修の一環として集団で見学していたことが分かった。練習艦隊は将来の指揮官となる実習幹部らの教育を任務とする部隊。太平洋戦争などの戦死者をまつって旧軍との関係が深い靖国神社と、旧軍組織と決別したはずの自衛隊との密接な関わりが相次いで明らかになっている。
◆ 木原防衛相 終戦記念日に「靖国」参拝(16日付朝日、赤旗)
木原稔防衛相は終戦記念日の15日靖国神社を参拝した。過去には現役の防衛庁長官だった中谷元氏が2002年8月15日に参拝した例があるが、省に格上げされてから現役の防衛相が15日に参拝するのは初めて。今年に入り靖国神社と自衛隊の異常な接近を示す事例が相次いでおり、その中で実力組織のトップの立場にある防衛相が15日に参拝したことは、事実上自衛官による参拝を後押しするものと受け取られてもやむを得ない。
◆ 辺野古埋め立て 大浦湾で着工強行、「代執行」で(21日付朝日、赤旗)
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、防衛省は20日軟弱地盤が広がる北側の大浦湾で本格工事に着工した。辺野古の埋め立て工事は南側の区域はほぼ陸地化されたが、全体の4分の3にあたる大浦湾では広大な軟弱地盤が存在している。この工法をめぐって国と県の意見が食い違い、県の権限を奪って国が「代執行」する強硬手段で着工にこぎつけたもの。前例のない難工事に完成さえ見通せておらず、国のメンツだけが先走っている印象を受ける。
◆ 来年度予算概算要求 軍事費8.5兆円(31日付朝日、赤旗)
防衛省は30日に決定した2025年度予算案の概算要求で、8兆5389億円を盛り込んだ。24年度予算より5893億円増え、11年連続で過去最大となる。安保三文書に基づく大軍拡が行われている3年間では3.2兆円の増額となっており、約1.6倍に膨れ上がっている。これは文教費の2倍になるなど国民生活を犠牲にした軍拡が急ピッチに進められようとしている。
◆ 中国軍機初の日本領空侵犯(27日付朝日)
防衛省は26日、中国軍機が同日午前長崎県五島市の男女群島沖を領空侵犯したと発表した。両国間の緊張が高まれば偶発的な衝突に発展するリスクも伴うが、発覚後の航跡から誤って入ったとの見方もあり、冷静な対応が求められる。
◆ 特定利用空港・港湾3県の12施設追加(28日付赤旗)
◆ ロシア軍 ウクライナの越境攻撃に大規模反撃(28日付赤旗)
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 長崎市 平和祈念式典にイスラエル招待せず、G7は反発
〇「式典を平穏に」イスラエルの招待を保留(1日付朝日)
長崎市の鈴木史朗市長は7月31日、被爆79年となる9日の平和祈念式典にイスラエル代表を招待しないことを明らかにした。鈴木市長は「政治的判断
ではなく、式典を平穏かつ厳粛に行いたいという考えからの判断だ」と述べた。長崎市は例年各国の在日大使館に招待状を送っているが、ガザ地区で
戦闘が続いていることを踏まえ、6月「式典での不測の事態のリスク」を理由に招待を保留、駐日大使あてに即時停戦を求める書簡を送っている。
また長崎市はウクライナ侵攻が始まった2022年から、ロシアとベラルーシの招待を見送っている。
〇 米欧6か国大使式典欠席へ(8日付朝日)
米英など主要6か国とEUの駐日大使らが7月、「イスラエルを除外したら我々もハイレベルの参加が難しくなる」との書簡を長崎市長に送っていた。
「イスラエルは被侵略国」「自衛権を行使」などを理由に挙げているが二重基準が露骨に語られている。初めに奇襲をかけたのはハマスだが領土占領
の意図もなく、その後のイスラエルのジェノサイドを正当化するのは国際的に通用しないのは明らかだ。原爆を落としたアメリカは在福岡主席領事、
他の5か国も公使などの参加になる見込み。
〇 平和祈念式典 過去最多の100か国が出席(10日付朝日)
9日長崎市で平和祈念式典が行われ過去最多となる100か国・地域が出席した。米英イスラエルの大使はこの日、東京・増上寺の長崎原爆殉難者追悼式
に出席した。米大使は「ロシアは侵略した国で、イスラエルは攻撃の犠牲にあった国だ。それを同列に扱う式典に出席すれば政治的に受け入れてしま
うことになる」と自己の行動を正当化した。
〇 広島市のイスラエル招待に抗議、市民が集会(8日付赤旗)
◆ 岸田首相退陣へ、総裁選の出馬断念(15日付朝日、赤旗)
岸田文雄首相は14日首相官邸で記者会見し、統一協会との癒着や派閥の裏金事件をめぐって「国民の不信を招いた」と述べ、任期満了に伴う同党総裁選に立候補しないと表明した。岸田政権は2022年に「安保三文書」を閣議決定し異次元の大軍拡を推進。経済ではアベノミクスを継承し、異常な円安物価高
にも何ら対策を打とうとしなかった。また赤旗日曜版のスクープに始まった裏金事件にも実態解明や党改革に取り組まない姿勢に、国民の怒りに追い詰められた末の「政権投げ出し」といえる。
◆ 日本原電敦賀2号機再稼働認めず(29日付赤旗)
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は28日、原子炉建屋直下に活断層がある可能性が否定できないとして、再稼働の前提となる新規制基準に不適合だとする審査書案を了承した。新規制基準は、活断層の上に安全上重要な施設を建てることを禁じている。
再稼働を認めない判断は2012年に規制委が発足して以降初めて。
◆ 自衛官23年度中途退職 過去30年最多(31日付赤旗)
防衛省は30日、2023年度の自衛官の中途退職者数が過去30年で最多の6,258人に達したと明らかにした。イラクなど海外派兵の拡大で急増した07年度の5,952人を超えた22年度をさらに上回った。隊内の深刻なハラスメントの露見に加え、安保三文書で進める「戦争国家」づくりに伴って任務が激化し、現場隊員の心身の負担増加が退職者急増の背景として指摘されている。
2024.08.20 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年7月編)
東京都知事選は市民と野党の共闘が成立し、蓮舫という知名度の高い候補者を得て期待する部分がありました。しかし結果は思いもよらぬ3位。どう総括していいのか迷った時期もありましたが、今は今後に向けて大きな意義のある闘いだったと断言できる心境です。裏金自民党に対する怒りは、政党の闘いとなる都議補選で自民党は2勝6敗と惨敗した部分にはっきりと表れています。ですが知事選は1人の首長を決める選挙であり、個人的要素が大きな比重を占めます。応援する政党による影響は、自民党は表に出ずステルス支援に徹しましたが、小池票は前回に比べ72万票減らしています。それに対して蓮舫側は共産党を含む野党共闘に対する様々な攻撃にもひるまず、候補者も立憲都連も最後まで共闘を前面に出して闘い抜きました。その成果は前回の宇都宮票の1.5倍と大きく伸ばしたことに表れています。結果的に小池という個人的要素が蓮舫を上回ったということだと思います。2位に入った石丸票が対決点を解り難くしましたが、時間が経つにつれて単なる清新な浮動票を一手に集める無党派新人でなく、自民党の萩生田政治塾の塾長代行が選対本部長を務め、SNSを大規模に使う新手の組織候補という側面が明らかになってきています。つまり自民党を離れた票が野党共闘に流れないよう用意された受け皿で、自民党の入念な作戦が功を奏したということではないでしょうか。 (文中敬称略)
【戦争への動き】
◆ 米軍 オスプレイの運用広がる
〇 横田基地のオスプレイ無通告飛行再開(3日付赤旗)
在日米軍横田基地に配備されている米空軍特殊作戦機CV22オスプレイが2日飛行を再開した。去年11月に同基地のCV22が屋久島沖で墜落し、米軍が
すべてのオスプレイの飛行停止措置をとったいわくつきの機種。周辺自治体への事前通告は無かった。
〇 米海軍オスプレイ 岩国基地配備計画(14日付赤旗)
米海兵隊岩国基地に米海軍のCMV22オスプレイが配備される計画であることが分かった。同基地を拠点とする空母艦載機部隊(第5空母航空団)の空
母に搭載されるとみられる。CMV22についても多数の不具合があるといわれている。
この情報に対して岩国市では21日怒りの市民集会が開かれた。
◆ 在日米軍の戦闘機大増強(5日付赤旗)
米国防総省は3日、在日米軍の戦闘機を「近代化」すると発表した。嘉手納(沖縄県)、三沢(青森県)、岩国(山口県)各基地に最新鋭の戦闘機を配
備。今後数年間で100億ドル(約1兆6千億円)を投じる大増強になる。中国に対抗する動きであり、「軍事対軍事」の悪循環の危険がさらに高まる。
◆ 日比 準同盟に深化(9日付朝日)
日本、フィリピン両政府は8日、自衛隊とフィリピン軍が共同訓練などで相互に訪問しやすくする「円滑化協定」に署名した。東シナ海、南シナ海で海
洋進出を強める中国に対抗するため、日本は米国とともにフィリピンとの安全保障面での連携を強化しており、同国との関係を「準同盟級」へと格上げ
を図る。しかし南シナ海では中比間の一触即発の激しい対立が続くさなか、南シナ海問題に深く関与すれば、日本が中比間の係争に巻き込まれるリスク
も高まる。
◆ 自衛隊不祥事続々、文民統制も機能せず
〇 川崎重工 裏金で潜水艦乗組員接待(4日、5日付朝日)
海上自衛隊の潜水艦を受注する川崎重工業が潜水艦の乗組員らに対し、下請け企業との架空取引で捻出した裏金を使って多額の物品や飲食代を負担し
ていたことがわかった。裏金作りは約20年前から始まったといわれ、防衛省の調査では25隻の乗組員1500人が対象になっている。
〇 特定秘密の違法運用 防衛省・自衛隊全体で相次ぐ(7日付朝日)
安全保障に関わる機密情報「特定秘密」について、海上自衛隊に加えて陸上、航空自衛隊や「背広組」といわれる防衛相内部部局などでも、違法な取
り扱いをしていた事例が相次いでいたことがわかった。一方、内部部局の管理職によるセクハラ、パワハラも複数確認されている。
〇 潜水手当海自で不正受給常態化か(10日付朝日)
海上自衛隊の複数の隊員が、任務や訓練で潜水した時に受け取る手当を、不正に受給していた疑いがあることがわかった。海自には沈没船の乗員救助
や海中の機雷処分といった任務を担う潜水員がおり、潜る深さに応じて手当てが出る。多くの潜水員が数年にわたって行なっていたとみられ、不正受
給の総額は数千万円規模になる恐れがある。
〇 防衛省218人処分、海自トップ辞任(13日付朝日、赤旗)
防衛省は12日相次ぐ不祥事に対し、自衛隊員218人の処分を発表した。うち113人が特定秘密保護法違反の処分で、特に海自で違法な運用が常態化し
ていた。この法律はそもそも政府が強行に次ぐ強行で成立させたもので、10年後そのルールがなおざりにされていることは深刻な実態と言える。
特に処分者が突出している海自トップの酒井良海上幕僚長は引責辞任した。
◎ 防衛省統制不全あらわ、「文民統制」機能せず(20日付、31日付朝日)
防衛省・自衛隊は1週間前の大規模処分に続き、さらなる不祥事が明るみに出た。18日「潜水手当」の不正受給で、未公表分が1千万円超ある疑いや逮
捕者の存在が公表されたが、木原稔防衛相が担当者から報告を受けたのは立憲の会合での説明の後だった。担当者は「今まで聞かれなかったから答え
なかっただけ」と強弁している。木原防衛相は30日の閉会中審査で「文民統制上非常に問題がある」と認めたが、先の大戦中でも「文民統制」が形骸
化され軍部の独走を許した苦い経験があるだけに、陳謝で済む問題ではない。
◆ 防衛省の23年度武器調達 軍需企業大手が急増(11日付赤旗)
防衛省の23年度中央調達で、軍需企業最大手の三菱重工の契約額が1兆6803億円と前年比4.6倍に急増し、米国政府を超えてトップとなった。
川崎重工や日本電気など他の大手も2~3倍と軒並み増えており、大軍拡予算が軍需企業を太らせていることが明確になった。
◆ 年金積立金 軍事企業に巨額の投資(17日付赤旗)
公的年金の積立金を市場運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、国内外の軍事産業に巨額の投資をしていることが「赤旗」の調べで
分かった。GPIFが23年度末に保有していた軍事企業の株式時価総額は、防衛省の契約額上位20社だけで6兆円余に上った。背景には岸田政権の大軍拡路
線がある。GPIFは国内軍事企業に限らず、米国の核兵器関連企業である「ハネウェル・インターナショナル」に1239億円など多くの軍事企業の株式に
も巨額の投資をしている。国民と企業の納めた保険料を原資とした年金積立金を軍事企業に投資するのは問題だ。
◆ 南の島は戦争用?
〇 陸自機与那国空港を16日間使用(23日付赤旗)
28日から始まる陸上自衛隊と米海兵隊の実動訓練で、陸自の輸送機が与那国空港を計16日間米軍の装備品などの輸送に使用することがわかった。
新石垣空港も4日間使用する。与那国島では日米共同での机上訓練や兵たん訓練など、石垣島では長射程ミサイルによる対艦戦闘訓練などを行う。
地域の軍事的緊張を高めるものになる。
〇 南鳥島に長射程ミサイル射撃場整備へ(26日付赤旗)
防衛省が陸上自衛隊の地対艦ミサイルの発射訓練を国内で実施できるよう、小笠原諸島の南鳥島(東京都)に射撃場を整備するj計画であることが分
かった。計画されているのは長射程ミサイル「12式地対艦誘導機」の訓練。同ミサイルの実射禁煙はこれまで米国などで行われており、国内に射撃場
が整備されるのは初めて。
◆ 能動的サイバー防御 新法を検討、通信情報を米と共有へ
〇 能動的サイバー防御新法検討(19日付朝日)
能動的サイバー防御については「6月編」でも有識者の初会合を紹介したが、政府は通信事業者にインターネット上の通信情報を提供させる新法を制
定する方向で検討に入った。情報収集や分析の権限を政府に認めることを想定しており、憲法が定める「通信の秘密」を一定の条件下で制限する法整
備となる。
〇 能動的サイバー防御 通信情報を米と共有へ(24日付朝日)
政府は民間通信事業者から取得した通信情報を米国と共有する方向で調整に入った。日本が米国へ通信情報を提供することで、米側からも日本の把握
していない新手のサイバー攻撃に関する情報や対処事例の提供を受けることを想定している。ただこれは憲法21条の定める「通信の秘密の保護」を
「公共の福祉」の範囲内で制限するもので、国による情報収集行為に対するプライバシー侵害や市民監視、情報漏洩といった懸念は根強い。
自国のデータを自国で管理する「データ主権」の観点からも、米国への情報提供そのものの妥当性が問われることになりそうだ。
“あなたのプライバシーがアメリカでも監視される”
◆ 「日米2+2」在日米軍に統合軍司令部設置で合意(29日付朝日、赤旗)
日米両政府は28日外務・防衛担当閣僚会合を開き、自衛隊との指揮統制の連携強化を進めるため、米側が在日米軍を再編して作戦指揮権を持たせる「統
合軍司令部」を新設する方針を表明。この他にも「核の傘」強化や武器共同生産なども共同発表文書に盛り込まれた。自衛隊が事実上米軍の指揮下に組
み込まれる事態が進んでいる。
◆ トランプ米大統領候補銃撃され負傷、許せない政治テロ(15日付全紙)
アメリカのトランプ前大統領が13日、演説中に銃撃され右耳を負傷した。
共和党員登録もあるという20歳の男が容疑者としてその場で射殺された。前日も練習場で射撃訓練をしていたといい、直ちに射殺されたことで動機や背
景も不明のままというのも“銃社会”アメリカらしい。トランプ氏は一躍ヒーロー扱いされたが、選挙戦の不利を直感した民主党がバイデン大統領を撤退
させ(21日)ハリス副大統領に候補者を差し替えたことで(8月2日)、「老人2人がののしり合う史上最悪の選挙戦」といわれたのが、本来の政策を訴
える選挙戦に戻った、のは皮肉だが、政治テロは民主主義の敵として厳しく対処する必要がある。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 駐留米兵事件 日米地位協定改定の声も
〇 沖縄米兵事件さらに5件明らかに、本土でも(2日付、20日付赤旗)
先月明るみに出た在沖米兵の女性暴行事件は、23年から24年5月末までに5件に上ることを1日沖縄県警が認めた。
いずれも県側に情報の提供はされていない。同様の性犯罪は青森、山口、長崎県でも発生しているが公表されていないことが明らかになった。
〇 政府 沖縄県と情報共有へ(5日付朝日)
〇 沖縄県議会全会一致で決議・意見書(11日付朝日、赤旗)
沖縄県議会は10日米軍や日本政府に対する抗議決議や意見書を全会一致で可決した。盛り込まれた要求は再発防止策などのほか米兵らに特権的な地位
を認めた日米地位協定の改定。6月の県議選で与野党勢力が逆転した県議会だが「満身の怒りをもって抗議する」と訴えた。同様の決議や意見書は10
日現在17市町村議会でも可決するなど、地位協定への怒りが広がっている。
〇 沖縄県議会 日米両政府に要請(20日付赤旗)
沖縄県議会の要請団は19日駐日米大使館、内閣官房、防衛省、外務省を訪問し迅速な通報や再発防止策などを要請した。支援する市民は国会議員会館
前行動」を行い750人が参加した。
◆ 自衛官の採用人数 計画の半分止まり(9日付朝日)
防衛省は8日、23年度の自衛官の採用者数が募集計画の50.8%にとどまり最低になったと発表した。同省によると23年度の採用は1万9598人の募集に対
し「採用率」は9959人と過去最低で、「採用率」は15.1ポイントの大幅減だった。同省は少子化の影響もあげているが、強まる戦争国家への拒否傾向が
大きいのではないだろうか。
◆ 「核禁条約日本は批准を」署名156万人超提出(12日付赤旗)
被爆者ら幅広い人が呼びかけた「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」の共同提出のつどいが11日行われ、第4次分の14万7918人分
(累計156万5317人分)を外務省に手渡した。
◆ 最高裁「旧統一協会」に厳しい判決(12日付朝日、赤旗)
世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に、母親(故人)が高額献金をした60代女性が、教団側に賠償を求めた訴訟の上告審判決が11日あった。
この中で、最高裁第一小法廷は信者だった母親が「教団に賠償を一切求めない」と書いた念書を「公序・良俗に反し無効」と判断し、違法性を再び検討
させるため審理を東京高裁に差し戻した。そして今回の献金の経緯を「異例」と評価し違法性があることも示唆した。
教団の献金をめぐる最高裁の判断は初めてだが教団側にとっては極めて厳しいものとなった。
◆ 国際司法裁がイスラエル断罪(21日付朝日、赤旗)
国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は19日、イスラエルが1967年に占領したヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムに継続的に駐留していること
を国際法違反と断罪する勧告的意見を出した。イスラエルによる占領地の併合や入植活動の拡大、パレスチナ住民に対する差別的措置を全面的に断罪
し、イスラエルは「違法な駐留をできる限り速やかに終わらせる義務を負う」と述べる歴史的判断となった。
◆ 英・仏など3選挙で反極右、民主化の民意
〇 英保守党歴史的大敗、14年ぶり政権交代(6日付朝日、赤旗)
英国で4日に実施された下院(定数650)の総選挙で、与党・保守党は結党以来最少の121議席に転落し、主要閣僚が軒並み落選する歴史的な大敗を喫
した。最大野党・労働党が412議席と単独過半数を獲得し14年ぶりに政権を担う。
EU離脱による混乱で経済が低迷し8年間で首相が4人も代わる迷走に、国民の怒りが爆発したといえる。
〇 イラン大統領に19年ぶり穏健派(7日付朝日、赤旗)
19年ぶりに行われたイラン大統領選の決選投票で、内務省は6日穏健派のベゼシュキアン元保健相が、一騎打ちとなった保守強硬派の候補を破り初当
選したと発表した。中東地域が緊張し、欧米の経済制裁のもと国民生活も苦しいなか、5月のヘリ墜落事故で死亡したライシ大統領の後継を決める選
挙だった。
〇 仏国民議会選左派連合第1党、極右内閣誕生を阻止(9日付朝日、赤旗)
フランスの国民議会選挙(下院、定数577)の決選投票が7日に行われ、左派4党の共闘組織「新人民戦線」が182議席で最大勢力となった。
マクロン大統領の与党連合は第2位に沈み、アタル首相が辞意を表明した。第1回投票(6月30日)で1位だった極右政党「国民連合」(RN)は3位に
とどまった。事前の世論調査では決選投票でもRNが最大勢力になる予想が出ていたが、新人民戦線と与党連合が候補者一本化に踏み出し極右内閣誕
生の危機を阻止した歴史的選挙となった。
2024.07.18 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(6月編)
6月16日投・開票で沖縄県議選が行われた。金権腐敗の自公政権が崖っぷちに追い詰められる中で、あの沖縄では自公は惨敗するだろうと思っていた。予測に反して負けたのは「オール沖縄」の方だった。ショックの中で色々考えてみた。マスコミの論調は、政府が懐柔から力ずくの対応に変更し、沖縄県の抵抗には「代執行」で押さえつけるなど、県政が無力化された印象を与えた現実を伝えていた。
それも大きいと思われるが、1年間「戦争を食い止める」活動をしてきた目で考えると、本土と沖縄の置かれている地理的条件の違いに突き当たった。本土では「新しい戦前」を「戦中」に変えない闘いが中心だが、台湾に地理的にも近く、南西諸島がミサイル列島に変えられ、島ごとに九州などへの避難先が決められ、さらにシェルターが計画されている沖縄では、はるかに切迫した「戦争前夜」の雰囲気に近いのではないかと思い至った。この状況では米軍や自衛隊に対する感覚も違うだろう。さらに後日になって米軍兵の女性暴行事件が日本政府により起訴から3か月も県に伝えられずに隠蔽されていたことも明らかになった。選挙をやり直してほしい気分である。
【戦争への動き】
◆ 日米軍事一体化仕上げ段階へ
〇 在日米軍司令官格上げ(4日付朝日、5日付赤旗)
オースティン米国防長官は3日、訪問先のシンガポールで記者団に対し、4月10日の日米首脳会談で合意した日米指揮統制の枠組み強化をめぐり、日本
に現在の中将に替わり大将級の司令官を配置する案を検討していると言明した。米側も自衛隊が設ける「統合作戦司令部」の司令官と同列に格上げす
る案で、在日米軍の権限を強め、日米の指揮統制の密接な連携を図る狙いがある。またオースティン氏は中距離ミサイルを日本に配備する可能性につ
いても否定せずミサイル軍拡競争が加速する危険性がふくらむ。
〇「能動的サイバー防御」初会合(8日付朝日、赤旗)
政府は7日、サイバー攻撃を受ける前に、相手サーバーなどに侵入し無力化を図る「能動的サイバー防御」の導入に関する有識者会議の初会合を開い
た。事実上サイバー空間での先制攻撃につながりかねないものだが、日本のサイバー防衛能力の脆弱性を懸念する米国の意向が大きいといわれる。
〇 空自、米新戦略下 核爆撃機との訓練急増(16日付赤旗)
2022年の安保3文書決定後、核兵器の搭載が可能な米空軍B52 戦略爆撃機と航空自衛隊との共同訓練が急増していることが、共産党の穀田恵二議員の
質問(12日衆院外務委員会)で明らかになった。22年までは年数回程度で推移していたが23年は14回と急増、今年も既に4回実施されている。米政府
の新たな戦略では、核戦力の「可視化」を同盟国とともに進めると明記しており、空自との訓練増加はその具体化と言える。
◆ 世界の核弾頭1万2千発も、さらに増強計画(18日付赤旗)
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は17日、米露英仏中にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9か国の保有核弾頭数が、今年1
月時点で推定1万2121発だったとの報告書を発表した。保有数の9割をロシアとアメリカが占める。報告書は「ほぼすべての核保有国が核戦力の増強を
推進するか、計画を持っている」と指摘。ダン・スミス所長は「この増加傾向は今後も加速する可能性が高く、極めて懸念すべき事態だ」と警鐘を鳴ら
した。
◆ 沖縄県議選 県政与党が敗北、ウラで政府の卑劣な隠蔽
〇 与野党同数から8議席差へ(18日付朝日、赤旗)
野党は評判の悪い自公が全員当選するなど4議席を増やしたのに対し、与党は中核の共産党が3、立憲が2減など合わせて4議席減らした。
ただ出口調査では辺野古や知事の姿勢を評価する声が6割台という調査もあり、県民世論の健全さは変わっていない。
しかし岸田首相―木原防衛相体制になってからの徹底した対話無視、反対すれば「代執行」という地方自治無視の強硬政策に「無力感」が強まったと
いうのが、マスコミの共通した論評のようだ。
〇 在沖米兵の性犯罪隠ぺい、次々明らかに(26~28日付朝日、赤旗)
米軍嘉手納基地所属の空軍兵が少女に対する性的暴行の罪で起訴されていたことが26日明るみに出た。事件の発生は去年12月、3月には起訴されてい
るのに、政府は沖縄県に対して3か月間も情報提供せずひた隠しにしていた。基地と隣り合わせの沖縄では屈辱的な地位協定もあって米兵犯罪が多
く、1995年に起きた少女暴行事件では復帰後最大の8万人抗議集会が開かれた。これをきっかけに97年の日米合同委員会合意に基づき、政府は“速やか
に”県に通報してきた。翁長オール沖縄知事の誕生後、県を敵視する政府の通報が遅れがちになって来たが、捜査に支障のない起訴から3か月も無視さ
れたことは、この種の犯罪に敏感な沖縄県民感情を考え、県議選終了後まで隠蔽したと考えるのがごく自然な発想ではないだろうか。
さらに28日には別の海兵隊員が5月に起こした事件の隠蔽も発覚している。
◆ 改定地方自治法成立、国の指示権強大に(20日付朝日、赤旗)
政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、国が地方自治体に指示が出来る「指示権」を新たに導入する改定地方自治法が、19日の
参院本会議で自公維などの賛成多数で可決、成立した。憲法が保障する地方自治を根本から否定し、最終的には「代執行」さえ可能とされている。
この法の行きつく先は沖縄の二の舞になるのは明らかだ。
◆ ロシア・北朝鮮 戦略条約締結(20,21日付朝日、21日付赤旗)
ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩労働党総書記は19日平壌で会談して「包括的パートナーシップ条約」に調印、全文が20日に公開された。
一方が武力攻撃を受けて戦争状態になった場合に「軍事的その他の援助を提供する」と明記、軍事面での協力を一層強める構えを明確にした。
緊張の強まる北東アジアに新たに軍事同盟が誕生した。
◆ イスラエル人質4人解放に、ガザ住民274人殺害(11日付朝日、赤旗)
◆ 日米韓 海・空・サイバー初の共同訓練(28日付朝日)
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 政治資金規正法改定も企業献金やパーティーなど温存
〇・自公維合意案 衆院特別委に提示(1日付各紙)
・自公維案 教育無償化の会含め4党賛成で衆院通過(7日付各紙)
・改定規制法 自公の賛成で成立、維新は迷走参院では反対(20日付各紙)
政治資金の裏金事件で国民の批判を受けた自民党は、先月17日規正法改正案を単独で提出していたが、衆院特別委の採決を前にして公明、維新と個別
に党首会談を持ち、それぞれの意見を取り入れた修正案を31日に提出した。公明党とは政治資金パーティー券の公開基準を10万円から5万円に引き下
げ、維新とは政策活動費の支出状況を10年後に公開することで両党の合意を取り付けたもの。最大の問題点である企業・団体献金や使途不明の政策活
動費を温存することで改正を骨抜きにした案を4党の賛成で6日の衆院本会議を通過させた。
ところが参院審議段階になって維新が党首合意の内容が守られていないとして反対に転じ、最終的に19日に自公2党の賛成で可決成立した。
維新がこだわった政策活動費の10年後公開などは本気で主張しているのかと思えるほど後ろ向きの提案だが、それを抜きにしても成立した改定規制法
は検討事項だらけの抜け道山盛りの法律で、国民が要求していた企業団体献金の禁止、政策活動費の廃止などの願いに背く形で幕引きを図ったといえ
る。真の政治改革のための闘いは今後も続く。
〇 迷走維新 政党の態なさず(21日付赤旗)
この改定法の審議の際、維新が衆・参で賛否を一転させたことがまともな政党の態をなしていないとして批判が殺到している。
発端は5月末、馬場伸幸代表と岸田首相が党首会談で調査研究広報滞在費改革など3項目の合意文書を交わしたこと。馬場代表は「100%我が党の考え
が通った」と法案に賛成したが、その後、修正案は審議を通じて抜け穴だらけの実態が露呈、悪法強行に「助け舟」を出した維新に対し厳しい批判が
向けられた。
これで参院では「約束が反故にされた」などとして反対に転じた。野党から「同一政党が衆参で賛否をたがえるのは公党の行動として理解に苦しむ」
との批判が上がる中、馬場代表は「2院あるのだから対応が変わって当たり前。おかしいというなら1院にしたらいい」と開き直る始末。
国政政党として責任ある態度とは程遠いといわざるを得ない。
◆ ニトリ パー券購入青天井、出席も全社員の2倍半(12,22日付赤旗)
改定政治資金規正法はパー券購入者の公開基準を20万円超から5万円超に引き下げただけ。複数回開催すれば事実上青天井でパー券を購入することもで
きる。一例として家具大手の「ニトリホールディングス」は22年度27政治団体のパー券を合計3620万円購入していた。岸田首相のように3回のパーティ
ーで計450万円など上限の額を複数回開催することで、事実上野放しになる。しかもニトリの場合2万円のパー券を実際に参加したように見せるため(参
加していなければ寄付扱いになる)、700人の従業員が2~3回出席したように繕っていた。
改定法の抜け穴を利用する方法が既に行われていたわけで、実質的な企業・団体献金の制限には役に立たないことを露呈した。
◆ 自民党 今国会への改憲原案提出見送り(14日付朝日)
自民党が目指していた今国会への憲法改正原案の提出は見送られる見通しになった。立憲野党などが拙速な改憲に反対するなか、自民党は政治資金規正
法を優先させることになった。これにより岸田首相が繰り返し訴える自民党総裁任期中の改憲は頓挫した。
自民党は国会閉会後も憲法審議会を開き改正原案作りを進めたい考えだが、国民と立憲野党の粘り強い闘いが改憲を食い止めている。
【番 外】
◆ 万博300日前 各方面から“危惧”の声
〇・タイプA外観「10月完成」破綻、迫られる計画見直し(14日付産経)
・300日前見当たらぬ「華」、安全なども課題山積み(24日付朝日夕刊)
大阪関西万博は17日で開幕まで300日となった。「朝日」は万博の歴史に詳しい立命館大の飯田豊教授と建設現場を歩いた。シンボルとされる大屋根
リングは9割が組み上がっている。精緻に組み上げた構造は美しく空中回廊からは大阪湾や会場が一望できる。ただ建設費は344億円、「世界最大級の
無駄遣い」など批判が今も絶えない。その会場はベージュがかった地面と資材を運ぶトラックが見えるだけで「華」となるパビリオンは見当たらな
い。そのパビリオンについて「産経」は参加国が自前で設計・建設する「タイプA」は資材価格の高騰や人手不足などで、希望する国が当初の60か国
から53か国まで減少、このうち14か国で建設業者も決まっていない(その後アルゼンチンも撤退)。協会は初め建築作業の完了の目安を今年7月に設
定したが10月中旬に変更。これさえも無理と明言する国もあり、さらに計画の練り直しを迫られそうだ。
〇 パビリオンタイプ移行に追加負担 最大77億円(19日、26日付朝日)
パビリオンの工期短縮のため協会は苦肉の策として、協会が建てる建て売り方式の「「タイプX」や、協会の建物内に間借りする「タイプC」への移
行を呼びかけてきた。しかし6月中旬の時点で建設中のタイプX9棟のうち入居を決定したのは3か国で、このままでは建設費77億円が新規負担となる
見込み。さらに吉村大阪府知事が主張する大屋根リングの全保存には300億円程度かかるといわれ、建材として解体する費用も発生するとみられる。
2024.06.18 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(5月編)
この連載を初めて早くも1年になる。この間、赤旗のスクープをきっかけとした「政治資金パーティーによる裏金づくり」に対する国民の怒りが自民党を崖っぷちまで追い詰めている。しかしその陰に隠れて「普通に戦争する国づくり」の策略は予想を超えるピッチでしたたかに進められている。
特に法制面、米軍との指令体制の一体化、装備と兵器造りの体制など、思わぬ距離までだるまさんが転んできている。どちらの動きが勝るかで「戦前のままで続くか、それとも戦中に引き込まれるか」の重大な局面に立っているような気がする。市民と野党の共闘を強めて勝ち切りたいものである。
【戦争への動き】
◆ 防衛費に建設国債1.2倍(7日付朝日)
政府は今年度に建設国債5117億円の発行を計画し、前年度比1.2倍、額にして774億円増やすことが分かった。過去の戦争の反省から、国は長らく防衛費を借金で賄わないとしてきたが、岸田政権が防衛力強化を旗印に昨年度の予算から解禁。借金をあてにして身の丈を超えた防衛費の増額に、歯止めがきかなくなる恐れが出ている。
◆ 米・比 南シナ海で実射演習(7日付朝日)
米軍とフィリピン軍は6日フィリピン最北部の南シナ海沿岸で、会場への実弾射撃訓練を行った。今回の演習場所はフィリピンと中国が領有権を争っている地域や台湾南端まで400キロに迫る所で、中国への牽制を念頭に置いたものとみられる。こうした動きに対抗し中国のフィリピン船への妨害行為も激しさを増しており、緊張がエスカレートする懸念がある。
◆ 海自護衛艦「いずも」にドローン映像騒動(⒑,⒒日付け朝日)
空母に改装中の海上自衛隊護衛艦「いずも」のドローン映像と言われるものが、3月に中国系の動画投稿サイトに投稿され、その後Xで拡散される騒ぎがあった。当初防衛省は4月2日の会見で「フェイク動画」の可能性を指摘していたが、5月9日になって『本物の可能性が高い』と結論付けた。分析に1か月もかかったのも問題だが、海自にとっては主力となる「いずも」が停泊中とはいえ、正体不明のドローンに簡単に接近され撮影までされたというのは驚きである。
防衛省がさらに厳しい規制法を作るために仕組んだ、自作自演の小芝居かとも勘繰りたくなる。
◆ 戦争国家作づくり2法あい次ぎ成立(11日付赤旗)
日米首脳会談の合意に沿って「戦争する国づくり」を進める2法が10日の参院本会議で、立民も含む6党の賛成で次々に成立した。反対を貫いたのは
共産党、れいわ、「沖縄の風」の2党1会派だった。2法は兵器の共同開発を推進するために同盟国と同等の秘密保全体制を整備する「経済秘密保護法」と陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部設置法」で、米軍との一体化を進める両法の危険性は「新しい戦前・考」の2月編と3月編で紹介した。軍事分野とは無関係という答弁をもとにわずかな審議で強行成立された。
◆「連合」支援政党の方針を修正(17日付朝日、18日付赤旗)
「連合」は17日去年11月に確認した次期衆院選の基本方針を修正した。立憲と国民民主の合意内容が連合の政治方針の枠内であれば支援政党と位置付けるというもの。芳野会長らがこれまで発言してきた内容の追認のようなもので、朝日はベタ8行、赤旗は小池書記局長の『政党間の取り組みに対する不当な干渉だ。市民と野党の共闘を壊すもので容認できない』と撤回を求める会見を報道した。これだけではよく解らないので度々で恐縮だが「日刊スポーツ」のコラム「政界地獄耳」(18日付)の評論を紹介したい。『東京15区補選のように「市民と野党の共闘候補」として立憲民主党と共産党が並んで街宣するのは連合としては看過できないとし、市民連合と付き合う候補者は認めないという立ち位置を改めて示した。(中略)また政策についても消費税増税に同意することを求めている。これでは第2経団連が求める第2自民党への勧めでしかない』
腐敗政治の自公政権を倒すことが求められている時に自らを体制側と位置付ける「連合」の本質を見事に暴露している。
◆ 60年安保改定時、核搭載艦日本寄港容認の文書存在(19日付朝日)
1960年の日米安全保障条約改定をめぐる交渉で、核兵器を積んだ米軍艦の日本寄港を事前協議無く認める密約を、両政府が交わしていたことを示す米公文書が見つかった。公文書によるとマッカーサー駐日大使と岸信介首相、藤山愛一郎外相の1年3か月にわたる、「交渉で秘密の解釈了解を討議記録として残す形で合意した。日本政府はそれでも密約を認めず非核政策の原点を曖昧にしたまま、緊張を増す国際情勢に臨んでいる。
◆ 中国 台湾囲み軍事演習、新政権を威嚇?(24日付朝日)
中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は23日、台湾周辺での軍事演習を始めたと発表した。演習は陸海空軍やロケット軍が参加。台湾本島を包囲するように5つの演習区域を設定し、中国本土に近い離島周辺も演習区域とした。「台湾独立を目指す勢力への懲罰」とする異例の説明をしており、20日の就任演説で中国を名指しで批判した台湾新総統に対する強い威嚇行動に出たとみられる。過去に演習から戦争に発展した例もあり、緊張を増す軍事行動は控えてもらいたい。
◆ 文科省 NHK報道に抗議(24日付朝日)
文部科学省は公立学校教員の給与制度に関して、NHKが「定額働かせ放題とも言われる枠組みは残る」などと報じたことを「一面的なもので大変遺憾」として、ホームページに抗議文を掲載した。文科相の諮問機関である中央教育審議会は13日に、公立学校教員の給与や働き方改革などの具体策を盛り込んだ「審議まとめ」を了承した。残業代を出さない代わりに一律に上乗せ支給している「教職調整額」を、現在の「基本給の4%」から「10%以上」に増やすことなどが柱となっている。教員の長時間労働を生み過労や退職の大きな原因になっているこの制度が温存されたことに、現場の実態を見ない姿勢だとして教員らから強い不信や抗議の声が上がっている。NHKはまとめの内容や教員の反応、有識者のコメントなどを伝えており「一面的という指摘は当たらない」と反論している。NHKの「大本営発表化」を目論む政府からはしばしば干渉があり注意が必要だ。
◆ 米大規模演習「バリアント・シ-ルド」に自衛隊初参加(25日付赤旗)
防衛省は24日、米軍が2年に1回太平洋地域で実施している大規模統合演習「バリアント・シールド」に、自衛隊が初めて参加すると発表した。陸海空自衛隊から約4000人と車両約130両、航空機約60機などが参加する。同演習はこれまで米軍単独で実施されてきたが、今回中国を念頭に初めて同盟国を動員して実施するもの。国内9都道県の米軍・自衛隊基地でも実施され、文字通り日本の国土の戦場化を想定した訓練となる。
◆ 北朝鮮また軍事衛星打ち上げ、Jアラートも発令(27日TV各社)
北朝鮮は27日午後10時46分、軍事偵察衛星とみられるロケットを発射した。11月の時と同じくTVの主要キー局の画面は一斉に「Jアラート」に切り替わった。今回は中国も国境近くから追尾した映像を公開し、推進ロケットの2弾目に着火できず爆発する模様が映し出された。Jアラートは11時3分に解除されたがTVはその後も十数分避難を呼びかけるちぐはぐさも残った。北朝鮮は30日朝、国民向けのデモンストレーションか⒑発以上の短距離ミサイルを一斉に発射しロケット技術を誇示した。北朝鮮は年内に3発の衛星を打ち上げると
広言しており、“花火ショー”も合わせて軍事費の無駄遣いを中止し平和国家を目指してほしい。
⦅今月は他にも色々あったが長くなるため後は項目だけの紹介にとどめたい⦆
◆ 陸自高等工科学校 靖国神社で「研修」判明(16日付赤旗)
◆ 米未臨界核実験実施、頻度上げる方針(19日付朝日)
※「未臨界核実験」…核爆発を伴わない実験、今回で34回目になる
◆ ロシア「戦術核」想定し演習、軍事支援の米欧牽制(23日付朝日)
※「戦術核兵器」…大陸間弾道ミサイルなどで敵国本土への直接攻撃が目的の
「戦略核兵器」と異なり、戦場での軍事目標など地域レベルでの使用を想定したもの。小型とはいえ威力は広島や長崎型を上回る。
◆ 防衛装備庁「レールガン」開発に米軍に要員派遣(22日付赤旗)
※「レールガン」…電磁力により弾丸を高速で発射する電磁砲。ただ米軍は技術的課題やコストの面で21年に開発を断念している。
◆ 海自任務増による訓練不足で人為事故相次ぐ(22日付赤旗)
◆ 陸自第1空挺団(千葉県)、米軍機を使った降下訓練急増(22日付赤旗)
◆ 統一協会関連団体 留学生集め弁論大会、全国25カ所で(22日付赤旗)
◆ 維新馬場代表も「大東亜戦争」発言、資格問われる(25日付赤旗)
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 国連事務総長イスラエルのガザ侵攻中止求める(2日付赤旗)
グテレス国連事務総長は4月30日記者団に対して、イスラエルが検討しているガザ地区最南部ラファへの軍事侵攻について「さらに多数の民間人を殺害することになる」と述べ、作戦の中止を要求した。
〇 グテレス事務総長イスラエル名指しで声明(9日付赤旗)
グテレス氏は7日イスラエルを名指しして「緊張を激化させるいかなる行為もやめ、外交交渉に建設的に関与するよう求める」と声明を読み上げた。
グテレス氏は2日連続で強い言葉で発言し危機感をにじませた。
◆ パレスチナ支援の動き広がる
〇 パレスチナ国連加盟支持143か国が賛成、決議を採択(12日付朝日、赤旗)
国連総会(193か国)は10日の緊急特別会合で、パレスチナの国連加盟を支持し安全保障理事会に再検討を求める決議を、日仏中ロを含む143か国の
賛成で採択した。反対はわずか9か国にとどまり、英国など25か国が棄権した。決議に法的拘束力はないが国際社会の総意を示した。
〇 国際司法裁ラファ攻撃中止を命令(25日付朝日、26日付赤旗)
国連の主要司法機関、国際司法裁判所は24日イスラエルに対し、ガザ南部ラファでの軍事攻撃の即時停止を命じる暫定措置を出した。
部分的でもイスラエルに軍事作戦の中止を命じたのは初めて。アラブ諸国やトルコは命令に従うよう求めた。
〇 カリブ海の島国バハマ、パレスチナ承認143か国目(10日付赤旗)
〇 アイルランド・スペイン・ノルウエー、パレスチナを国家承認(23日付赤旗)
〇 イスラエルに対する抗議運動各地に広がる
・米コロンビア大の抗議活動に警察突入300人逮捕(2日付朝日、赤旗)
・欧州の大学で抗議拡大、警察介入相次ぐ(9日付赤旗)
・米50大学超でガザ連帯キャンプ(10日付赤旗)
・中南米の学生抗議大学動かす(20日付赤旗)
メキシコの首都にある「経済研究教育センター」は17日、ガザで起こっている事態を「強く非難」し「ジェノサイドの中止を求める」とする声明
を発表し、イスラエルの大学との協定を見直す協定にも言及した。中南米各国の主要大学で学生や教職員の抗議行動が高まる中、大学当局がイスラ
エルの大学との学術関係の見直しや断絶に踏み出す動きが相次いでいる。
◆ 自民党裏金事件 舞台は規正法改正に移るも紆余曲折
〇 規制法 自民党案を単独提出(18日付朝日)
〇 各党改定案が衆院政治改革特別委で審議入り(23日付赤旗)
審議されるのは▽自民党案▽立憲民主党と国民民主党、有志の会の共同提出案▽立民が単独提出した政治資金パーティー開催の禁止法案▽立民が22年
に提出した企業・団体献金禁止法案▽日本維新の会案。共産党は提案権のある参院で提出する。
◆ 東京都知事選市民と野党の共闘成立、蓮舫議員統一候補に(28日付各紙)
立憲民主党と共産党、それに市民代表で作る候補者選定委員会が27日開かれ、市民と野党の共闘候補に立憲民主党の蓮舫参議院議員を擁立することを
決めた。
同日出馬表明した蓮舫氏は「反自民、非小池都政のオール東京の枠組みで支援頂きたい」と述べ、「小池都政は財界の目先だけを最優先にしている自民
党政治そのものだ。小池都政の転換を実現するという立場で臨み必ず勝利したい」と決意を表明した。
【番外】
◆「万博学校単位の参加不要」大阪・交野市長が表明(25日付赤旗)
大阪・関西万博に学校行事として児童・生徒を公費で参加させる大阪府の方針に対して、安全面や健康面などに学校側や保護者から不安の声が高まって
いる。
この問題について大阪府交野市(かたの)の山本景市長は24日の記者会見で「学校単位で連れて行かなくていい」と表明した。自治体首長では初めて。
市長は「学校現場に話を聞いたが行きたいという学校は一つもなかった」と指摘。 学校単位では▽低学年には混雑した電車は乗り難く、貸し切りバス
は数が限られているうえ一人当たり5千円かかる▽メタンガスの爆発事故が起こり安全性に懸念がある▽パビリオンも選べないなどの問題点をあげた。
2024.05.22 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(4月編)
【戦争への動き】
◆ イスラエル イランにも緊張関係拡大
・ イスラエル、在シリアのイラン大使館爆撃(3日付各紙)
・ イラン、イスラエルに報復攻撃(16日付各紙)
・ イスラエルがイランに反撃(20日付各紙)
イスラエルは1日、シリアにあるイラン大使館をミサイルで攻撃、「イラン革命防衛隊」の司令官ら7人が死亡した。
イスラエルはこれまでもシリアやレバノンでイランの支援を受けた武装勢力を攻撃してきたが、在外公館を攻撃するのは極めて異例。
国際条約違反として非難が広がった。
これに対してイランは14日、報復としてイスラエルに向けて大量のミサイルや無人機を発射、イスラエルも19日に国際社会の自制の要望を無視してイラン中部をミサイル攻撃した。イスラエルがパレスチナのガザ地区に対してジェノサイド攻撃を続けている中で、戦火の拡大が憂慮されている。
◆ イスラエル 食糧支援のNGO攻撃、外国人ら7人死亡(3日付朝日、赤旗)
米を拠点とする国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」は2日声明で、ガザで食糧支援を行っていたWCK職員7人が1日に、イスラエル軍の空爆で殺害されたと発表した。イギリス人、オーストラリア人など外国人の命が奪われた。WCKの最高経営責任者は「悲惨な状況での人道支援団体への攻撃であり許しがたいことだ」と厳しく非難した。
◆ 半導体企業に5900億円を追加支援(3日付朝日、赤旗)
経済産業省は2日次世代半導体の国産を目指し、北海道千歳市に工場を建設中の「ラピダス」に対し、最大5900億円を追加で支援すると発表した。
国費投入は累計で1兆円近くとなる。国は「ラピダス」が開発を進める半導体を日米同盟の技術連携の要に位置付けており、「ラピダス」への支援は米国が新戦略の「国家防衛産業戦略」で掲げた半導体の強靭な供給網の構築に沿うもので、米国言いなりの「戦争国家」作りの一環に他ならない。
◆ 自衛隊の「靖国思想化」顕著に
〇 陸自の靖国参拝やっぱり公務(4日付赤旗)
陸上自衛隊幹部による靖国神社への集団参拝は<1月編>でも問題視したが、「私的」参拝とする防衛省の調査結果について、日本共産党の穀田恵二
議員が3日の衆院外務委員会で、「公務」として計画されたことを明らかにした。穀田氏が入手した文書は黒塗りが無い原本の写しで「装備計画部」
と部署名が記され、「令和6年の年頭航空安全祈願実施計画書」と明示されている。
〇 陸自参拝、陸幕監修本でも「公的」該当(7日付赤旗)
陸上自衛隊の幕僚監部人事部が監修した内部関係者向けの書籍で、服務規律をまとめている。この中で陸自隊員が宗教施設を参拝する際の注意点を
示しており、「官用車を使用しないこと」「随行者は伴わないこと」などが明記されている。これに照らしても1月の小林副長らの参拝が「公的」で
あることは明らか。
〇 陸幕も「大東亜戦争」使用、靖国HPほぼ丸写し(14日付赤旗)
先の集団参拝の際、陸上幕僚監部が作成した内部文書で、靖国神社の文章をほぼ引き写して「大東亜戦争」という呼称を肯定的に使っていたことが、
「赤旗」の調べで分かった。「大東亜戦争」という呼称は、戦後GHQが「国家神道、軍国主義、超国家主義」に緊密に関係する言葉として使用を
禁止。日本政府も公文書で使用しないとされていた。一連の内容は自衛隊員が「靖国思想」で洗脳されてきていることを如実に示しており警戒が必要
となっている。
◆ 日米首脳会談 軍事同盟の歴史的大変質打ち出す(11,12日付赤旗、朝日)
訪米中の岸田首相は現地時間10日バイデン大統領と会談、共同声明を発表した。最重要項目に位置付けられたのが、米軍・自衛隊の司令部機能の強化。「作戦及び能力のシームレス(切れ目のない)な統合を可能にし、平時及び有事における相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため」として「それぞれの指揮統制枠組みを向上させる」と謳っている。他にも米英豪との「格子状の同盟関係の強化」や、殺傷兵器の輸出解禁など産業の動員も盛り込まれている。これまで着々と進められてきた両軍の一体化を確認したが、専門家の間では情報、軍事力、実戦経験の差から、自衛隊の下請け化の恐れが指摘されている。
◆ 米軍機の空港着陸過去10年で最多の453回(21日付赤旗)
2023年に米軍機が日本の一般空港に着陸した回数が453回(前年比123回増)と過去10年で最多になったことが分かった。そのうち約8割が九州・沖縄に集中しており、特に南西諸島では顕著に増加している。政府は九州・沖縄などで「特定利用空港・港湾」の指定を進めており、軍事利用化がさらに進む恐れがある。
◆ パレスチナの国連加盟に米拒否権(20日付赤旗)
国連安全保障理事会は18日、パレスチナの国連加盟を勧告する決議案を否決した。15理事国中、日本やフランスなど12か国が賛成したものの米国が拒否権を行使した。パレスチナは2012年から、国連の「オブザーバー国家」としての活動は認められているものの投票権は無い。正式な加盟には安保理での承認を得た上で、総会で3分の2以上の賛成が必要になる。
◆ 海自ヘリ2機深夜訓練中に墜落(22日付各紙)
伊豆諸島・鳥島の東の太平洋で20日深夜、海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した。防衛省によると搭乗していた8人中1人の死亡が
確認され、7人が行方不明となっている。海自によると事故機はソナーで潜水艦を探知する夜間訓練を実施中だったが、その後の調べで訓練は無灯火と
いう厳しい状況で行われていたという。現場では実際の戦闘を想定した高度の訓練が主になってきていることが伺われる。
◆ 24年度軍事費8兆9千億円、既にGDP比1.6%(27日付赤旗)
木原稔防衛相は26日の記者会見で、2024年度予算のうち軍事費の総額が8兆9千億円になり、22年度の国内総生産(GDP)比で1,6%に達したことを明らかにした。岸田政権は22年に決定された安保3文書で、27年度までの5年間に軍事費を2倍化=GDP 比2%にすることを盛り込んでいるが、深刻な物価高で国民が苦しむ中で、軍事費2倍化という対米公約は最優先で進められていることが改めて示された。
【国民の闘い、世界の平和への動き】
◆ 自民党裏金事件 政治改革への正念場
〇 自民党、裏金議員真相解明無く39人処分(5日付各紙)
自民党は4日、派閥の裏金事件を巡り安倍派、二階派計39人の処分を正式に決めた。安部派座長の塩谷立・元文科相、参院側トップの世耕弘成・前参
院幹事長を「離党勧告」、その他の幹部を「党員資格停止」「党の役職停止」としたが、首相と二階元幹事長の処分は見送った。残る約40人は幹事長
が「注意」するのみの「コップの中の処分劇」で、党の隅々に広がった内向き志向の無責任体質を露呈した。世論の批判や党内の不満は深刻で、実態
解明なき幕引きを急いだ代償は大きい。
〇 国会両院で政治改革特別委設置(12日付朝日)
自民党派閥の裏金事件を受け、衆院は11日、政治資金規正法改正などを議論する「政治改革特別委員会」を設置した。7会派から40人が参加する。
参院も12日に設置され8会派から35人が参加する。同法改正は後半国会で最大の焦点となる。一方、裏金作りの真相は明らかになっておらず、野党は
特別委でも追及する構え。
〇 政治資金規正 自民もやっと改正案(24日付朝日)
自民党は23日政治資金規正法の改正に向けた独自案を公表した。骨子は会計責任者に責任を負わせた今回に事件に鑑みて、政治家の確認を義務化する
ことや、会計責任者が処罰された場合政治家にも刑罰を科し公民権停止にすることなど。しかし裏金作りが判明した約90人のうち会計責任者が処罰
されたケースはほんのわずか。多くの議員は「連座制」の対象外になるなど「抜け道」も多く真剣度が問われる。
◆ 沖縄うるま訓練場新設断念(7日付日曜版、12日付赤旗)
防衛省は沖縄県うるま市の住宅街に隣接するゴルフ場跡地に、住民の頭越しに陸上自衛隊訓練場の新設を計画し、党派を超えた島ぐるみの反対運動が
広がっていることは、3月編で紹介した。この計画について木原稔防衛相は11日「住民生活と調和しながら、訓練所要を満たすことは不可能と判断した」
として白紙撤回すると表明した。ゴルフ場跡地についても「取得しない」と明言した。島ぐるみの反対世論が撤回に追い込んだもので、地元団体も「住民の勝利」と喜びの会見をした。
◆ イスラエルへの国際的批判強まる
〇「イスラエルへの武器売却停止を」国連人権理事会が決議(7日付赤旗)
国連人権理事会(47か国)は5日パレスチナに関する5つの決議を採択した。
人権状況をめぐる決議では、イスラエルへの武器売却停止やガザでの即時停戦を求めている。
決議には28か国が賛成、米独など6か国が反対、日本を含む13か国が棄権した。
〇 米民主党主流派からも「武器支援ノー」(7日付赤旗)
ガザで活動する国際NGOの職員がイスラエルの空爆で死亡したことを受け、米民主党のペロシ前下院議長ら40人の下院議員が、イスラエルへの武器
支援の停止を求めるバイデン大統領への書簡に署名した。
◆ 衆院3選挙区補選、野党共闘勢力が完勝(29日付各紙)
自民党議員の死亡や不祥事辞職に伴う、東京15区、島根1区、長崎3区の衆議院3補欠選挙が28日投開票され、3区とも野党協力に支えられた立憲候補が勝利した。自民党は候補すら立てられず唯一擁立した保守王国と言われる島根でも完敗。裏金政治に対する厳しい審判が下された。マスメディアの報道はおおむね「立憲完勝」「自民全敗」と評価した。3氏とも立憲公認候補だからある意味その通りだが、立憲完勝を裏で支えた野党共闘勢力の存在も大きな意味を持った。「日刊スポーツ」の名物コラム「政界地獄耳」では『立憲は浮かれモードだが、東京15区でいえば(中略)9候補が乱立。候補者を擁立しながら取りやめた共産の票が立憲を勝たせた』と指摘したように、東京では市民と野党の共闘候補を実現し、他の2区でも自主支援した共産党と一部野党・市民団体の働きの評価が野党共闘前進のカギになりそうだ。
【番外】
◆ 万博開幕まで1年切る。開催は?(13,14日付朝日)(21日付民主新報)
・パビリオン16施設の業者未定
参加国が独自に建設するタイプÅのパビリオンが当初予定していた56から48に減ったことが分かった。
それでも48のうち着工したのは14施設にとどまり、約3割に当たる16施設の建設事業者がいまだ決まっていない。
「準備のデッドラインは越えた」と言われるなか、主催者はパビリオンの簡素化を促すなど各国に働きかけを始めた。
仮に応じてもらえても大屋根だけは立派で、プレハブパビリオンが建ち並ぶ貧相な万博になりかねない。
. ・高まらぬ関心、前売り券も目標の1割
大阪府市の去年12月のアンケートで、「行きたい」と答えた人は「どちらかと言えば」も含めて33.8%、2年続けて減少した。
その結果、前売り券の販売も伸び悩んでいる。
開幕500日前から売り出しているが4月までに売れたのは130万枚、目標の1割弱にとどまる。見込み通りに売れなければ赤字になる恐れもある。
2024.04.23 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(3月編)
赤旗日曜版のスクープで火がついた「自民党派閥の裏金」問題。金の使い道など肝心の部分が不明なまま、自民党は4月に予定している党内処分で幕引きをする考えです。この問題、基本は自民党全体の集団犯罪ですが、一方で岸田派・茂木派 VS 安倍派・二階派の権力闘争の様相も見せ、処分も思惑が入り混じったものになりそうです。その中で二階元幹事長は策士らしく直前に記者会見を開き、次期総選挙不出馬と引き換えに処分をうやむやにする取引を試みました。
その最後に出たのが記者に対する「ばかやろう」発言です。かつて(1953年)衆院予算委の質疑中、吉田茂首相が野党議員に対して「ばかやろう」とつぶやいたのがきっかけとなって解散・総選挙となり、「ばかやろう解散」と命名されたのは有名な話です。ところが二階氏の発言に対して、記者の所属する社や記者クラブが抗議したという報道は見ていません。議員に対しては許せないが記者に対してはいいのでしょうか。
【戦争への動き】
◆ 裏金疑惑解明無いまま新年度予算強行(3日付各紙)
国民の暮らし破壊と大軍拡の2024年度予算案が、2日衆院本会議で与党の賛成多数で可決された。裏金事件の説明責任を全く果たさない中、政治倫理審査会と予算委員会の同時進行や土曜審議という奇策を弄して年度内成立を確定させた。予算案は物価高に苦しむ国民への支援には無策な一方、過去最大の8兆円の軍事費を盛り込んでいる。
◆ 在日米軍経費過去最大1兆円超え(5日付赤旗)
日本政府が2023度の当初予算に計上した在日米軍関係経費の総額が、8522億円と過去最大を更新したことが分かった。さらに23年度補正予算にも3169億円が計上されており、実際には1兆円を超える見通しとなる。「在日米軍関係経費」は、駐留経費(いわゆる思いやり予算)、再編経費などがあり、第2次安倍政権以来右肩上がりになっている。物価高騰で生活苦が広がる中米軍奉仕が極まっている。
◆ 日本の武器輸入155%増(12日付赤旗)
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は11日、世界の武器取引に関する報告書を公表した。それによると2019~23年の5年間の武器輸入が前の5年間比で155%増になり、日本は世界で第6位の武器輸入国であることが分かった。報告書は日本の武器輸入元の97%が米国だと指摘。岸田政権が22年12月に閣議決定した安保3文書で、軍事費の2倍化を掲げた結果が如実に表れている。
◆ イスラエル製攻撃型ドローン 防衛省が導入検討(13日付赤旗)
安保3文書に基く軍拡計画の一つである無人兵器強化として、政府がイスラエル製小型無人攻撃機(攻撃型ドローン)の導入を計画していることが、12日の参院外交防衛委員会での日本共産党の山添拓議員の追及で明らかになった。山添氏は「ジェノサイドが指摘される中、イスラエルの軍需産業を支えるなど絶対にやってはならない」と厳しく批判した。
◆ 米オスプレイ飛行再開強行(15日付赤旗、朝日)
去年11月の屋久島沖での墜落事故を受け、全世界での飛行を停止していたオスプレイについて、在日米軍は14日米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイの飛行再開を強行した。事故原因の詳細を明かさぬまま米本土に先駆けて再開したもので、沖縄の植民地的扱いに全国で怒りが渦巻いた。
◆ 陸自ミサイル連隊 沖縄本島に初設置(22日付朝日)
防衛省は21日、沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に、新たな地対艦ミサイル連隊を発足させた。沖縄本島に相手国の艦艇を狙うミサイル部隊が設置されるのは初めてで、止まらない拠点化に地元では反発が強まる。
◆ 在日米軍の機能強化、司令部再編(26日付赤旗、28日付朝日)
日米両政府は4月10日の首脳会談で、自衛隊と米軍による「指揮統制」を連携させる方針で合意する見通し。米側は在日米軍司令部の機能を強化する考えで、太平艦隊司令官を日本に派遣する案などが浮上している。また自衛隊が2024年度末に実働部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を創設するのに伴い、日米の指揮体制の連携強化も議論されている。日本共産党の志位委員長(当時)が去年10月の衆院本会議で「米軍の指揮のもとに自衛隊が事実上組み込まれることを意味する」と告発した危険が、現実のものになりつつある。
◆ 次期戦闘機輸出解禁、「死の商人国家」へ重大転換(27日付各紙)
政府は26日の国家安全保障会議で、武器輸出を制限している防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、英伊両国と国際共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を解禁した。去年12月に続く輸出規制の大幅緩和で、今回は「殺傷能力のある武器の最たるもの」とされる戦闘機を対象とした。「国際紛争を助長しない」という「平和国家」の理念を投げ捨て「死の商人国家」に堕落させる重大転換となる。
この重大決定に関して公明党の果たしている役割も一考してみたい。自公連立は25年になるが、この間自民党が出す国民生活や平和を脅かす悪法に対しては、一応は難色を示すが予め設定されている“落としどころ”で妥協する“小芝居”で悪政の片棒を担いできた。今回も「1件ごとに閣議決定する」という歯止めにもならない「歯止め」を勝ち取ったと宣伝している。いい加減「連立の歯止め役」「平和の党」という国民を欺く看板は下ろしてもらいたい。
◆ 特定利用空港・港湾 軍事利用に16施設(28日付赤旗)
政府は平時から自衛隊や海上保安庁の使用可能な「特定利用空港・港湾」に7道県16施設を指定することが分かった。指定するのは空港が北九州、那覇など5施設、港湾が釧路・石垣など11施設。16施設では今後、大型の輸送機が離着陸できる滑走路の延伸や、自衛隊の大型艦が接岸できる岸壁の整備などを進める。念頭に置いているのは、本土から沖縄など南西地域への部隊展開。
◆ 土地利用規制法区域指定決定、計583カ所に(30日付赤旗)
政府は29日、土地利用規制法に基づく区域指定で、東京都の横田基地や沖縄県の普天間基地など主要な米軍基地を含む28都道府県の184カ所の指定を了承した。これで一通りの選定作業が終わりこれまでの指定と合わせて、47全都道府県583カ所もの指定が決まった。指定されれば周囲1キロが監視対象になり、住民運動などへの萎縮効果をもたらすことが懸念される。
◆ 沖縄・先島諸島にシェルター整備へ(30日付朝日)
政府は29日台湾有事を念頭に沖縄県・先島諸島の5市町村に、ミサイル攻撃などから住民が一時避難するシェルターを整備する方針を発表した。対象は石垣市、宮古島市、与那国町、武富町、多良間島の5市町村。無ければ怖いし、新設されれば本気にミサイルを打ち合うつもりでなお怖いという代物だ。住民を巻き込む備えとして懸念の声が上がっている。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党裏金問題 政倫審でも「知らぬ」「存ぜぬ」
・衆議院政治倫理審査会、岸田首相ら6氏出席(1日、2日付各紙)
・茂木派、別の規制緩い政治団体に資金移動の新手口(5日付朝日)
・参院政倫審は世耕氏ら3氏出席(15日付各紙)
・衆院政倫審、下村氏出席も関与否定(19日付各紙)
・安倍派幹部ら6人、野党が証人喚問申し入れ(22日付朝日)
・二階元幹事長次期衆院選不出馬表明、辞職は否定(26日付各紙)
裏金問題の解明は政治倫理審査会に持ち越された。出席者の選定基準や公開度をめぐって紆余曲折を繰り返し、岸田首相が現職首相としては初めて自ら
出席する奇策を経て開催にこぎつけた。安倍派・二階派幹部ら衆院7人、参院3人が出席したが、責任問題や使途など核心部分は「知らぬ」「存ぜぬ」を
繰り返し真相解明には至らなかった。冒頭の本人釈明を含めて1人2時間の中に6党が質疑を行う方式では議論が深まる筈もなく、自民党が質疑をする資
格があるのか、野党が細切れ質疑でなく協力して2党ずつで時間を融通し合うなど検討し直さなければ、証人喚問が実現しても成果は期待できないと思
われる。
・自民・島尻議員パーティー(28日付赤旗)
自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金事件に国民の怒りが広がる中で、26日同党の島尻安伊子衆院議員(沖縄3区)が東京都内でパーティーを開
いた。
事件を受けて立ち上げた同党政治刷新本部役員の菅義偉前首相、茂木敏充幹事長や閣僚も参加、島尻氏も本部の幹事を務めている。自民党の事件に対
する感覚がよく解る出来事だった。
◆ 沖縄県うるま市に陸自訓練場計画、島ぐるみ反対広がる
・沖縄県議会全会一致で白紙撤回要求(8日付赤旗)
・陸自抗議の中装備搬入(11日付赤旗)
・うるま市保革超え地元17団体で「断念を求める会」結成(11日付赤旗)
・うるま市民集会に市長・県市議など1200人が集結(21日付赤旗)
安保3文書に基づく南西諸島の自衛隊強化の一環で、防衛省は沖縄県うるま市石川地区に陸上自衛隊訓練場の新設を計画。元々うるま市は保守地盤で基地に対する抵抗感も少ないことから、既に米軍も含め多くの基地を受け入れているが、今回は住民の頭越しに住宅街に隣接する地域に訓練場設置を決めたことで住民の怒りが爆発した。
◆ ガザ停戦 初の国連安保理決議(27日付各紙)
国連安全保障理事会は25日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区を巡って、ラマダン(イスラム教の断食月)期間中の即時停戦を求め
る決議を全15理事国中14か国の賛成で採択した。いつも拒否権を行使するアメリカが今回は棄権に回ったため、去年10月軍事衝突が始まって以降初め
て決議が採択された。アメリカが拒否権を行使しなかった背景には、内外でイスラエルとアメリカに対する批判が高まっていることがあるとみられる。◆ 国際司法裁イスラエルに緊急な人道支援命令(30日付赤旗)
国際司法裁判所(ICJ,オランダ・ハーグ)は28日、パレスチナ・ガザでの飢饉の深刻化を受けて、イスラエルに対し「緊急に必要な基本的なサービスと人道支援」を行うための「すべての必要な実効ある措置」をとるよう命じた。1月に発した「飢饉の危険」に対する暫定措置を、新たな「飢饉は始まっている」という新たな事態に即して修正した。
◆ ICJジェノサイド裁判にアイルランド参加(29日付赤旗)
アイルランドのマーティン副首相兼外相は27日声明を出し、イスラエルによるガザへの攻撃がジェノサイド条約違反だとして、南アフリカが昨年末国際司法裁判所に訴えた裁判に参加すると表明した。イスラエル軍による攻撃は国際法の大規模な違反だとして「止めなければならない」と強調した。
◆ 18歳高校生「自衛隊に名簿提供は違憲」と提訴(30日付赤旗)
奈良市の18歳高校生が、自分の個人情報を事前の承諾なく市が自衛隊に提供したのは違法・違憲だとして、29日市と国を相手取り国家賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。自衛隊は隊員募集のため全国の市町村に18歳と22歳の名簿提供を求めているが、当事者が「プライバシー権の侵害だ」と訴える裁判は初めて。弁護団と支援する会は会見で、全国的意義を持つ訴訟だと強調した。
【番外】
◆ 万博会場工事現場でガス爆発事故(31日付赤旗)
大阪市の夢洲で開催予定の大阪・関西万博の会場建設現場で28日、埋め立てられた廃棄物から発生した可燃性ガスによる爆発事故が起きた。事故が起きたのは「グリーンワールド工区」のトイレ1階。同工区のある夢洲1区は廃棄物の処分場で、地下にはメタンガスやダイオキシンなど有害物質が大量に埋まっている。可燃性ガスを放出する管は確認されただけでも79本に上る。夢洲の危険性を訴えてきた市民団体は「大事故が起きてからでは遅い。万博・カジノは即刻中止すべきだ」と訴えている。
2024.03.24 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2月編)
岸田内閣の支持率が20%を切るのが目前になった頃、私は「こうなったら岸田首相が北朝鮮に乗り込んで、拉致被害者の1人や2人連れて帰ってくる
のが、支持率回復の起死回生の最後の手段だろう」と思いました。皆同じ事を考えるようで、首相周辺でも水面下で動いていたと見え、最近ちらちらと
目に入るようになりました。保身のためでも結構ですから実践してくれれば、東アジアに話し合いの機運が生まれるきっかけになるかもしれません。
【戦争への動き】
◆ 自衛隊 宇宙部隊を強化(14日付赤旗)
防衛省は20年5月、自衛隊で初めての宇宙領域の専門部隊として「宇宙作戦隊」を約20人で発足させたが、24年度には310人に増員されることが、日本共産党の赤嶺政賢議員の調べで分かった。「安保3文書」に明記された、27年度までの「航空宇宙自衛隊」への衣替えに向けた体制強化が本格化された。
◆ 海自幹部らも靖国集団参拝(17日、20日、26日付赤旗、21日付朝日)
陸上自衛隊ナンバー2の幹部らが靖国神社に集団参拝していたことは『1月編』でお伝えしたが、海上自衛隊の幹部ら165人も制服姿で集団参拝していたことが、「しんぶん赤旗」の調べで分かった。同紙によると去年5月17日に、練習艦隊司令官・今野泰樹海将補はじめ初級幹部らが参拝したことが、靖国神社の社報「靖国」に写真付きで掲載されていた。防衛省も19日参拝を認めた。その後の調べで少なくとも1998年からほぼ毎年制服での集団参拝を続けていることが「靖国」に掲載されており、実際には部隊の恒例行事だった疑いが強まった。
自衛隊による靖国集団参拝は旧日本軍への回帰が懸念される。
◆ 武器輸入、9割ローンで前倒し爆買い(24日付赤旗)
24年度予算案で計画されている武器輸入の詳細が、日本共産党の山添拓参院議員に対して防衛省が提出した資料で明らかになった。
米政府から購入する「有償軍事援助」は9320億円で、そのうち新規後年度負担は8156億円に上る。
直接または商社を通じて外国から武器を購入する「一般輸入」の新規契約額は4890億円で、そのうち4460億円が後年度負担となっている。
単年度では支払いきれない米国製武器を大量購入し次年度以降に支払いを回すことで、軍事費の膨張を固定化する実態が浮き彫りになった。
◆ 核兵器製造企業に日本の7金融機関が投融資(25日付赤旗)
日本の7つの金融機関が核兵器製造企業に対して6兆9500億円を投融資していたことが、オランダの平和団体「PAX」の報告でわかり、近畿反核医師懇談会が23日に会見して明らかにした。融資&株式・債権引き受け業務部門では、みずほが2兆2000億円(世界5位)三井住友、三菱UFJ がそれぞれ2兆円前後と、日本の各銀行グループがトップ10に名を連ねている。許せないのは「年金積立金管理運用独立法人」という、国民の年金資金を預かる政府系金融機関が5700億円余を投資していることで、政府の監督責任が問われる。
◆ 大規模日米共同訓練始まる(28日付赤旗)
陸上自衛隊と米海兵隊が25日に始めた大規模な共同訓練を、3月17日まで九州・沖縄の広範囲で実施する。民間地を利用した海や空からの上陸訓練や陸上戦闘訓練など、南西地域の戦場化を想定した実戦さながらの訓練で2年連続の実施となる。沖縄県では自衛隊500人、米海兵隊700人が展開して米軍キャンプ・ハンセンなどで上陸訓練と戦闘訓練などを実施。鹿児島県の沖永良部島や熊本県、長崎県の駐屯地で戦闘訓練などが行われる。
◆ 岸田内閣 国民生活脅かす2法案を閣議決定(28日付赤旗)
〇 農業基本法改定案(17日付新婦人しんぶんも)
現行基本法で唯一の目標として掲げていた「食料自給率」が、数ある指標のうちの1つに格下げされる。自給率が38%まで落ち込み、円安などで食糧
の高騰を招いている反省も無いままその目標を投げ捨てるものとなる。この問題については『新婦人しんぶん』がいち早く「政府文書から食料自給率
が消える」として特集を組み、農民運動全国連合会の長谷川敏郎会長の講演を紹介している。この中で、日本は国連公認の飢餓国で「食料自給率向上
こそ平和への道」として請願署名を呼びかけている。
〇 重要経済安保情報秘密保護法案
重要な情報を扱う資格者を政府が認定する「セキュリティー・クリアランス(適正評価)」の制度導入に向けた法案。現行の秘密保護法は「防衛」
「外交」「テロ」「有害活動」の4分野が対象で、有資格者は防衛省と自衛隊を中心に13万4千人。これを「経済安全保障」の分野に広げ、適正評価の
対象を同分野の労働者や研究者に広げるのが柱となる。基本的人権を侵害する身辺調査・思想調査になる危険がある。
◆「台湾有事」想定の政府避難計画、沖縄本島は対象外(28日付赤旗)
政府は「台湾有事」を想定した沖縄県・先島諸島の住民避難計画に関し、宮古地域は鹿児島空港を、八重山地域は福岡空港を経由地として各地の避難先
へ移送する方向で調整に入った。一方沖縄本島の住民は対象外で「屋内避難」とした。沖縄本島は人口130万人を超え「有事」の際には標的となる基地が
集中しており、先の戦争に続いてまたも沖縄県人を見捨てる計画といえる。
◆ 米軍機爆音被害の賠償金、日本側が負担(29日付赤旗)
政府は27日、米軍機の爆音被害に対して住民が起こした訴訟で確定した賠償金として、704億円を住民側に支払ったとする答弁書を閣議決定した。日米地位協定は、米軍が賠償金の75%を負担することを定めているが、一向に支払われず日本側が肩代わりしていることを認めている。様々な特権を認めた日米地位協定すら守らない米に対する、日本政府の屈従姿勢が浮き彫りになっている。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党裏金問題、核心には迫れず
〇 安倍派不記載5年で6億7000万円(1日付各紙)
自民党派閥の政治資金パーティー事件を受け、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)は31日、2018~22年の5年間で、所属議員らの関係95政治団体に
支出した総額6億7654万円が、政治資金収支報告書に不記載だったと発表した。新たな不記載の報道が出る度に訂正を繰り返してきたが、従来に比べ
収入や支出が大幅に増えている。
〇 自民党「裏金議員リスト」提出(6日付各紙)
自民党は5日「裏金議員」のリストを野党側に提示した。しかしこのリストは2020~22年の3年分のみで、対象も安倍派91人、二階派7人の計98人分だ
けだった。野党側は極めて不十分だとして再提出するよう求めた。
〇 自民党聞き取り調査結果を公表(16日付各紙)
自民党は15日安倍、二階両派の議員らに対する聞き取り調査の報告書を公表した。安倍派では20年以上前から組織的な裏金作りが行われていた可能性
が明らかになった。ただ使い道の詳細はあきらかにならず、派閥からの還流が始まった経緯についても核心までは迫れていない。
◆ 旧統一協会初審問も担当の盛山文科相に癒着疑惑
〇 盛山文科相、協会から選挙支援(6日付朝日)(7日付朝日、赤旗)
盛山氏は協会側との関係をめぐるこれまでの調査などに、関連団体の会合に1度出席しただけと答えていたが、21年総選挙に兵庫1区から立候補した
際、事実上の政策協定である「推薦確認書」に署名し、集会で推薦状を受け取っていたことが分かった。協会側はこれに基づき電話作戦などに信者を
動員していた。この他にも集会で、協会の活動を称賛する映像などが公開されており、取り締まる側の責任者になった盛山氏に対する協会側の揺さぶ
りとも言われている。
〇 旧協会に対する解散命令請求初の審問(23日付各紙)
東京地裁は22日、申し立てをした国と協会の双方から意見を聞く「審問」を初めて開いた。審理は非公開とされている。協会側は今後新たな主張書面
や、現役信者の陳述書などのほか、被害を訴える元信者らの尋問の請求も検討しているといい、審理は長期化する可能性がある。
◆ 中・朝に“対話”の機運
〇 金与正氏、岸田首相訪朝に言及(17日付赤旗)
北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は15日談話を発表し、「個人的見解」として、「日本が政治的決断を下せば岸田首相が平壌を訪問する日が来る可能
性もある」と述べた。与正氏は金正恩総書記の妹で、政府では無役の立場を生かして、これまでも度々相手の反応を見る発言をしている。これに対し
て岸田首相の周辺からも訪朝のアドバルーン的発言が出ており、水面下の折衝が行われていそうだ。
〇 原発処理水問題で日中が非公表協議(23日付朝日)
東京電力福島第1原発の処理水問題をめぐり、去年11月の日中首脳会談に基づき、両政府の専門担当者らが今年1月に、非公表で協議を開始していたこ
とが分かった。処理水問題をめぐっては、中国は8月日本産水産物の全面禁輸を発表。日本政府は首脳会談で即時撤廃を要求した。両首脳は最終的に
協議と対話を通じ、問題を解決する方法を見出すことで一致していた。緊張の高まる東アジアで、意図はともかく話し合いの機運が出て来たことは明
るい兆しと言えそうだ。
◆ 米軍に特権日米地位協定「世界では非常識」沖縄県が調査(19日付赤旗)
今なお「憲法の上に地位協定が存在する」現状に、沖縄県は2017~22年度に他国の運用状況を独自調査。玉城デニー知事が10日概要を報告した。
他国との最大の相違点は、駐留軍に対する国内法の適用。日本は国内法の不適用を原則としているが、NATO加盟国やフィリピン、オーストラリアは「原則適用」。中でも「米豪地位協定」はオーストラリア法の「順守義務」を明記している。
不平等な日米地位協定の改定を求める声は日増しに高まっているが、同協定は1960年の締結以来1度も改定されていない。しかしフィリピンやドイツは3度、韓国でも2度など各国とも改定を通じて対等性を確保してきている。玉城知事は「日本の主権の問題」として、「地位協定の改定を求め団結して頑張ろう」と呼びかけた。
◆ 米最大労組が停戦要求(11日付赤旗)
米国最大のナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は、8日声明を発表しガザでの停戦を求めた。またパレスティナ国家の樹立を認める「2国家解決」への支持を再確認した。AFL・CIOは1250万人の組合員を抱える。
【番外】
◆ 大阪府・市が万博に巨額予算(25日付大阪民主新報)
大阪府は14日総額3兆1972万円の一般会計当初予算案を発表した。前年度比12%減の中、万博予算は4倍以上の341億9081万円に増えている。大阪市も万博関連事業に808億円、夢洲のアクセス整備に159億8900万円、IR関連事業に5400万円を盛り込んでいる。「万博の中止または延期」を求める世論が50%を超える中、住民福祉に背を向け万博・IRに巨額を投入する維新政治への批判が強まっている。
2024.02.21 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(2024年1月編)
2024年は元日に能登半島地震、二日に羽田空港事故と、根っこから腐ってきている今の日本を象徴するような幕開けとなりました。
被災者の皆さんには心からお見舞い申し上げます。復旧・復興に立ち上がれるよう全国からの支援、特に国の手厚い対策が必要になります。
この際作って半年で壊す大阪・関西万博にかけるヒト・モノ・カネを能登へ回すのが良識ではないでしょうか。こんな中で29日付『産経』が「土木と建築は別、復興と万博重複せず」という大見出しで、特集を組んだのには唖然としました。何が土木で、何が建築なのでしょうか!
今年も戦争への動きと平和を求める動きを追跡していきたいと思います。
【戦争への動き】
◆ 北朝鮮 韓国を「交戦国関係」と規定(1日付朝日、17日付け朝日)
北朝鮮の金正恩総書記は23年末の中央委員会総会で、韓国との関係について「もはや同族関係ではなく、敵対的な国家関係、戦争中の交戦国関係だ」と
指摘。さらに15日の最高人民会議では韓国を「第1の敵対国、普遍の主敵」と明記する憲法改正が必要だと述べた。憲法から統一原則の「自主、平和統
一、民族大団結」という表現の削除も主張。韓国との対決姿勢をさらに強めた。5日から3日連続で公海上にある韓国の離島近くに砲撃を行ったが朝鮮半
島の緊張が高まる可能性が憂慮される。
◆ 陸自幹部ら靖国参拝(10日付赤旗、12日付朝日)
陸上自衛隊ナンバー2の小林弘樹陸上幕僚副長ら陸自幹部が、9日靖国神社に参拝した。官用車を使用していた。その後11日に防衛省は陸自の航空事故調
査委員会の自衛官ら数十人と集団で参拝していたと発表した。陸自幹部の参拝は侵略戦争を美化する同神社の歴史観を肯定するものといえる。
◆ 辺野古軟弱地盤国が着工
〇 政府前のめり初の代執行を強行(11日付各紙)
防衛省は10日軟弱地盤が広がる辺野古北側の大浦湾で、沖縄県が認めなかった区域での着工に踏み切った。今後7万本以上の砂の杭を打ち込む地盤改
良工事を実施したうえで土砂を投入する。計画通り進んでも供用開始まで12年かかる。普天間基地の返還もさらに延びることになる。
〇 辺野古警備費1日2000万円超(15日付赤旗)
辺野古の基地建設に伴う警備費が、工事に着手した2014年7月から23年12月までの契約金額で748億円に上ったことが、防衛省沖縄防衛局への取材で
分かった。単純計算で1日当り2155万円に上る。今後さらに159億円が予定されており、新基地建設に反対する県民の運動を監視・弾圧するために、
巨額の税金が投じられることになる
◆ 米原潜寄港3年連続増(14日付赤旗)
米海軍原子力潜水艦の日本への寄港が2023年の1年間で37回、延べ88日に及ぶことが、寄港地を抱える自治体などの集計で明らかになった。22年と比べて9回、12日増加、3年連続の増加となる。佐世保と沖縄ホワイトビーチへの寄港が増加しており、東・南シナ海の中国軍を見据えた動きとみられる。
◆ 馬毛島基地建設費8827億円に(28日付赤旗)
鹿児島県西之表市での自衛隊基地建設費が8827億円に上ることが分かった。工期は3年程度残っており更に青天井に膨らむ恐れがある。馬毛島基地建設
計画は、米空母艦載機離着陸訓練の移転を求める米国政府の圧力を受けて、日米両政府が合意したもので、恒常的訓練が年間を通じて実施される。
◆ 首相施政方針演説「任期中に憲法改正を実現したい」(31日付各紙)
岸田首相は30日両院で施政方針演説を行った。同演説は通常国会召集日に行われるのが通例だが、今回は「政治とカネ」問題での予算委員会の集中審議
の後に行われる異例の日程となった。首相は裏金解明に背を向ける一方で、「総裁任期中には憲法改正を実現したい」と9条破壊への執念を見せた。
【国民の闘い、世界の平和への動き】
◆ 自民党「裏金」問題、依然真相“闇の中
〇 大山鳴動して”鼠3匹”
・安倍派池田議員逮捕(7日)
・安倍派、二階派、岸田派会計責任者ら起訴
安倍派大野泰正、谷川弥一両議員も起訴、捜査事実上終結(19日)
国民の大きな怒りをバックに全国から検察官の応援を得た東京地検特捜部だが、裏金作りの全容を解明しきれないまま、末端の議員3人と秘書、3派閥
の会計責任者(事務方)と二階俊博元幹事長秘書を起訴しただけで、19日捜査を事実上終結した。注目された“安倍派5人衆”や二階氏自身は立件に至
らなかった。裏金作りのシステムだけでなく最大の疑惑は裏金の使い道だったが一切明らかにならないまま終わった。大阪選出の太田房江参議院議員
が民放番組で「不真面目な使い方は全然していない。すべて真面目に使ったので手元には14万円しか残っていない」と胸を張ったことや、選挙の年に
は改選議員の還流額が大幅に増えていることなどから使途は大方見当はつくが、司法の場では検察審査会が残るだけ。今後は国会の場や国民の闘いに
移る。「落選運動」でもしたいような気分だ。
〇 刷新本部設置、派閥解散は“やってる感”のアリバイ作り
・自民党「政治刷新本部」初会合、“裏金”議員が9人も(13日付朝日)
・刷新本部改革案、派閥解散明記せず(23日付朝日)
・首相、岸田派解散明言(19日付朝日夕刊)正式解散(24日付朝日)
・茂木派も「解消」表明、麻生派を除く4派閥が解散へ(30日付朝日)
自民党は野党やマスコミの追及を前に、形だけの「政治刷新本部」を作ったが、委員は派閥の規模に応じた分配で、焦点の安倍派が10人を占めうち
9人が裏金疑惑を抱えていた。適格性が問われる議員が法改正などを議論することになり、本部自体が適格性を問われるいい加減なものとなった。
自民党自体も企業献金禁止に目をそむけ、派閥解消で争点をそらす作戦だが、麻生氏が「人は群れたがる。派閥は無くならない」とうそぶいたよう
に、早くも「政策集団化」の動きが出ている。30年前抜け穴だらけの「企業・団体献金禁止」と引き換えに、「政党助成金」と「小選挙区制」が導入
された「偽わりの政治改革」の再点検が求められる。
◆ 共産党「企業・団体献金禁止」「政党助成金廃止」2法案提出(27日付赤旗)
裏金事件の本質解明を避ける動きに対して、共産党は政治腐敗の根源を断つ2つの法案を参議院に提出した。政治資金パーティー収入も寄付とみなす
ことで、企業・団体によるパーティー券購入も禁ずる。さらに政党から政治家個人に交付する「政策活動費」も禁止することも盛り込んでいる。
◆ 国際司法裁、集団殺害阻止をイスラエルに命令(28日付赤旗)
国際司法裁判所(ICJ)は26日、パレスチナのガザ地区でイスラエルが国際条約違反のジェノサイドを行っているとして、防止のためのあらゆる措置を
とることを命じた。即時停戦を求める国際世論がさらに強まり、イスラエルの孤立が深まることになりそう。
【番 外】
◆ 維新 震災あっても万博に固執(8日付、24日付赤旗)
「#万博中止して被災地に回せ」こんなハッシュタグがx(旧ツイッター)上で連日拡散している。万博開催の直接経費は国費だけでも1647億円、イン
フラ整備など関連経費を含めると軽く10兆円を超す。業種別雇用判断DIは、建設業・運輸業ともマイナス50台の深刻な人手不足といわれる。
1周2キロの大屋根に使われる木材量は仮設住宅4000戸分に匹敵するという。財界の一部からも延期論が出るが、吉村知事は「万博か復興かの2択では
ない」維新の馬場代表は「北陸の皆さんにも明るい将来に歩みを進めてもらうイベントになる」と万博ありきの発言を繰り返している。
共産党大阪府委員会は11日「このイベントを進める大義は完全に無くなった」と改めて中止を求める声明を出した。
もはや国民の怒りの声で中止に追い込むしかない。
2024.01.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(12月編)
この月は中旬以降、自民党・全主要派閥が政治資金パーティーを通じて裏金を作っていたことが明らかになり、大きな国民的関心を呼んだ。
直接戦争に結びつく話ではないが、日本を「普通に戦争する国」に変えようという主要政治勢力が、不法な手口で資金を作っていたことで国民の怒りを
買い、政権から引きずり下ろす好機が生まれたことでトップに取り上げたい。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 自民党・全主要派閥が裏金作り
〇 発端は「しんぶん赤旗日曜版」のスクープ記事
去年11月の日曜版が「安倍派がパーティー券のキックバックで裏金作り」と報じたことがきっかけだが、そこからの経緯は新聞各紙も報じているので
省略したい。ただ私が同じ記者として注目したのは、その着眼点と粘り強さである。
中央選管が扱う政党や国会議員、各種政治団体の「政治資金収支報告書」は、大体秋ごろ前年度分が公表される。各社態勢を組んでチェックするが、
各議員と政党本部や派閥とのやりとりが合っていれば大体終わり。
しかし赤旗は派閥パーティーの実感と比べて報告書の人数が少な過ぎることに着目。売った人がいれば買わされた人もいる筈と、各業界の政治連盟の
収支報告書から議員を割り出し、合計額をあぶり出した。百を超える政治連盟と何百人もいる議員の報告書を逐一調べ上げた労力がスクープを生み出
した。告発を受けて検察が動き出せばマスコミも気兼ねなく動く。緻密な証拠と、「安倍晋三」という“悪の巨魁”に頭を抑えられていた検察の意趣返
しが結びついたのが、珍しく握りつぶさなかったということだろう。
〇 岸田首相と安倍派の権力闘争の様相へ
パーティー収入の不正が噴出するなか共産党は5日上記法案を国会に提出した。5万円から公開など小手先の改革案が囁かれる中で、「企業・団体の政治
献金の全面禁止こそ、金権腐敗政治を根絶し国民の政治不信回復の道だ」としている。献金を受け取らずパーティーも開かない共産党ならではの対応
だ。
◆ 前自民党柿沢議員選挙違反で逮捕(29日付)
東京都江東区長選をめぐる事件で、東京地検特捜部は柿沢未途・前法務副大臣=自民党を離党=を、公選法違反容疑で逮捕した。
禁止されているネット広告容疑と区議らに現金260万円を渡すなどした容疑で逮捕した。
◆ 市民連合と5党派会合(8日付赤旗)
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は7日、共産党、立憲民主党、れいわ新選組、社民党、「沖縄の風」の野党「5党派と会談した。
「大軍拡は許さない」など5項目を次期衆院選に向けた野党の共通政策とするよう要望した。
◆ 米軍全世界のオスプレイ運用停止(8日付)
米軍は6日、屋久島沖のオスプレイ墜落事故を受け、世界で運用するオスプレイ全機を運用停止にすることを明らかにした。米軍は合わせて400機のオス
プレイを配置、うち日本には米国以外で最多の44機を配置している。事故の翌日からも国民の不安を逆なでするように通常運行をしていたが、世界の声
に押され停止することになった。運用停止に止まらず全機撤去が求められる。
◆ 国連総会、ガザ「人道的停戦」決議2度目の採択
〇 安保理決議案米が葬る(10日付)
国連安全保障理事会は8日、イスラエルが軍事侵攻している、パレスチナ自治区ガザでの「人道目的の即時停戦」を求める決議案を、アメリカの拒否
権行使で否決した。15理事国中13か国が賛成、イギリスが棄権した。日本まで珍しく賛成したのにアメリカの拒否権行使で葬られた。
〇 国連総会は153か国の賛成で決議(14日付)
総会での決議は前回10月27日に採択した「人道的休戦」の賛成121か国より32か国増えた。この中にはカナダやデンマークなどNATO加盟国や、
日本、韓国、オーストラリアなど、米と軍事同盟を結ぶ国も入っており、米とイスラエルの孤立が一層深まったと言える。
【戦争への動き】
◆ 岸田首相 19年に勝共連合会長と面会(4日・5日付朝日、5日付赤旗)
岸田首相が自民党政調会長だった19年10月に、来日中のギングリッチ元米下院議長らと面談した際、勝共連合の梶栗正義会長も同席していたと、4日付
け『朝日』がスクープとして報じた。首相が「承知していない」と否定したため、『朝日』は翌5日付で面談時4人で写った写真も掲載して追い打ちをか
けたが、首相は「写真を見ても認識は変わらない」としらを切り通した。首相は閣僚や党所属議員に対して旧統一協会との関係を自主点検するよう求
め、自らについては「知りうる限り当該団体とは関係が無い」と明言した経緯があり、首相の政治責任が厳しく問われる。
◆「自衛隊統合演習」民間空港で72回離着陸(7日付赤旗)
11月中旬に民間空港で戦闘機の着陸訓練が行われた「自衛隊統合演習」で、空港への離着陸回数が少なくとも72回に上ることが『赤旗』の調べで分かっ
た。使用されたのは岡山・大分・徳之島・奄美の4空港。“敵基地攻撃”への反撃で基地が使えなくなり戦闘機を退避させる訓練で、ますます実戦に近づい
ている。
◆ 土地利用規制法新たに180区域追加(13日付赤旗)
政府は11日、基地などの周辺住民を監視する「土地利用規制法」に基づく区域指定の第3弾となる、180カ所を告示した。これまでと合わせ合計800カ所
になる。今回は主要な自衛隊基地の大半を指定。都心部や人口密集地も含まれ、監視対象となる住民数が格段に増えている。
まさしく“だるまさん戦法”そのもの。
◆ 殺傷兵器の輸出解禁(23日付)
政府は22日、武器輸出を制限している「防衛装備移転3原則」と運用方針を改定し、大幅に規制を緩和した。政府は同日改定に基づき、地対空ミサイル
「パトリオット」のアメリカへの輸出を決め、殺傷能力のある兵器の完成品の輸出を解禁した。他国の企業の許可を得て日本国内で製造する「ライセン
ス生産品」も、ライセンス元の国ならどこでも輸出できるように改めた。日本のライセンス品は70品目に上り対象国も8か国になる。
これまで武器輸出を厳しく制限してきた日本の安全保障政策は、180度転換する大きな問題といえる。
◆ 24年度予算案 軍事費8兆円に迫る (23日付)
政府は22日「2024年度政府予算案」を閣議決定した。2年連続で110兆円を超える予算となっている。大企業優遇と軍拡が際立つ一方、社会保障など
国民生活を支える予算は抑制されている。安保3文書が閣議決定されて2年目となるもと、軍事費は7兆9496億円と過去最大を更新、10年連続で過去最大
を更新した。
◆ 弾薬庫全国14カ所に新設(27日付赤旗)
防衛省は24年度予算案に、沖縄をはじめ14カ所に弾薬庫を新設する建設費222億円を計上していることを「赤旗」に明らかにした。沖縄・九州と北海道
に集中しているが、関西でも京都の舞鶴と陸自祝園(ほうぞの)分屯地に計11棟が計画されている。弾薬庫は攻撃対象となるため、全国が戦場化する恐
れが高まる。
【番 外】
◆ 万博暴走 事業費3倍化(17日付朝日、赤旗日曜版、24日付赤旗)
大阪・関西万博の費用について、政府がまとめた全体像が判明した。万博に直接資する」国費負担は、会場建設費や「日本館」の建設費など1647億円、
このほかアクセスなどインフラ整備費は国庫負担を含めて計8600億円に上った。事業費の総額について政府は、2017年の立候補申請書で2850億円とし
ており、既に3倍に膨れ上がっている。
これを1人あたりに換算すると、国民負担はおしなべて2800円、府民負担は大阪府負担分を加えて9100円、さらに大阪市民は10万7千円と巨額になる。
これに対して日本維新の会の馬場信幸代表は「万博からIR(カジノリゾート)とレールが敷かれている。そこは惜しみなく金を出す」と語りまだまだ
増えることを示唆した。まさしく「成功すれば維新の手柄、失敗すれば政府の責任」という維新得意の路線で進みそうだ。
2023.12.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(11月編)
【戦争への動き】
11月は下旬に大きな出来事が集中したが、頭が整理しやすいように、主に時系列によってまとめた。
◆ 民間施設も軍事対応強化
〇 民間空港で戦闘機離着陸訓練(5日付赤旗、14日付朝日)
陸海空の自衛隊による最大の統合演習が、自衛隊3万人、米軍1万人が参加して、10日~20日全国4カ所で行われた。
今回は敵基地攻撃能力への反撃を受けるなどして、自衛隊基地が使えなくなる事態を想定し、岡山・大分・奄美・徳之島の民間4空港に戦闘機が離発
着する訓練が初めて行われた。
〇 38空港・港湾 防衛力強化(27日付朝日)
防衛力強化のために全国の空港と港湾の整備を進める「公共インフラ整備」が計画されている。
戦闘機が離発着しやすいように滑走路を延長したり、大型艦艇が入港できるよう港湾を掘削するのが狙い。
全国で空港14施設、港湾24施設が選定されているが、このうち7割が沖縄・九州に集中しており、ここでも“南西シフト”が目立っている。
◆ 兵器開発急ぐ
〇「軍民両用」の技術開発支援へ(1日付朝日)
防衛省がスタートアップ(新興企業)の先端技術の開発につなげる取り組みを本格化させる。先端技術をめぐっては敵のレーダーを妨害する電磁波
や、量子コンピューターといった技術の多くは軍民両用が想定され、防衛省は24年度に技術開発を支援する研究機関を発足させる計画だ。
〇 軍需企業は“ミサイル特需”(14日付朝日、28日付赤旗)
新興企業を支援するぐらいだから、もともとの軍需産業は“ミサイル特需”に沸いている。
最大手の三菱重工は敵基地攻撃用の「スタンド・オフ・ミサイル」を一手に引き受け、上半期だけで前年比5倍の9994億円と過去最高になっている。
他にも管制システムなどを手がけるNECが4割増、三菱電機も受注増で設備投資を増やしている。これらはいずれも「防衛増税」による国民負担で、
血税に群がる“死の商人”そのものである。
◆ 中国包囲網南へ着々
日米韓の軍事同盟の一体化が強められている中で、政府は中国の海洋進出に伴ない権益がぶつかる南アジアにも中国包囲網を広げる外交に力を入れている。域内の平和解決に力を入れているASEAN にくさびを打ち込む動きともいえる。
〇 フィリピンとの関係を準同盟級に引き上げ(4日付朝日)
〇 マレーシアと安保協力を深化(6日付朝日)
〇 日米演習にオーストラリア陸軍が初参加(22日付赤旗)
◆ 北朝鮮軍事衛星打ち上げにJアラート発令(21日)
〇 北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ成功
北朝鮮は21日午後10時42分頃軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号」を打ち上げ、軌道に乗せることに成功した。
北朝鮮は既に米本土まで届く超長距離ミサイルを開発していたが、実戦で使用するには「眼」の役割を果たす偵察衛星が必要で、ロシアの技術援助を
受け3度目の発射で打ち上げに成功した。運用するには数十基が必要と言われ今後打ち上げが続くと思われるが、当事者が民生用でなく「軍事偵察衛
星」と言っている以上、国連安保理決議に背くのは間違いなく新たな緊張をもたらすことになる。
〇 日本政府はJアラートを発令
発射の直後、通過が予想される沖縄県に「全国瞬時警報システム(Jアラート)」が発令された。3度目らしいが私が直面したのは初めてで、夜の民
放ニュースを見ていたら突然黒地に赤文字の毒々しい画面に切り替わった。急いで他のチャンネルをチェックしたが全部同じ画面でBSも同様、NHK
は5波出し体制だった。各局速報タイトルをつけ一斉放送の体裁を整えていたが、タイトルは次の通りである。
▽1,2チャンネル(NHK)「北朝鮮からミサイル発射」「沖縄県の方向に発射」
▽4チャンネル(TBS系列)「北朝鮮事実上のミサイル発射」
▽6チャンネル(テレ朝系列)「北朝鮮がミサイル発射」
▽7チャンネル(テレ東系列)不明
▽8チャンネル(フジテレビ系列)「北朝鮮がミサイル 沖縄県では避難を」
▽10チャンネル(日テレ系列)「北朝鮮ミサイル発射 沖縄県の方向に」
NHKはその後「建物の中、又は地下に避難」と詳しい避難方法を指示していたが、実際に破片が落下してきた場合、これで安全なのだろうかと疑問が
わいた。
先の戦争中、つけっ放しのラジオが「B29の大編隊が和歌山沖の大阪湾を北上中」と、がなっている時には、現在関西空港がある近くにあった生家で
は既にB29独特の重低音が響き始めていて、空襲警報が出る前に急いで防空壕に避難したのを思い出した。その時に比べると発令は早くなっている
が、避難体制が整備されていない中で、やたらアラートを鳴らされても危機感を演出するだけになりかねない。
◆ 屋久島沖で米軍オスプレイが墜落(29日)
米空軍所属のCV22オスプレイが29日鹿児島県屋久島沖で墜落した。山口県岩国基地から沖縄県の嘉手納基地に向かっていたもので、乗員8人は5日までに全員死亡が確認された。オスプレイの事故史上2番目の大事故で、通常なら原因解明まで運航中止が建前なのに、翌日から運航再開し捜索現場にも顔を出す無神経さに、国民の怒りに火を注いだ。
【国民の闘い・世界の平和への動き】
◆ 英労組 軍事企業工場を封鎖(12日付赤旗)
イギリスで10日、複数の労組がイスラエルに対する武器供給の中止を求めて、南部ケント州にある航空軍事企業BAEシステムズの工場出入口を一斉封鎖
した。
行動には公務員労組や大学教職員組合など8労組400人が参加し「パレスチナでの戦争犯罪に加担するな」などと唱和した。
ヨーロッパではベルギーとスペインで港湾労組が武器や関連部品の積み下ろしを拒否する声明を発表するなど、労働組合員の運動が広がりを見せている。
◆ 米中、日中首脳会談1年ぶりサンフランシスコで
〇 米中首脳会談軍事対話再開へ(15日)
バイデン米大統領と習近平国家主席の会談では、偶発的な紛争を防ぐため、途絶えていた軍幹部同士の対話を再開することで合意した。この他、米中
抜きでは解決できない気候変動対策などについても意志疎通を図る。軍事面では着々と包囲網を広げるアメリカだが外交も並行するしたたかさを見せ
た。
〇 日中首脳会談 処理水問題対話へ一致(16日)
訪米中の岸田首相との会談では、処理水問題について対話で解決を図ることで一致した。また両国間の共通利益をめぐって協力する「戦略的互恵関
係」を推進することを再確認した。意見が異なる相手との対話を嫌がる岸田首相だが、こういう相手とこそ話し合いが必要なことを肝に銘じてほし
い。
◆ ガザ一時休戦合意
〇 国連安保理 戦闘休止を決議(15日)
国連安保理は15日の緊急会合で、人道支援を目的とした戦闘の「休止」を求める決議を賛成多数で採択した。
10月7日にハマスが奇襲攻撃を起こして以降、ガザ情勢に関する決議案が安保理に提出されたのは5回目だが、今回は米英露が棄権し初めて意思が表明
された。世界の世論で拒否権の行使を阻み国連の機能休止を回避した。
〇 イスラエルで反戦集会(21日付赤旗)
イスラエル共産党からの情報によると、同党が参加する「平和と平等のための民主戦線」が呼びかけた反戦集会が、18日イスラエルのテルアビブで開
かれ、ユダヤ人やアラブ人など数百人が参加した。警察は当初集会を不許可にしたが、最高裁の許可を勝ち取り、場所や参加人数を変更して行われ
た。
〇 4日間の一時休戦で合意、さらに2度延長(23日、29日付各紙)
イスラエルとハマスはカタール、エジプト、アメリカなどの仲介で、双方の人質と投獄者の解放を条件に、24日から4日間戦闘を中断した。
不十分ながらガザへの人道支援も拡大された。この休戦は28日から2日間、それに30日と2度延長され永続的停戦への期待が高まったが、30日朝から
また戦闘が再開した。
◆ 沖縄県民平和大集会に1万人超(24日付赤旗)
沖縄県内の70を超える市民団体や個人で作る「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は23日、沖縄・南西諸島の軍事要塞化を許さず、対話による戦争回避の道を求めて、那覇市で県民平和大集会を開き、県内外から1万人超が結集した。全国各地でも呼応する集会が開かれ、国会前集会には2千人が参加した。
◆ 岸田内閣支持率また最低を更新(28日付赤旗)
マスコミ各社の11月度世論調査が出揃い、内閣支持率がすべての全国紙で2カ月連続の過去最低となった。不支持率は日経で62%、ANNで54.2%と過半数を超えた。9月の内閣改造後早くも3人の政務3役が公選法違反などで辞任に追い込まれるなど、国民の内閣不信が止まらない状態となった。
2023.11.18 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(10月編)
臨時国会が始まり政治討論の季節が始まった。最近の常套手段となった「閣議決定」路線を改め、国権の最高機関としての真摯な討論を期待したい。
【戦争への動き】
◆ 中東で戦火
〇戦争というよりジェノサイド(7日)
ロシアのウクライナ侵略が2年近くになるも収束の兆しが見えない中、今度は中東で70年にわたる憎悪がぶつかり合う戦火が火を噴いた。イスラエルに抑圧されているパレスチナの、ガザ自治区を実効支配するイスラム過激派ハマスは、これまでも4度、国際世論が「パレスチナ問題」から離れそうになると、ロケット砲をイスラエル領に撃ち込んで十倍返しの反撃を受け、世界の目を向けさせる奇襲作戦を繰り返してきた。しかし今回はイスラエルの防空
能力を上回る大量のロケット弾を一斉に打ち込む飽和攻撃で多くの被害を与える一方、境界の壁を越えて地上部隊を送り込み、境界近くの集落や音楽祭に集まった人々を無差別に攻撃し、200人を超える人質を連れ去るという暴挙に出た。これによってハマス壊滅の機会をうかがっていたイスラエルに格好の口実を与え、後の経過はご承知の惨劇である。国同士の正規軍による戦争と違い、正規軍と過激派グループの戦いは戦争とは言えないジェノサイドの様相であり、ガザ地区住民の犠牲者は1万人を超え増える一方である。戦争への垣根がだんだん低くなっていく危険な時代に入ってきた。
〇国連総会 ガザ「人道的休戦」を決議(29日付各紙)
国連総会は27日緊急特別会合で、「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議を採択した。賛成121、反対はアメリカなど14か国。44か国が棄権した。日本はアメリカに追随して反対するかと思われたが棄権に回った。しかし戦争放棄の憲法を持つ国の対応としては、国民の意向を無視した態度と言わねばならない。第2次大戦前の「国際連盟」が戦争を防ぐ有効な対応が出来ず瓦解し、第2次大戦に突っ込んだ二の舞を避ける粘り強い取り組みを切望したい。
◆中国封じ込め、日米着々
〇米海兵隊離島に分散・即応体制(8日付朝日)
海上からの上陸作戦を伝統的に基本任務とし、陸海空のすべての機能を備えた「殴り込み部隊」と位置付けられる米海兵隊が、対テロから対中国への転換を打ち出した。離島の沿岸部に小規模の部隊を分散させ移動攻撃をする。沖縄の第3海兵遠征軍の傘下に海兵沿岸連隊が新設される予定で、沖縄が背負う重荷は県民の頭越しに一層重みを増すことになる。
〇南西諸島で日米大規模訓練(14日付赤旗、25日付朝日、赤旗)
陸上自衛隊と米海兵隊による最大規模の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」が、14日から31日まで、九州・沖縄を中心に行われ、自衛隊5千人・海兵隊1400人が参加した。その一部が24日報道陣に公開されたが、海兵隊の対空レーダーで警戒しながら陸自が攻撃するなど、日米の一体化を象徴する想定。
沖縄県が自粛を求めていた陸自オスプレイが参加、長射程ミサイルの射撃準備なども披露するなど、中国を念頭に置いた防衛力の「南西シフト」に、地元の懸念はさらに強まっている。
〇自衛隊「常設統合司令部」創設を表明(28日付赤旗)
防衛省は24年度予算の概算要求に、陸海空自衛隊の実働部隊を一元的に指揮する「常設統合司令部」の創設を盛り込み、「米インド太平洋軍司令部と調節する機能」のためだと初めて明記した。防衛省は既に06年、3自衛隊を束ねる統合幕僚監部を設置しており、屋上屋を重ねるような司令部の創設は米側の要求であることが、自衛隊元高官の証言で裏付けられている。共産党の志位委員長は25日の衆院本会議で、「米司令部の指揮の下に自衛隊が事実上組み込まれることを意味するものではないか」と告発した。
〇トマホーク調達1年前倒し、国産ミサイルも(6日付、11日付赤旗)
木原防衛相は現地時間4日米でオースティン国防長官と会談し、憲法違反の敵基地攻撃能力として使われる長距離巡航ミサイル「トマホーク」を、1年前倒しで25年度から取得することで一致した。400発のうち半分は1世代前の旧式になる。
さらに帰国後の10日の記者会見では、26年度からの配備を狙う国産の長射程「スタンド・オフ・ミサイル」全種類について、整備の前倒しを検討するよう指示したことを明らかにした。国民生活防衛のための施策はなかなか実施しないのに、敵基地攻撃兵器には前のめりの姿勢を明らかにした。
◆辺野古代執行へ国が提訴(5日)
名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う設計変更の「指示」に対し、玉城知事が4日「期限までの承認は困難」と回答した。これに対し斉藤鉄夫国交相は5日、国が代わって手続きを代行する「代執行」のための訴訟を起こした。裁判で国が勝訴し代執行を強行すれば初めての措置になる。
◆岸田首相 自民政権下16年ぶり連合大会出席(6日付朝日)
連合の定期大会が5日始まり、自民党政権下の首相としては16年ぶりに岸田首相が出席した。首相は連合が開いた1月の新年交歓会やメーデー中央集会にも出席するなど、連合との蜜月関係を強めている。労組が賃上げや最低賃金などを政権に頼る一方、“反共”を旗印に野党共闘の妨害者になるのは自殺行為といえる。政府が先の戦争中の1940年にすべての労働組合を解散させ、戦争協力機関として「大日本産業報国会」に変質させた二の舞になるのだろうか。
【国民の闘い】
◆玉城知事代執行訴訟で「辺野古承認せず」表明(12日付朝日)
玉城知事は記者団に対して「承認するという立場には立てない」と述べ、国が起こした「代執行訴訟」で、自ら意見陳述し争う考えを示した。全国で知事を激励する行動やネット署名が始まっている。
◆文科省 統一協会の解散命令を請求(13日)
文科省は全国霊感商法対策弁護士連絡会とも連携した調査の結果、統一協会が遅くとも1980年頃から継続してきた献金被害や不法行為を認定。宗教法人法が解散命令の要件として定める行為に該当すると判断した。解散命令が出されれば、”宗教2世”らの救済につながるとともに、“政治と宗教”の関係が断ち切れない多くの政治家にも警告を与えることになる。
◆岸田内閣支持率急落(31日付赤旗)
27日~29日実施の日経とテレビ東京の合同世論調査で、内閣支持率が前月比で9ポイントも急落し33%と、政権発足後最低を更新した。これで10月に行われた世論調査では全国紙のすべてで過去最低となった。国民の願いの物価高騰対策に対して一見応えるような“所得税減税”も、防衛増税の目くらましにすぎないことを国民に見透かされたと言える
【番外】
◆万博会場建設費また膨張(21日付各紙)
開幕が1年半後に迫る大阪・関西万博の会場建設費が再び増額されることになった。万博協会は20日、これまで1850億円としていた会場建設費について、最大2350億円に増える見込みであることを、国・大阪府市・経済界の3者に伝えた。当初の1250億円からは2倍近くになる。大阪維新からは「増額分は国費で」という意見も出ており、カジノの露払い役として計画された万博の国民負担は際限なく増える様相だ。
◆札幌市冬季五輪招致断念(7日付赤旗、12日付朝日)
30年の冬季オリンピック招致を目指していた札幌市とJOCは、11日招致断念を発表した。JOCの山下泰裕会長は「住民の理解を十分に得ているとは言い難い」ことを理由に挙げた。上記万博と同じく直接戦争には関係ないが、国民の闘いによって1度決まったことでも中止させられる例として紹介した。
2023.10.17 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(9月編)
【戦争への動き】
◆24年度予算概算要求、軍事費過去最高更新(1日付各紙)
国の24年度予算編成に向け、各省の概算要求が出そろった。要求総額は114兆円規模となり過去最大になる見通し。中でも突出しているのは軍事費で、過去10年4~5兆円に収まっていたのが、23年度で6兆8千億円に急増したのに続いて、来年度はさらに1兆円近く上回る7兆7千億円になった。
12年連続で前年度を上回る。物価高騰に直面する市民生活を後回しにし、5年間で43兆円を注ぎ込むという対米公約を最優先した大軍拡一直線の予算となっている。
◆米軍基地辺野古移設阻止、重大局面へ
〇「設計変更」不承認訴訟、沖縄県の敗訴確定(4日)
名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、軟弱地盤に伴う地盤改良の設計申請変更を承認するよう、国が「是正指示」を出したのは違法だと県が訴えた訴訟で、最高裁は4日沖縄県の上告を棄却する判決を言い渡した。判決確定に伴い玉城デニー知事は設計変更を承認する義務を負う形となるが、行政不服審査法を乱用し国が力ずくで自治体を従わせる先例になりかねず、戦争に反対する国民を威嚇する政府の姿勢を見せつけたと言える。
〇国交相「代執行」への手続き着手(20日付赤旗)
斉藤鉄夫国交相は19日玉城知事あてに、設計変更を承認するよう勧告する文書を発送した。地方自治破壊の最たるものである「代執行」の手続きに着手した。
〇玉城知事 国連人権理事会で新基地強行を告発(20日付赤旗)
(*内容は国民の闘い欄)
〇木原防衛相 玉城知事との会談スルー(25日付朝日)
木原稔防衛相は24日就任後初めて沖縄県を訪問した。防衛相は就任後初の訪沖の際に知事と会談するのが恒例だが、宮古、石垣両島を視察して市長と会談しながら、知事と会うことなく会談は異例の見送りとなった。木原氏は以前から沖縄県民を敵視する言動が物議をかもしており、問答無用で辺野古移設を強行する岸田内閣の姿勢を如実に表したと言える。
◆米軍の動き急
〇日米共同訓練、米揚陸艇部隊が初参加(19日付赤旗)
陸上自衛隊と米陸軍が南西諸島地域などで実施する共同訓練が、14日から10日間実施された。訓練には新編成された米陸軍揚陸艇(LCU)部隊が初めて参加、沖縄から奄美大島まで高機動ロケット砲システム「ハイマースや物資などを輸送した。今年1月の日米安全保障協議委員会で合意した、部隊の南西地域への戦時投入を想定した訓練に着手した。こうした実践的訓練の強化は中国軍を刺激し南西諸島の緊張を高めるものと言わざるをえない。
〇「在日宇宙軍」米軍が創設を検討(17日付日刊スポーツ、26日付朝日)
最初に報じたのは、スポーツ紙ながら社会面にも力を入れている「日刊スポーツ」、コラム「政界地獄耳」や「フラッシュアップ大谷昭宏」などが有名。通信社の配信記事と思われるが、その後一般紙のフォローが無いので様子を見ていたところ、朝日などが来日中の宇宙軍トップが認めたとして報道した。宇宙軍は19年に発足し、22年ハワイに「インド太平洋宇宙軍」創設、「在韓米宇宙軍」の運用も開始している。日本政府も「宇宙作戦群」を立ち上げており、宇宙領域でも日米一体化が進むことになる。
◆日本政府の動き
〇土地利用規制法 180か所新たに指定へ(12日付赤旗)
政府は土地利用規制法に基づく第3回の指定候補として、25都道府県の180か所を示した。防衛省本省がある東京都の市ヶ谷庁舎をはじめ、府中基地など人口密集地の自衛隊基地が相次いで候補となり、本格的な住民監視が進む恐れがある。
〇情報公開 防衛省の不開示決定増(24日付赤旗)
情報公開法に基づく行政文書の開示判断をめぐり、防衛相の不開示決定や延長される事例が年々増加傾向になっている。防衛省関係では安保法制を強行した2015年の、不開示192件、延長1809件を最高に減少していたが、21年には不開示184件、延長3067件と再び増加傾向に転じている。開示しても「のり弁」と呼ばれる黒塗りのケースがあり、第2次安倍政権と比べても岸田政権の隠蔽体質が際立っている。
◆都倉文化庁長官 勝共連合と深い関係(6日、18日、25日付赤旗)
作曲家で文化庁長官の都倉俊一氏が、旧統一教会の政治組織「国際勝共連合」と深い関係を持つことが、共産党の宮本岳志衆院議員や「しんぶん赤旗」の調査で判明した。文化庁には宗教法人の認可などの実務を担う宗務課があり、長官は直接宗務行政を統括する立場。現在統一教会の解散命令請求を判断するための調査を担当しており、菅首相以来の任命責任が問われる。
〇都倉氏84年勝共連合主催集会に参加
集会は「共産主義に対する勝共連合の団結力」を示す目的で開催されたもので、会員3万人が参加。中曾根首相や岸元首相らの祝電の他,機関紙「思想新聞」で「芸能界の来賓」として都倉氏の『非常に感銘を受けた』とするコメントが顔写真付きで紹介されている。これに止まらず都倉氏は同年「思想新聞」で「都倉俊一の世相寸評」というコラムを担当、13回にわたって掲載されている。
〇87年には勝共系映画の音楽を担当
勝共連合が「スパイ防止法」制定運動の一環として製作した映画で、都倉氏が音楽を担当していたことが「赤旗」の調べで分かった。この映画は自民党が85年の国会に提出した法案が言論などの自由を侵害するものとして廃案に追い込まれた下で、巻き返しを図って作られ、87年に70回の上映会が開かれたという。
この映画は2008年にDVD化されて1枚2千円で販売され、長期にわたる宣伝材として利用されている。この出版を担当した団体と勝共連合本部が、同じ建物の1つの部屋に同居していたことも判明しており、2つの団体が一体であることが明らかになっている。当時は霊感商法の被害が急拡大した時期でもあり、都倉氏の説明責任が問われとぃる。
◆マイナンバー何でも紐づけは日本だけ(3日付赤旗日曜版)
「日本はデジタル後進国、主要先進国に大きく後れを取っている」として、トラブル続出のマイナンバーカードを国民に押しつける岸田政権。しかし同一の個人識別番号を複数の行政機関で利用し、1枚のカードに紐づけようとしている国は、主要先進国(G7)で日本だけということが分かった。他国の状況は、行政分野ごとに異なる番号を使用するか、カードは使用しないことになっている。一時共通番号を導入した国もあったが、政府による管理社会やプライバシー侵害に対する国民の反対、違憲判決も出て撤回・廃止が相次ぎG7では使用されていない。世界の流れに逆行してまで国民管理を強めようという政権の思惑が明らかになった。
【国民の動き】
◆カジノ・万博中止要求(7日付赤旗)
「カジノに反対する大阪連絡会」は6日、「大阪のカジノ誘致計画の『認定』取り消しを求める要請書」、「大阪・関西万博の中止決定を求める要望書」を首相ら宛に提出した。
◆インボイス反対署名54万に(26日付赤旗)
10月から導入される消費税のインボイス(適格証明書)制度の中止を求めて署名活動を進めてきた「STOP !インボイス」は、署名が50万を超えた25日官邸前アクションを行った。紙の署名に比べて集めやすいオンライン署名とはいえ50万を超すのは初めてで、最終的には54万に達した。インボイス制度に対する中小業者の怒りの大きさをまざまざと示した。
◆玉城知事、国連人権理事会で新基地強行を告発(20日付赤旗)
玉城知事は18日スイスで開催中の国連人権理事会に出席し、国際秩序に関する会合で発言した。日本政府が強行する辺野古の米軍新基地建設について、「平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている沖縄の現状を注視してほしい」と国連関係者や各国政府代表に訴えた。日本の知事が国連人権理事会で演説したのは、15年の翁長雄志知事以来2人目になる。
◆対馬市長 核ごみ調査応募せず(27日)
長崎県対馬市で、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を誘致する市議会の動きに対し住民の反対運動が起きていた問題で、27日比田勝尚喜市長は誘致の最初の段階となる「文献調査」に応募しないことを表明した。比田勝市長は「市民の合意形成が不十分で、観光や水産業などへの風評被害が発生すると指摘し、処分場の安全性にも疑問を投げかけた。各地で20億円の交付金目当てに誘致の動きがある状況に一石を投じたと言える。
2023.09.19 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(8月編)
【戦争への動き】
◆日中間に新しい火種
〇自民党麻生副総裁 台湾で「戦う覚悟を」(8日)
麻生副総裁は訪問中の台北市内で講演し「日本、台湾、米国などに、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」と
気勢を上げた。この武力衝突を想起させる発言には日本国内でも波紋が広がった。
〇福島原発の汚染水放出開始(24日)
東京電力は24日福島第1原発に溜まった汚染水を、トリチウム濃度を海水で希釈した“処理水”と称して海への放出を始めた。
計画では今年度はタンク約30基分にあたる3万トン余を4回に分けて放出する。
東電はその都度海水のトリチウム濃度を公表するということだが、完了まで30年は続くという気の遠くなる話で、1回ずつの発表では“微
増”でも何年も先はどうなっているか不透明である(ここでも“だるまさんが転んだ”作戦が…)。
〇中国、日本からの水産物輸入を全面禁止
◆日米韓3国首脳会談(日本時間19日)
日米・米韓の軍事同盟は安定しているが、日韓関係は韓国の政権が保守・革新で入れかわる度にぎくしゃくを繰り返している。
3か国の首脳が国際会議でなく独自に会談するのは初めてで、共同声明で「3か国の安保協力を新たな高みに引き上げる」ことを強調している。具体的には3国の首脳会談や共同訓練を毎年実施することを打ち出しており、東アジアに新たな軍事的枠組みを作り、分断と対立をより深刻に
する動きといえる。
◆新たな「国家総動員体制」始動
〇民生9分野「重要技術課題」に指定(27日付赤旗)
政府は25日安保3文書の一環として、民生技術の軍事利用の推進に9分野を「重要技術課題」に指定した。
この中には高出力マイクロ波をレーザー兵器につなげる技術化、ドローンなどの無人兵器やAI使用の自律兵器の開発、超音速飛翔技術の獲
得などを列挙。民生技術の大規模な軍事利用を目指している。
〇土地利用規制法第2弾指定(15日付赤旗)
政府は自衛隊基地など周辺住民を監視する土地利用規制法の運用第2弾を、10都県161カ所で始めた。空港や原発が初めて対象区域に追加さ
れ、第1弾と合わせて219カ所となった。
〇自衛隊への名簿提供、自治体の6割超す(16日付赤旗、6日付大阪民主新報)
2022年度に自衛官募集のため、若者の個人情報を自衛隊に提供した自治体が1068に上り、初めて6割を超えたことが分かった。
維新府政の大阪では、3市町を除く40自治体が要請に応えていた。『7月編』で紹介したように、自衛官採用が困難になっている背景もある
と思われるが、本人の同意なく個人情報を提供するのは、憲法が定める基本的人権を無視しているものであり、厳しく追及されねばならな
い。
◆終戦記念日に「産経」「読売」が大軍拡あおる社説(15日)
15日の社説に「産経」は『中国が核威嚇してきたらどうするのか』と恫喝し、「核抑止」を受け入れるよう求める社説を出した。
日本が受けた苦しみを他国に与える覚悟を持てと迫るものである。
また「読売」も『脅威に対処するには相手に攻撃を思いとどまらせるような抑止力や反撃能力を持つことせんが不可欠』として軍事力強化を
主張した。
戦前の大本営発表追随や、1960年安保闘争時一部過激派のデモ批判を口実に政府擁護に転じた「7社共同声明」の過ちを繰り返すのだろうか。
【国民の闘い】
◆広島・長崎両市長、「核抑止」脱却を訴え
広島(6日)、長崎(9日…台風で規模縮小)で行われた平和記念式典で、岸田首相はこれまでのコピペのような「核兵器の無い世界を目指す」という中身のないメッセージを繰り返した。
これに対して広島市の松井一実市長、長崎市の鈴木史朗市長は「平和宣言」で、核保有国の指導者に対して「核抑止論は破綻していることを
直視すべきだ」と訴え、日本政府には核禁条約の署名・批准を求めた。G7を受け一歩踏み込んだ宣言となった。
◆日本生命、核兵器・たばこ関連企業への投融資取りやめ(8日付朝日)
国内最大級の民間機関投資家である日本生命は、核兵器をつくったり、たばこを製造したりする企業への投融資を今後行わないと発表した。
地球温暖化対策の「脱炭素」の取り組みを強めるという。企業や機関投資家の間で同様の取り組みが広がることを期待したい。
◆マイナンバーカード、保険証廃止の前提崩れる(9日付、17日付朝日)
7月編で、保険証のマイナカードへの紐づけがピンチと紹介したが、政府が急ぎ作った「マイナンバー情報総点検本部」が8日に発表した中間
報告でも、誤登録が合わせて8000件を超すことが分かった。
さらに16日には加入者が最も多い「協会けんぽ」で、少なくとも40万人分のデータが紐づけされず使用できない状態になっていることが明らかになった。他の保険でも同様の事象が起こり得るという。
岸田政権が固執する保険証廃止の前提条件を大きく覆すもので、制度の根本的矛盾が露呈してきている。
【番外】万博・カジノ 国民負担膨らむ
〇めど立たないパビリオン建設(赤旗19日付)
7月初めマスコミが「海外パビリオン建設申請ゼロ」と報じて、準備の遅れが白日の下にさらされた「大阪・関西万博」。
主催者側が「建設代行」や「不払い経費肩代わりの保険創設」、工事に従事する建設労働者を残業時間規制の対象外とするなど、なりふり構わぬ動きを見せ始めた。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」と正反対の、労働者の命を軽視するような姿勢に、建設代行に応じたのは1か国に止まっている。
〇膨らむインフラ整備費当初の2倍に(赤旗29日付)
国と大阪府市、経済界が3分の1ずつ拠出する万博の会場建設費は、当初計画の1250億円から、既に600億円増額されているが、会場建設の遅れなどで上振れは必至と見られている。
大阪市はこの会場建設費に夢洲でのインフラ整備費などを加えた「万博・夢洲まちづくり関連事業」の総事業費を3400億円と説明していた。
しかしこれも土壌対策費や鉄道整備費など諸経費の高騰で、7500億円と倍以上にふくらんでおり、今後も青天井の状態だという。
その多くが国民負担として跳ね返ってくるのは必至で、「身を切る改革」が売りの維新の政治姿勢が厳しく問われる。
〇共産党、万博中止の声明発表(赤旗31日付)
共産党大阪府委員会は30日「今事業を止めないと、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつけることになる」として、万博中止を求める声明を発表した。これまで大阪の政治勢力は、カジノの露払い役としての位置づけをしつつも、国際関係を考慮して万博中止まで踏み込んだ
態度表明を控えてきたが、共産党の先駆的な声明発表により、カジノ反対の闘いに大きな影響を与えるだろう。
2023.08.26 平林光明(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前・考」(7月分)
通常国会が6月で終わり悪法が次々と成立、「戦争をする国」への法的枠組みが固められた。
7月からは具体的な準備が着手されだしたと言える。出来るだけ時系列で追ってみた。
【戦争への動き】
◆日米訓練、全国に米戦闘機展開
米軍のインド太平洋地域での大規模演習の一環となる日米共同訓練が7月4日から始まった。米軍は三沢(青森県)から嘉手納(沖縄県)までの全基地に展開、空自・海自も百里(茨城県)、築城(福岡県)、硫黄島(東京都)などの基地から戦闘機が参加する。今回目を引くのは米軍機の全国各地への機動展開。嘉手納など大規模基地が破壊されることを想定し、航空機を分散配置する訓練といわれる。まさに日本全土が戦場になることを前提にした訓練で早速安保3文書が動き出したと言える。
◆殺傷兵器の輸出可能へ(6日付朝日)
武器輸出を制限している「防衛装備 移転3原則」の運用指針見直しをめぐり、5日の与党実務者協議で、輸出緩和に向けた中間報告書を取りまとめた。掃海や正当防衛に必要な場合、殺傷能力のある武器を輸出することは可能との方向を打ち出している。こうした平和国家としてのありようを定めた指針の見直しは、色んな方面で進められている。政府がサイバー空間での「先制攻撃」につながりかねない「能動的サイバー防御」の導入に向けての法改定の検討(8日付赤旗)。憲法審査会で維新なども含めた悪政連合が策動している“緊急時”の議員任期延長の企て(17~18日付赤旗) 。これには参考人として陳述した学者から「民意を反映していない政権の継続は『緊急事態の恒久化を招く』と警告されている。さらには民間の動きではあるが、陸自のトップである元陸幕長が、改憲右翼の日本会議の出版物で、自衛官の戦死に備えて靖国神社を国家の「慰霊顕彰施設」として復活させよと公然と主張していることが分かった(31日付赤旗)。戦争への準備が水面下で進行している。
◆米軍オスプレイ高度60メートルの超低空飛行(7日付、20日付赤旗))
米海兵隊のMV22オスプレイが日本国内の山岳地帯で、高度60メートルの超低空飛行訓練を行うことに日米合同委員会が合意した(7日付)。これに続いて米空軍のCV22オスプレイも同様飛行を想定していることが分かった(20日付)。航空法に定められている最低安全高度は150メートルである。因みにマンションの1つの階の高さを2.5メートルと想定すると、高度60メートルは24階に相当する。いくら山間部とは言え人家もあれば動物の営巣地もある。この高さで欠陥機のオスプレイが飛行し爆音を響かせると思えば身の毛もよだつ。 ベトナム戦でよく見たヘリからの地上攻撃の訓練にでも入ったのだろうか。
◆日本維新馬場代表、憲法無視の暴言(23日)
日本維新の会の馬場代表がネット番組で数々の暴言を行った。「維新は第2自民党でいい」との発言は、本家である大阪維新の会が松井や馬場ら自民党に 不満を持つ地方議員が、右から自民党を揺さぶろうと橋下徹を党首に担いで結党したもので、初めから“第2自民党”的存在だった。それを自ら認めたもので驚くに当たらない。問題はそれに続いて「立憲民主党がいても日本は良くならない」「共産党は日本から無くなったらいい政党」との発言である。 特に共産党についての発言は従来の反共攻撃を超えた民主主義を根本から否定する暴論と言わざるを得ない。憲法に保障された「言論の自由」「結社の自由」を公然と否定し、戦前の天皇制政府、ナチスドイツに代わって、共産党非合法化の先兵役を維新が買って出たと考えるとぞっとする。各方面から厳しい批判が出るのは当然である。公式に発言を撤回させねばならない。(敬称略)
---《 だるまさんが少しずつ転がり始めた! 》---
【国民の戦い】
◆マイナンバーカード反対の署名始まる
国民のすべての情報を国家が管理することを狙い「静かな徴兵制」といわれるマイナンバー制度。最終的には29の個人データを1枚のカード収める制度だが、功を焦って充分な準備の無いまま、「健康保険証」を廃止しカードに紐づけしようとしたことから混乱が始まった。全国保険医団体連合会の調査で、このまま来秋に保険証を廃止すれば、108万件以上のトラブルが発生するという推計が明らかになった。(6日付赤旗) 実際大阪府保険医協会のアンケート調査でも医療機関の7割がトラブルを経験している。こうした中ネットで2日に、「#マイナンバーカード返納運動」が呼びかけられたほか、11日には共産党が「健康保険証の存続、マイナンバーカードへの一本化の中止を」とのアピールを発表し、署名活動が全国的に開始された。反対運動の広がりで自民党内にも延期や中止の声が出始めている。
◆核兵器禁止条約に日本の参加求める意見書659議会に(7日付赤旗)
核禁条約が国連の会議で採択されて7日で6年になる。この日までに世界で署名は92か国、批准は68か国に上っている。唯一の戦争被爆国である日本は署名も批准もしない国民に背を向けた態度を取り続けている。こうした中でも国民の粘り強い闘いで参加を求める意見書を可決した地方議会が、全体の3分の1を超える659議会に達したことが、日本原水協の調べで分かった。このうち県議会は岩手、長野、三重、沖縄の4県で可決されている。
◆自衛官応募1万人近く減(30日付赤旗)
22年度の自衛官等応募者数は7万4947人で、前年度比9735人減と大幅に落ち込んだ8万人を割り込んだのは過去10年間で初めて。戦いとは言えない消極的拒否にせよ国民感情を反映したものといえる。大軍拡の旗振りのもと足元では兵士の充足率は75%に落ち込んでいる。
【番外】大阪万博、海外パビリオン建設申請大幅遅れ(1日付朝日)
戦争準備とは直接結びつかないが、マイナカードのように一旦決定されたものでも運動の中で実施が危ぶまれ出したのが、25年開催予定の「大阪・関西万博」である。情報が少なく準備状況がよく解らなかったのだが、1日付の朝日が海外パビリオンの建設に必要な申請が、大阪市に1件も提出されていないと報道したことで、大きな驚きとともに実態が明らかになった。万博には153か国・地域が参加を表明しているが、そのうち各国が費用を負担して独自のパビリオンを建てる50の「タイプA」が目玉になる。完成まで早くても1年半の工期が必要とされるのに、開幕まで2年を切った6月末でも、「仮設建築物許可」申請がゼロという。危機感を持った主催者が各国にはっぱをかけたり、代行建築を提案したり、国内建築会社に経費支払いが滞った場合費用を立て替える保険を設けるなど、今頃になって大あわての有様。もともと「何故今頃万博?」という疑問が内外にあったが、カジノ反対の運動が進むにつれて、「カジノの露払い役」という万博の真相が海外にも浸透していったのが実際のところではないだろうか。運動を強めて行けば万博もろともカジノを断念させる可能性が出て来たと言える。
2023.07.19 平林光明(放送を語る会・大阪)
新しい戦前・考 (5月、6月分)◆ お花畑が芋畑に「有事で食糧が不足する事態に備え、農水省が農産物の増産を農家などに命令できる制度をつくる方向で 検討を始めた」という記事が、 5月11日付の朝刊各紙に掲載された。 具体的には花農家にコメやイモを作るよう命令したり、価格 統制や配給制なども視野に入れるという内容。 その後続報や反論なども目にしないため単なる観測記事かとも思っ たが、 17日の衆院農水委員会で日本共産党の田村貴昭の質問に対して検 討していることが明らかになった。 初め「食糧増産命令」の見出しに、戦後一貫して減反・減産を押し付けて来た政府が食料自給率の向上に舵を切ったのかと 期待したが、戦前の『臨時農地等管理令』 をなっぞった有事体制だった。 各地で校庭や公園が芋畑に変えられ、 毎日ふかしイモを食べさせられた思い出がよみがえった。 ◆ 『軍拡財源法』(6月16日)『軍需産業支援法』(6月7日)が成立 敵基地攻撃能力や43兆円防衛予算倍増、それに防衛産業の基盤強化など、 安保3文書を予算面から保障する2つの法案が成立し、 戦後の平和国家を戦争する国に作り替える体制が固まった。 後ほどバイデン米大統領が「私が岸田を説得した」 と大見えを切った。 大統領選を控えたパフォーマンス色が強いが当らずとも遠からずと いったところだろう。 ◆ 悪法次々成立、悪政4党連合の成立通常国会の会期末を控え『原発推進法『改訂マイナンバー法『改訂入管法』など悪法が次々と成立した。 その推進力となったのが自公の与党勢力と維新・国民民主の自称“ 野党”の4党連合である。この姿は戦時中の『大政翼賛会』 を彷彿させる。この維新と国会前半数合わせで共闘し“野党” としての幻想を与えた立憲民主党の罪は重いといえる。 ◎ 若者憲法集会(6月13日)こうした戦争への流れに対して6月13日に民主青年同盟など若者が抗議集会を開き1500人が参加した。 数はまだまだ少ないが青年組織がまとまって行動を起こしたのは6 年前の「シールズ」以来である。 この他の世代も悪法が大詰めになる度国会に集結した。 国民の怒りの声の中で“悪政連合”の中でも、 軍拡増税の執行延期やマイナンバーカードの見直しなど動揺も生ま れている。 悪法は成立したから終わりでなく、執行させない闘いに引き継ぐことが民主勢力のとるべき道ではない か。激動の6月を見据えての私の思いである。
【ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会民主主義者ではなかったから
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。】
《丸山眞男「現代における人間と政治」での引用訳文》
【ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。
それからナチは社会主義者を攻撃した。
それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、
なおも何事も行わなかった。
さてそれからナチは教会を攻撃した。
2023.03.07 アーチャン
「番組語り場」欄に今井さんが投稿(※🔗)されていますが、BS1スペシャル「密着 自衛隊 ”ミサイル防衛”」 私も見ました。
ロシアの非人道的なウクライナ侵攻から一年超、その惨状を嫌というほど見続けている中で、今回の番組の自衛隊の訓練は戦争の恐ろしさを知らぬ子供の戦争ゴッコそのまま。しかるにそのあとアメリカの射撃場を借り1億円もの大金を投入し、たった1発のミサイル実射成功に歓喜、憤然たる思いで視聴。
識者のインタビューで、柳沢氏の現状を憂い眉間にシワを寄せる表情が事態の深刻さを象徴していたが、迎撃ミサイルによる防衛の難しさや反撃としての敵基地攻撃実行の根拠の危うさにも言及。元内閣官房副長官補の肩書を持つ氏の非核、反戦への提唱国として日本がリーダーシップを発揮すべしとの忠告は「聞く力」を自負していたあの人への苦言と首肯しきり。
今は昔、勤労者通信大学を受講していた時、ある講師が対米従属の中の日本の再軍備を皮肉たっぷりに「この道はいつか来た道」と、その頃はまだ受講生の笑いを誘う受け狙いのジョークとして記憶。
あれから数十年、憲法を無視した敵基地攻撃論とミサイル購入による身の保全を図った岸田政権の無謀極まりないアメリカ追随は、
まさに「この道はいつか来た道」!!
2023.03.03 五十嵐吉美(青森)
23年度予算が衆議院で通過したからか、参議院予算委員会につい
中頃に放送された。
中継を見ることができなかったのでニュー
予算③消費税「インボイス」
少数政党の質問だった
もう一つの気づきは、なんと「ニュース7」と「ニュースウォッチ9」は同じ編
この日「反撃能力」というタイトルでは、れいわ新選組の山本代表
発射したほうがいい」と言われたら断れるのか?
日本が判断する」という答弁だった。
いということだ。
驚いたのは3月3日「しんぶん赤旗」の1面トップを見たからだ。
られていた。裏付けは防衛省のもので、核・生物・化学
合わせしたという事実を追及していた
国民に知らせない、国民が知らないう
2023.02.23 山村惠一(放送を語る会・大阪)
「新しい戦前」 NHKの選択は?
「戦後」平和がNHK発展の基本的条件であった。
「戦後」放送法の下、自主・自立・自由に則った放送で国民から信頼を得られてきたのである。
ラジオ、テレビからハイビジョン、デジタル放送へ放送技術の発展に伴い、平和の下でこそがNHKの経営基盤も確立できたといえる。
もしも、日本が戦争に巻き込まれていたなら、このような発展は考えらえなかった。
「戦前」国民が熱情するなか、放送は疑うことなく大本営発表で戦争を推進する痛恨の罪を背負った。
新聞も発行部数が急伸し勇ましい記事を書き連ねた。同罪である。
岸田政権は、ウクライナ侵攻や北朝鮮の挑発的策動を背景に、国会に諮ることなく安保3文書を閣議決定した。
世界3位の軍事大国(GDP2%)専守防衛から敵基地攻撃への大転換で、戦争の足音がすぐそこに聞こえる。
いま、まさに「新しい戦前」といえる。
岐路に立つ日本の将来に向けて、NHKの放送はどちらの道を選択するのかは自明である。
放送法は「放送を公共の福祉に、その健全な発展を図る」「放送が健全な民主主義の発達に資する」とその目的を規定している。
を付け加えておきます。
2023.02.21 五十嵐吉美(青森)
「新しい戦前」の気づき
BSTBSの「報道1930」をよく見ている。
3年前くらい前だったか半藤一利さんが亡くなる前に、保阪正康さ
昨年秋、半藤さんが亡くなり保阪さんがお一人で「報道1930」
その年末の「徹子の部屋」で、タモリさんが「新しい戦前」と発言
しかし、しかしである。「大転換」の内容をテレビはしっかり視聴
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